サンタさんにありがとうって伝えてよ

クリスマスの伝統はどのように生まれたのか?

今日、クリスマスを思い起こすと、多くの人は特別なシーンを思い浮かべるでしょう。例えば、クリスマスツリーサンタクロース、プレゼント……これらはすべて、クリスマスに欠かせない要素となっていますが、これらは何を象徴しているかご存知ですか? また、これらの起源はどこにあるのでしょうか?

クリスマスは宗教的な祝日であり、関連する伝統は、自然にキリスト教に由来しますが、今日では多くの民間の習慣が加わっています。

クリスマスツリーの起源

古代ローマ時代から、年末の祝祭の際に、人々は常緑の枝を家に飾り、永遠の命を象徴していました。キリスト教の物語では、クリスマスツリーはアダムとイブのエデンの園での物語を象徴しています。しかし、寒冷な冬の間にリンゴの木を見つけることができなかったため、もみの木が代わりに使われました。伝統的なクリスマスツリーの装飾はもともとリンゴの木だったのですね。1858年、フランス東部の厳しい冬には、ツリーを飾るリンゴが全くなかったため、ガラス職人がガラスでリンゴの形を作る提案をしました。それが徐々に現在のクリスマスボールに発展してきたのです。

クリスマスツリー(Yukini / PIXTA)

サンタクロースの物語

最初、キリスト教が開いたクリスマス祝いでは、サンタクロースは存在しませんでした。その当時、赤いマントを着た、村を訪れる白髭の老人は、子供たちを守る聖人である聖ニコラウス(Saint Nicholas)でした。

彼は素直な子供たちにキャンディやオレンジを贈り与えていました。素直でない子供たちは、「鞭の親父(Père Fouettard)」から罰を受けることになります。この伝統は東欧諸国で伝承され、後にドイツやフランスのアルザス地方の人々は、12月6日である聖ニコラウスの日を祝うようになったと言います。

現代のサンタクロースの姿は、近代のアメリカで誕生しました。移民がニューヨークにもたらしたオランダの人々が聖ニコラウスの伝統を導入し、ニューヨーク州の新聞に掲載された詩のなかで、今日私たちが知っているサンタクロースの姿を描写しました。彼は、赤い服装からトナカイの引くソリまで、すべてが詩の中で述べました。「鞭の親父」は、その時から忘れ去られたのですね。

フランス人は、子供の頃にはみんながサンタクロースを信じています。毎年、クリスマス前夜にはデザートと牛乳をテーブルの上に用意し、暖炉のそばに靴下を吊るして、サンタクロースの到来を待ちます。

フランスの家庭では、子供たちの純粋さを保つためにいくつかの「戦略」が採用されているのですね。例えば、近所や遠い親戚が、サンタクロースに扮してプレゼントを届けたり、テーブルに置いておいたデザートを食べたり、屋根の上で花火を打ったり、雪の中にソリの跡をつけて、子供たちがサンタクロースが出発すると信じて、外に出ていくような仕掛けをします。大人たちはその隙に、部屋の中にプレゼントを置いておくのです。

子供たちにとって、サンタクロースは成長の過程での一つの段階であり、年齢と共に「成熟」し、完全に「大人」になると、この伝説を信じなくなるのですね。

キリスト教がクリスマスを祝った初めには、サンタクロースはいなかった。 赤いマントを着た白ひげの老人が、そりを運転して村にやってきて子供たちを訪ねていたのは、子供たちを守る聖人、聖ニコラスだったのだ (vectorfusionart / PIXTA)

 

プレゼント交換

互いに贈り物を交換する伝統は最初、主に子供たちを対象にしていました。寒い冬に家族の靴下は暖炉のそばに吊るされ、最初の贈り物はその靴下に置かれていました。新約聖書には、イエス・キリストの誕生の夜、東方の三博士(三賢者)が星に導かれ、新生児を訪ねてやってきて、それぞれ金、乳香、没薬を持参したという記述があります。これが歴史上初めてのクリスマスの贈り物です。

クリスマスプレゼントを交換する(Dragon Images / PIXTA)

 

馬小屋の飾り付け

聖書によれば、出産間近の聖母マリアと夫のヨセフは旅の途中で、宿が満室で空き部屋がなかったため、やむを得ず馬小屋で休むことになりました。そこでイエスは馬の飼い葉(餌)の桶で誕生したのです。周囲の牛や羊、ロバの体温で暖められたと言われています。これがクリスマスの馬小屋の由来です。

そのため、クリスマスの時期には、多くのキリスト教徒の家庭ではイエスが馬小屋で生まれ、東方の三博士が礼拝する光景が再現されます。特定の地域では、馬小屋のシーンは本格的なアート作品になることもあります。馬小屋のシーンやクリスマスツリーは、クリスマス前に飾られますが、馬の飼い葉桶は空のままであり、聖夜の12時の鐘が鳴ると、イエスの乳児像が飼い葉桶に置かれるのは、選ばれた家族の一員(通常は子供)によって、象徴的なイエスの誕生の瞬間が再現されるのです。

クリスマスになると、多くのキリスト教徒は馬小屋でのイエスの誕生と東方の三人の王の巡礼を家庭で再現する (manaemedia / PIXTA)

 

ブッシュ・ド・ノエル

フランスの伝統的な家庭では、クリスマスイブに特別な劈柴(へきさい、薪)を暖炉に入れて火をつけるのがもう一つのクリスマスの活動です。通常は果樹やオークの木が選ばれ、その劈柴は3日以上燃えるほど大きく、来年の幸運を象徴しています。家庭によっては、この劈柴をリボンで飾ることがあり、燃えると多彩な色の炎を放つものもあるのです。

しかし最近は新築の家に暖炉が設置されることが少なくなったため、このクリスマスの劈柴はゆっくりとクリスマスの食卓における一品に変化してきました。

このお菓子の起源地は、パリやリヨン地方とも言われていますが、典型的な形はロールケーキのような長方形で、横から見ると木の年輪のようにも見え、周囲にさまざまな装飾が施されています。この「ブッシュ・ド・ノエル」はフランス全土に広まり、クリスマスの伝統的なスイーツの一つとなりました。

ブッシュ・ド・ノエル(kuro3 / PIXTA)