「万悪の旧社会」という表現が中国共産党(中共)による宣伝・政治教育で長く用いてきた。
この言葉は最初、1962年に制作した中共のプロパガンダ楽曲『不忘階級苦』に登場する。歌詞原文には「万悪の旧社会、貧しい人々の血涙の恨み」という一節がある。この歌は1960~70年代に広く流行し、「万悪の旧社会」という表現が国民に浸透した。
思想的起源をたどると、主に以下の三つの要素が指摘されている。
毛沢東がマルクスの「階級闘争」理論に基づき、中共が政権を掌握する前の中国に対して展開した「暗黒、搾取、抑圧」の批判論述。
「党文化(共産主義社会独特の文化)」の旗手である魯迅(ろじん)が、極端に狭い個人的認知に基づいて封建社会を批判した文学作品(『狂人日記』など)。
1950~60年代に始まり、文化大革命期に盛んとなった「憶苦思甜(昔の苦を思い、今の恩恵をかみしめる)」運動による社会観の形成。
これらを総合すると、いわゆる「万悪の旧社会」という表現は、毛沢東が発端となり、魯迅や『不忘階級苦』、政治運動「憶苦思甜」によって煽られた言説に過ぎず、歴史的事実そのものを反映しているわけではない。
元国家主席の息子が語る「万悪の新社会」
1990年、香港田園書屋は元国家主席劉少奇の息子、劉源の文稿を収録した『開拓:北大学運文選』を出版した。劉源は「当年不思量、思量痛断腸(当時は考えもしなかったが、今振り返ると胸が張り裂ける思いだ)」という大写意の筆致で、家庭や個人が受けた苦難を語っている。その内容は読者に強烈な印象を与える。
1980年代初頭に北京の大学・高校で起きた学生や教職員による民主的な校内選挙運動で、現在の北京師範大学に通っていた劉源は独立候補として参加。答弁会で選挙動機を語った際、次のように述べた。
「……この十数年間、私は全国民とともに恐ろしい大災難を経験した。家族では四人が死亡、六人が収監。私自身も、少なくとも誰にも劣らぬ苦しみを味わった。自分の経験を完璧に振り返ることもできない。あまりにも寒気がする。しかしその一幕幕、一場面場面が心に深く刻まれ、脳裏を漂うたびに安寧を許さない。言葉なく両親と生別した子供なら誰でも同じ感覚を持つだろう」
「私は唾や侮辱に満ちた狭い道を歩き、幾度も牢屋に投げ込まれ、青春を逃した。餓死寸前の日々を孤児のように過ごし、狼のように世界を憎んだ。あの頃、私は歯を食いしばって生き延びた。他に誰が、自分の親が刑場で暴行される中で死にゆく姿を目撃しただろうか? 誰が9歳の妹の口に点火した爆竹を詰める場面を見たことがあるだろうか? 皆さんは私の胸中を想像できるだろうか。私は歯を食いしばり、声をあげなかった。十数歳から鞭の下で労働を強いられ、鎖に縛られ血を流す日々。何千もの毎夜、毎時間心は血と涙に濡れ、非人道的待遇と圧力に耐え続けた。私は歯を食いしばり正気を保った。なぜか? 真理が悪を打ち破る日を見るためだ」
「今日、過去の苦難を振り返り、私は二度と他者や我々の子孫がこの苦しみを経験しないことを誓う」
劉源が言及した「9歳の妹の口に点火した爆竹を詰めた」行為を受けた人物は、元国家主席・劉少奇と元夫人・王光美の娘、劉瀟瀟(1960年生)であると推定する。
劉源の証言は衝撃的であり、この事実を通して、読者は「万悪の新社会」「万悪の共産党」という言葉にたどり着く。
「憶苦思甜」の矛盾
中共は「憶苦思甜」を用いて「万悪の旧社会」を正当化してきたが、その現場の記録は矛盾だらけであった。
1971年春、農村で行われた「憶苦思甜」大会に参加したネットユーザー「繽紛糯米KIS」は、次のように当時を振り返る。
生産隊長は、農作業を休んで慰霊堂に集まるよう指示した。慰霊堂には「不忘過去苦、牢記今日甜(過去の苦を忘れるな、現在の恩恵を覚えろ)」の横断幕が掲げられ、大会には地主、富農、反革命分子、破壊分子といった「四類分子」が立たされていた。
大会で最初に登場したのは、6歳で童養媳(将来息子の嫁にするために、幼い女児を買い取ったり引き取ったりして家で育てる制度)となった女性で、日常の過酷な労働や食事の乏しさ、親族からの虐待を涙ながらに語った。その後、1959~61年の飢餓時代の苦労も訴えたが、会場の指導者から途中で止められる場面があった。
また70歳の農民が、地主の家での短期労働の体験や、1960年代の飢餓体験を語ると、民兵営長が急遽会議の終了を宣言。参加者の間では、「憶苦思甜は作り話ではないか」という議論が起き、以降この種の大会は開催されなくなった。
史上最悪の犯罪
さらに、中共は法輪功学習者に対する組織的「生体臓器摘出」を行ってきた。2023年7月、国際NGO「法輪功迫害追跡国際組織」の代表・汪志遠氏は米ワシントンD.C.での集会で、27年以上にわたり続くこの犯罪行為を明らかにした。
汪氏は、1999年末以降、当時のトップ江沢民の命令により、中共の国家機関が全国規模で法輪功学習者に対する臓器摘出を組織的に行っていると述べた。これは単なる迫害ではなく、人類の道徳の最低基準を破壊する行為であると指摘する。
結語
大紀元の社説『共産主義の最終目的』では次のように記している。「もし将来、江沢民が法輪功学習者を集団で鋼鉄炉に投入したと告発する者が出ても驚くことはない。中共の邪悪さは、人類の心理的限界を超えている」
この記事は次の結論で締めくくられる。「歴史上『万悪の旧社会』など存在せず、存在したのは『万悪の新社会』、すなわち中共政権と中国共産党の残虐で非人道的な統治だけである」

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