近頃、複数の報道機関によると、中国に存在する偽の学術機関が「院士」の選出を装い、詐欺行為を行っており、40万元(約860万円)の人民幣を支払えば「外国籍院士」の認定証を購入することができるとされている。
今年に入ってからの4か月間に、自称「ヨーロッパ自然科学院」という組織が、中国で30人を超える「院士」を生み出し、国内の大学関係者からも同様の報告が続いている。西安出身で1990年代生まれのある博士が選出された事例もあり、これに対して公衆の懸念が増している。
関係者の話によれば、この機関で「院士」に選ばれるには、通常40万(約860万円)から100万元(約2千2百万円)の人民元が手数料として必要だとされている。中には「18万元(約390万円)で合格が保証される」と宣伝する業者もおり、数か月のうちに「外国籍院士」の認定証を手に入れることができると言われている。国内の教授たちの間にも、このような招待状が出回っているとのことだ。
報道によると、この組織はドイツに登録されているものの、実際にはロシア人6人が運営する私立の会社に過ぎず、Googleマップでその登録住所を確認すると、ドイツ・ハノーバーにあるごく普通の建物で、「永久に閉業」との表示があるそうだ。
浙江の法学部教授、李女史:
「正直に言えば、それは所謂、『根拠の無い学位工場』とその院士たちにすぎない。中国人は外国を理想化する傾向があり、国内で院士の地位を得られなかった人々が、海外で何らかの院士になれば、中国に帰国した際には、名声と利益を手に入れることができる」
「院士」というのは学術界における最も権威ある称号だが、李さんによれば、中国の学術界では腐敗が進み、実力を持たない『名ばかりの院士』が溢れているとのことだ。
浙江の法学部教授、李女史:「現在の中国では、権力を背景にした取引や不正な手段が横行しており、失脚し腐敗した官僚たちからも、このような問題が広く存在していることが明らかにされている。専門家たちも、偽の大学や研究機関が発行する資格であることを知りつつ、自分の利益に結びつかない限り、問題を指摘することはない。そして、金銭を提供された場合、当然、恩返しをしないわけにはゆかないのだ」
インターネット上のユーザーたちは、「科学アカデミーはヨーロッパに位置しているけれども、その実態の基盤は中国にある」との見解を示した。「これらは一般市民を欺くための手段であり、特に政府の官僚たちがターゲットだ。専門家たちは内々に人脈を築きながら一般の人々には、専門的な知識があるかのように煙に巻いている」
中国の学術界には問題が絶えず、昨年だけで1万件以上の中国人「学者」による偽の研究論文が、英語の学術雑誌から取り下げられている。「地下論文工場」と呼ばれるものは、既に大きな産業となっている。インターネットユーザーは、「かつては量産された出版物が主流だったが、現在は量産された『院士』が流行の兆しを見せている」とコメントした。
百度(バイドゥ)百科の情報によると、2021年から現在にかけて、中国国内で66人がいわゆる「ヨーロッパ自然科学アカデミー」から「院士」の称号を受け取っている。この問題が注目を集めた後、いくつかのリストは公式ウェブサイトや百度(バイドゥ:中国の検索エンジン)から削除されたとのことだ。
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