中国共産党(中共)商務省が24日、「国家安全と利益の維持」を理由に日本の企業・団体20社を輸出管理の規制対象リストに追加した措置を巡り、ジャーナリストの矢板明夫氏は26日、自身のX投稿で、日本への圧力を狙った今回の中共の対応が結果として自国の立場を弱める可能性があると述べている。
規制リストの対象には三菱造船や川崎重工の関連会社、日本電気(NEC)関連のほか、防衛大学校や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが含まれた。これに対し、矢板氏は今回の措置について、日中摩擦の激化という側面はあるものの、日本に対する実質的な経済的打撃よりも中国側の政治的姿勢を示す意味合いが強いと指摘。中国はこれまでも日本産水産物の輸入制限やレアアース輸出規制など、経済的手段を通じて政治的不満を表明してきた経緯がある。矢板氏は、こうした「経済の武器化」は短期的には圧力として機能するものの、長期的には逆効果を生み出していると分析する。
その背景として挙げられるのが、外資企業の中国離れとサプライチェーン再編の進展である。政治的報復や輸出規制が積み重なったことで、投資家の間では中国市場の政治的リスクを軽視できないとの認識が広がった。日本企業の間でも中国市場のリスク再評価が進み、生産や投資を東南アジアやインド、日本国内へ分散する「チャイナ・プラス・ワン」の動きが本格化している。矢板氏は、今回の規制措置がこうした脱中国の潮流を逆に加速させる要因になっているとみる。
また、中国の強硬姿勢は日本の政策環境にも影響を与えている。矢板氏は、経済安全保障やサプライチェーン強靱化を掲げる高市早苗政権にとって、中国による経済的威圧が政策推進の正当性を補強する結果になっていると指摘する。中国の行動が日本社会におけるデリスキング(リスク軽減)受容の機運を高めているためである。
さらに日中摩擦の高まりは、日本が安全保障や経済分野で台湾に接近する契機ともなっている。日台間では半導体協力やサプライチェーン統合、安全保障対話の深化が進んでおり、矢板氏は地域の緊張が台湾に圧力を与える一方、民主主義陣営のサプライチェーンにおける台湾の戦略的地位を高めていると分析する。
矢板氏は総じて、中国政府の今回の措置は日本への圧力を意図したものの、期待された効果を十分に上げていないと結論づけた。経済的手段を政治化するほど各国は中国依存を再考せざるを得ず、サプライチェーン再編という構造的変化を促す結果となっているためである。中国の圧力が逆に国際経済環境の変化を招き、自らの選択肢を狭める構図が鮮明になりつつある。
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