ダイキン工業株式会社は、空気で答えを出す会社として空気にまつわる課題や悩みごと、素朴な疑問について調査する『ダイキン 空気のお悩み調査隊』の活動を2011年6月より継続しています。
2023年夏、日本の平均気温は統計を開始した1898年以降で最も高くなり、東京の猛暑日は過去最多を記録しました。4月23日に気象庁が発表した3か月予報(5月から7月)によると、向こう3か月は全国的に気温が高くなる見込みで、2024年も暑い夏が予想されます。こうした中、政府は熱中症への警戒を促す従来の取り組みをさらに強化し、2024年4月24日より「熱中症特別警戒アラート」の運用を開始するとともに、熱中症予防行動のひとつとしてエアコンの適切な使用を呼び掛けています。
夏場のエアコン使用の重要性が増すことで気になるのは電気代ですが、政府による電気料金の負担軽減措置は5月使用分で終了します。また、大手電力10社は「再生可能エネルギー賦課金」の単価上昇に伴い、5月請求分からの値上げを発表しています。これらにより、平均的な電力使用量の家庭では月に1,000円から1,500円程度の負担増が見込まれています。今夏は、より一層の節電が求められる夏になりそうです。
節電を意識したエアコンの適切な使用が求められる中、当社が2023年7月に実施した「エアコンの節電に関する実態調査」では約6割の人がエアコンの節電方法を誤解している結果となっており、エアコン使用時の効果的な節電方法の認知を広げる必要性が伺えます。そこで「空気のお悩み調査隊がゆく!」では、節電方法として誤解されやすい4つのケースについて、効果的な節電方法と具体的な節電効果を検証しました。さらに、蒸し暑い夏の睡眠時、エアコンの使い方として迷いがちな「切タイマー運転」と「つけっぱなし運転」についても、暑さ指数「WBGT」の観点から検証しました。
なお、本資料では、政府の「熱中症予防強化キャンペーン」と連携した啓発活動の一環として、熱中症予防の啓発活動を行う環境省から生活者に向けたメッセージもご紹介します。
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本調査は、1つの住宅を使用し、天気や気温などの条件が近い複数の日に実施したものです。そのため、厳密な同条件での比較ではありません。調査結果はあくまで今回の条件に基づくものであり、住宅やエアコン、気候によって結果は変わります。
検証1 エアコン冷房の風量設定は 「弱」 と 「自動」 でどちらが節電?
「風量:自動」 の方が節電に!
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エアコン冷房の風量設定「弱」と「自動」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなしにして消費電力量を計測し、1ヵ月あたりの電気料金の違いを調査しました。
検証結果 「風量:自動」の方が節電に!(1か月換算で990円節約)
エアコン冷房の風量「弱」と風量「自動」の消費電力量を比較した結果、風量「弱」が3.85kWh、「自動」が2.79kWhとなり、風量「自動」の方が消費電力量が約3割少ないという結果になりました。1か月換算では、風量「自動」は「水平」と比べて電気代が約990円少なくなります。
吹出口からの気流が弱い風量「弱」の方が節電につながりそうに思えますが、今回の調査では、風量「自動」の方が節電につながる結果となりました。
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このような結果になる理由は、風量「弱」にすると、室内機の中にある冷たくなった熱交換器を通過する空気の量が減り、部屋の中を涼しくするのに時間がかかるからです。そのため、風量「自動」に比べて風量「弱」の方が、圧縮機の運転にかかる負荷が増加し、より多くの電気を使ってしまうことになります。
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検証2 エアコン冷房の風向設定は 「ななめ下」 と 「水平」 でどちらが節電?
「風向:水平」 の方が節電に!
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エアコン冷房の風向設定「ななめ下」と「水平」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなしにして消費電力量を計測し、1ヵ月あたりの電気料金の違いを調査しました。
検証結果 「風向:ななめ下」の方が節電に!(1か月換算で930円節約)
エアコンの冷房運転時の風向「ななめ下」と「水平」の消費電力量を比較した結果、「ななめ下」が3.76kWh、「水平」が2.77kWhとなり、風向「水平」の方が消費電力量が約3割少ないという結果になりました。1か月換算では風向「水平」は「ななめ下」と比べて電気代が約930円少なくなります。
人がいる場所に冷たい風を直接送る「ななめ下」の方が節電につながりそうに思えますが、今回の調査では、風向「水平」の方が節電につながる結果となりました。
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このような結果になる理由は、冷たい空気は重く、床付近にたまる性質があるからです。風向を「ななめ下」にすると床付近に冷たい空気がたまる一方で、天井付近には暖気がたまります。一般的なエアコンは、高い位置にある室内機内部の温度センサーで室温を判断します。天井に暖気がたまっていると、床付近が十分涼しくなっていても、エアコンはさらに部屋を涼しくしようと必要以上に運転してしまいます。風向を「水平」にすると、冷たい風が天井付近から床方向に自然に下りていくので、余計な電力消費を抑えながら、部屋全体を涼しくすることができます。
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検証3 設定温度を 「1℃下げる」 のと、風量設定を 「強」 にするのとでは、どちらが節電?
