中国本土の人々が農村部の困難な状況、共産党の「貧困撲滅」政策が実態と異なていると訴えている。イメージ写真。 (Kevin Frayer/Getty Images)

経済発展の裏で崩壊した伝統的価値観 中国農村部で高齢者の自死が増加=武漢大学教授

4月5日に、武漢大学社会学部の賀雪峰教授は、中国農村部が抱える複数の問題についての調査結果を公表した。

この報告によれば、消費行動、道德観、そして根本的な価値観において、農村部には目立った問題が存在しているという。

消費に関しては、農村部における不合理な消費パターンが大きな課題だとしている。

具体例として、湖北省のシ帰県のような貧しい山岳地帯では、農民の収入の約4分の1が、祝い金や香典などの慶弔行事に払う人情費に使われており、平均的な農家では年間の人情費が1万元(約21万円)を超え、一人あたり約3千元(約6万円)となっている。

こうした人情費だけでなく、豪華な宴会の開催も一般的であり、その無駄遣いが問題となっている。さらに、農村部では賭け事が広く行われており、特に六合彩という形式の賭けが長期間にわたって人気を博している。

道徳的な観点から見ると、人々や財産が農村部から流出することで、村の伝統的な社会構造が崩れ、地域コミュニティの機能が衰えているとの指摘がある。

特に、農村における高齢者は社会的に脆弱な立場に置かれ、多くの社会的な問題を背負っている。これが原因で、道徳的な問題が生じ、深刻な例としては高齢者の自殺なども増えている。

一部の農村地域(特に長江流域の中部に多い)では、高齢者の異常な死亡率の高さが問題となっている。調査結果によれば、高齢者の異常死の全てが子供の虐待によるわけではなく、体調が悪い時に子供に迷惑をかけたくないという思いから、自ら命を絶つことを選ぶケースも少なくないとされる。

最終的な価値観に関しては、ある報告書は、伝統的な中国の農村においては、農民の主な目標が家系を継ぐことや先祖を敬うことにあると述べている。

しかし、現代の農村の急速な変化は、これらの価値観を根本から覆し、農民が村内での社会的競争を行うための安定した基盤を奪ってしまった。

結果、農村部では短絡的な利己的な行動が増えており、農民は自分の存在意義や生き方についての答えを見つけられなくなっている。

報告書によると、現代の農村社会が抱えている問題は、文化的な調和の欠如にある。農民たちが経験する困難は、物質的な欠乏ではなく、日常生活における価値感の喪失に関連しているとされている。

関連記事
中国での新型コロナウイルスの流行は、一時も収束したことがない。最近、感染力がより強いとされる新型コロナウイルスの変異株KP.2が拡散し、中共政府は、広東省がこの状況を抑えきれなくなったと、初めて公表した。
通常、北京が日本を非難する場合、その文句は決まり文句である。 東京と米軍との緊密な関係や、第二次世界大戦における日本の振る舞いが主な不満である。 しかし、北京が東京で起きていることを懸念するには、もっと現実的で直接的な理由がある。 円の為替レートが約160円まで下落したことは、北京にとって大きな懸念要因である。
近頃、複数の報道機関によると、中国に存在する偽の学術機関が「院士」の選出を装い、詐欺行為を行っており、40万元の人民幣を支払えば「外国籍院士」の認定証を購入することができるとされている。
広西自治区の南寧市で、激しい降雨により多くの市街地が水没し、車両が流されるという被害が出た。しかし、住民たちはこの水害が単なる自然災害ではなく、市内の排水設備の不備と、それに関連する工事の不正行為が原因だと声を上げている。
亡命している元内モンゴル自治区の官員、杜文さんが、中共が隠蔽している感染病の厳しい現状を暴露した。フフホト市にある第3刑務所では結核が大流行し、多くの受刑者が亡くなっている。しかし中共はその事実を隠し続けている。