イメージ画像。黄色い制服を着た、デリバリー最大手の美団(メイトゥアン)のデリバリー配達員。2018年6月26日撮影。(WANG ZHAO/AFP via Getty Images)

刺殺されたデリバリー配達員 就業6日目の受難「親の負担を軽減するため」=中国

2023年12月5日夜、山東省青島市の団地で、人をナイフで繰り返し刺す凄惨な殺人事件が起きた。加害者は団地の警備員である。

死亡した李越凱(男性、32歳)さんは、黄色い制服を着たフードデリバリー配達員であった。互いに見知らぬ関係であり、もとからの怨恨があったわけではない。つまり、この時の衝動的な激昂が、なんと人命を奪うに至ったのである。

両者はこの日、団地の「バイク乗り入れ禁止」のルールをめぐって口論となり、ついに殺人事件にまで発展した。

ネット上には、事件発生時の様子を捉えた動画も流れている。それを見た人の中には、くり返しナイフで刺す警備員のあまりの凶暴さに、衝撃を受けたネットユーザーも少なくないだろう。

 

2023年12月5日夜、山東省青島市の団地で殺人事件が起きた。(SNS投稿動画よりスクリーンショット)

 

中国メディアの報道によると、李さんは高校を卒業後、豪州の大学に留学し心理学を専攻した。

だが帰国後は、経済不況のため、希望に合う仕事が見つからなかった。6年間におよぶ失業の末、ようやく配達員の仕事についた。李さんが被害に遭って死亡したのは、配達員の仕事を始めて6日目だった。

つまり、配達員の実務経験は5日しかなかったのだ。そのため、この団地がバイク乗り入れ禁止であることを、李さんは知らなかった可能性が高い。

李さんにはまだ大学に通う弟がいる。両親は60歳に近い。父親は飲食店でアルバイトをし、母親は家政婦をしている。

これまで、100万元(約2千万円)に上る李さんの学費のほとんどは、両親が外部から借金したもので、その返済はまだ済んでいない。李さんは昨年11月、親戚の紹介で故郷の吉林省を離れて山東省青島に行った。それから、心配をかけないため両親や親戚には内緒で、デリバリー配達員の仕事を始めたという。

李さんは生前、こんなことを友人に漏らしていたという。「今生で、僕が最も頭が上がらない人は両親だよ。結婚はしないつもりだが、両親の経済的負担を少しでも軽くしてあげたいんだ」。しかし、そんな彼が配達員として働いたのは、わずか6日間だけだった。

 この事件について、山東省の市民の辛さんは、こう語る

「中共政府は、人々が成功する道を完全に塞いだ。今や、人々がお金を稼ぐことは非常に難しい。人生の希望を見い出せないため、何でも極端に走りやすくなり、ほんのちょっとしたことでも戻気(リーチー、邪気)が非常に大きくなる」

辛さんはまた、この悲劇は「中共による、長きにわたる憎しみ教育の結果だ」という。

「中国の教育に問題がある。 学校では子供たちに対して、どんな人でもかけがえのない命であるということや、周りの人を愛することを教えていない。学校では、子供たちに恨みをもたせるようなことばかり教えて(中共の思うままに)宣伝している」

辛さんは、さらに「李越凱さんのような海外留学帰国組は、本当にかわいそうだ。彼の両親だって、普通の庶民だろう。それなのに莫大な借金をして、息子を留学に行かせた。しかし帰国しても、それに見合う仕事はなく、配達員をやっている。なんと悲しいことか」と語った。

関連記事:団地の警備員が配達員を刺殺「バイク乗り入れ禁止」違反が発端か=中国 山東(こちらをクリック

 

(団地の警備員が、デリバリー配達員をナイフで繰り返し刺して殺害する凶悪事件が起きた。犯人の警備員は、通行人に制止されるまで、馬乗りになって刺し続けた)

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