ある若いインド人カップルが電柱のそばに立ち、激しく言い争っていました。
その時、ある年寄りのおばあさんが、ビニール袋いっぱいの果物をもって2人の近くを通りかかります。少し先を行ったところで突然袋が破れてしまい、果物はコロコロとあちこちに転がっていきました。言い争っているカップルはこれに気づきませんでした。
女性は離れようとしましたが、男性はその腕を掴んで引き止めました。女性が振り切ろうと後ろを向いたとき、ふとおばあさんのことが目に入りました。腰の病を患っているのか、おばあさんは辛そうに手を伸ばしたものの、足元の果物に手が届きません。
困っているおばあさんを見た女性は手を振り払って、すぐさまおばあさんへ駆け寄ります。女性の行動に怒った男性は、不機嫌な顔をしてそっぽを向きました。
しかし、彼女がしゃがんで果物を拾い集めているのを見た男性はじっとしていられなくなり、怒りながらも結局手伝いに行きました。
そんな時でした。どこからか大型の看板が落ちてきて、ちょうど2人が立っている場所にぶつかったのです。
大きな音と衝撃的な場面に、女性は驚愕して立ち上がり、手で口を塞ぎました。男性も驚いて振り返り、その場で立ち尽くしたのです。
我に返った男性はすぐさまおばあさんのところへ駆け寄り、女性を抱きしめてその額にキスをしたのです。おばあさんが果物を落とし、女性が親切で駆け寄っていなければ、そして、彼女のことを大事に思い、怒りながらも手伝おうとしなければ、今頃、2人は大けがで重症になるか、あるいは命を落としていたでしょう。
女性のおばあさんへの親切、思いやりと、男性の彼女への愛が、2人を危険から守ったのです。
筆者の友人はこのようなことを目撃しました。ある日、あるドラッグストアの前で親子が言い争っていました。もしかすると、母親が購入した化粧品が娘の欲しかったブランドではないからなのか、女の子は化粧品を投げ捨てて電柱の下まで行き、両腕を組んで、少しも妥協しない表情を浮かべています。近くの人々は、女の子の態度を見て皆、異様な目線を向けてきました。
この時、近くを歩いているおばあさんが突然倒れこみ、「誰かあめを……」とつぶやきました。人々が騒ぎ出し、救急車を呼んだりなど、おばあさんを助けようとしました。すると、女の子はすぐさまおばあさんに駆け寄り、バッグの中からレーズンを取り出し、おばあさんの口に入れて食べさせたり、時折、水を飲ませたりしました。
おばあさんは血糖値が低いため倒れてしまい、そんな時、女の子のレーズンが大いに役立ちました。
おばあさんを乗せた救急車が去って行った後、集まっていた人々が離れようとしたその時、何かが衝突した、大きな音があたりに響き渡りました。なんと、ごみ収集車がどういうわけか歩道に侵入し、勢いよく電柱を目掛けて突っ込んでいったのです。そこはちょうど先ほど女の子が立っていた場所でした。
我に返った女の子は慌てて母親のところへ駆け寄り、母親の胸の中で泣き出しました。女の子の性格は完璧ではないのかもしれません。しかし、人助けをするその優しい心が何よりも重要ではないでしょうか。
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