マイクロプラスチックが脳を含む主要臓器に及ぼす潜在的影響、科学的に明らかに(下)

健康にどう影響する?

これらの微粒子には、難燃剤、残留性有機汚染物質(POPs)、BPAのような可塑剤などの有害な化学物質が含まれており、ホルモンを乱し、慢性炎症を引き起こす可能性がある。

研究者らは、マイクロプラスチックが時間とともに重要な臓器に蓄積することを発見している。このプラスチック片の体内蓄積は、長期的な健康被害をもたらす可能性がある。

細胞や組織に素早く浸透

2023年の「International Journal of Molecular Sciences」誌の研究によると、マイクロプラスチックはマウスに暴露されると24時間以内に細胞に浸潤し、細胞の核付近に蓄積するという。著者らは、細胞がマイクロプラスチックにさらされる時間が長ければ長いほど、細胞の生存率が低下することを発見した。

研究者らは、脳、肝臓、腎臓、消化管、心臓、脾臓、肺などの主な組織を調べ、マイクロプラスチックがどこに蓄積するかを調べた。「驚くべきことに、調査したすべての組織から」マイクロプラスチックが検出されたと研究論文には書かれている。

また、マイクロプラスチックにさらされたマウスでは、サイトカインや腫瘍壊死因子(TNFα)などの炎症性免疫マーカーが増加した。

これらの微小粒子が体内に入ると、免疫細胞はそれを異物として認識し、除去しようと炎症反応を起こす。マイクロプラスチックに長期間さらされると、慢性的な炎症につながる可能性がある。

脳との戦争

マイクロプラスチックは、最も保護されている器官である脳にも急速に浸透する可能性がある。2023年にオーストリアで発表された研究で明らかになった。研究者らはマウスにマイクロプラスチックを含む飲料水を与えた。プラスチック粒子はわずか2時間でマウスの脳内に移動した。

その後、マイクロプラスチックは脳表面のコレステロール分子に包まれた。これにより、通常脳を毒素や化学物質から守る血液脳関門を通過することが可能になった。

「マウスを使った研究は憂慮すべきものだ。摂取後2時間以内に、脳を含む全身にマイクロプラスチックが広範囲に分布することが実証された」

「この新たな研究は、研究者らが恐れていたことを示唆している。マイクロプラスチックは脳の炎症を素早く引き起こし、マウスでは3週間以内に行動に変化をもたらす。しかし、人間への影響を評価するためには、さらなる研究が必要だ」

マウスの認知症を誘発

「International Journal of Molecular Sciences」誌の研究では、マイクロプラスチックが神経毒性を持つ可能性も示された。わずか3週間の暴露で、マウスは認知症のような行動変化を起こした。高齢のマウスは若いマウスよりも行動障害が見られた。

著者らはまた、マイクロプラスチックが、脳細胞のプロセスをサポートするグリア線維酸性タンパク質(GFAP)のレベルを減少させたことを指摘した。GFAPの減少は、アルツハイマー病などの神経変性疾患と関連している。GFAPは、認知症が発症する前にアルツハイマー病関連の問題を示すバイオマーカーとして機能している。

生活中のマイクロプラスチックを減らすために

マイクロプラスチックは、私たちの日々の暮らしを取り囲んでいる。しかし、生活からプラスチックを減らす上で重要な措置もいくつかある。次の通りだ。

  • ステンレス製の水筒は、プラスチック製の水筒に代わる持続可能な水筒として機能する。
  • 食料品店にはトートバッグを持参する。
  • 近所のカフェでは、紙コップでコーヒーを飲む代わりに、再利用可能なマグカップをバリスタに渡す。
  • 動物や家畜、一部の養殖魚は、多くの場合マイクロプラスチックを含む飼料を与えられているため、可能な限り有機飼育された肉を選ぶようにする。

「有害物質への暴露を制限するために、できることをやろう」と、ウィスコンシン州を拠点とする医師助手であり、ノーススター統合医療の創設者であるクリストファー・ケリー氏はエポックタイムズに語った。

「すべてを手に入れることはできないが、少しずつでもやることが全体的な健康に役立つ」