「風量:強」 の方が節電に!
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エアコン冷房を使っていても暑く感じることがある真夏の日中(13時~15時)、設定温度を1℃下げるのと、風量設定を「強」にするのとでは、どちらが節電になるのか、消費電力量を計測し、電気料金の違いを調査しました。
検証結果 「風量:強」の方が節電に!(消費電力量が約半分に!)
エアコンの冷房を使っていても暑さを感じる時、設定温度を下げるのが一般的ではないでしょうか。実は、風量を「強」にすることでも涼しさを感じることができます。設定温度を1℃下げた場合と風量を「強」にした場合の消費電力量を比較した結果、設定温度を「1℃下げる」と1.13kWh、風量「強」にすると0.52kWhとなり、風量「強」は、設定温度を「1℃下げる」場合と比べて消費電力量が約半分になりました。
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このような結果になる理由は、設定温度を下げたとき、エアコンは室内の空気中からより多くの熱を集めるため、圧縮機の運転を強めるからです。一方で、風量を「強」にすると室内機のファンの音が大きくなり、電気をたくさん使っているように感じますが、ファンが使う電力は、圧縮機が消費する電力と比べるとわずかです。人の体感温度は、室温だけでなく、湿度や気流によっても変化します。室温を下げる代わりに風量を強くすることで体感温度が下がり、涼しく感じられます。
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検証4 SNSで話題の室外機に濡れタオルは、「あり」 と 「なし」 でどちらが節電?
「濡れタオル:なし」 の方が節電に!
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近年SNSで話題となっている 、エアコンの室外機の上に濡れタオルを設置すると節電になるという噂を検証しました。室外機の上の濡れタオル「あり」と「なし」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなしにして消費電力量を計測し、1ヵ月あたりの電気料金の違いを調査しました。
検証結果 「濡れタオル:なし」の方が節電に!(1か月換算で1,020円節約)
室外機の上の濡れタオル「あり」と「なし」で比べたところ、消費電力量は濡れタオル「あり」が3.87kWh、「なし」が2.77kWhとなり、濡れタオル「なし」は消費電力量が約3割少ないという結果になりました。1か月換算では、濡れタオル「なし」は「あり」と比べて電気代が約1,020円少なくなります。
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このような結果になる理由は、濡れタオルが室外機側面の吸込口や吹出口の一部に垂れ下がり、空気の通り道をふさいでしまったためと考えられます。エアコンは、室外機の吸込口や吹出口の空気の流れを妨げられると運転効率が落ち、その分余計に電力を使ってしまいます。室外機の上に置いたタオルが乾いて室外機側面に大きく垂れ下がると、吸込口や吹出口のより多くの範囲をふさいでしまい、さらに効率が低下してしまうので、注意が必要です。
エアコンは、室外機周辺の空気の温度や、室外機の側面や背面にある熱交換器の温度が下がれば、効率的な運転につながります。そのため、室外機に日陰を作ったり、室外機周辺に打ち水をしたりすると節電効果が期待できます。
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検証5 夏の睡眠時のエアコンは、「切タイマー運転」と「つけっぱなし運転」
暑さ指数「WBGT」の観点からどちらがおすすめ?
朝まで「つけっぱなし運転」の方が快適
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夏場の睡眠時にエアコンを使う際のおすすめは「切タイマー運転」(就寝後3時間でエアコンOFF)か、朝まで「つけっぱなし運転」か暑さ指数「WBGT」の観点から調査しました。
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検証結果 朝まで「つけっぱなし運転」の方が快適!
睡眠時にエアコンを「つけっぱなし運転」にすることに抵抗を感じて「切タイマー運転」を使う人は多いかもしれません。今回の調査では、つけっぱなし運転の場合、睡眠時の暑さ指数(WBGT)は一般的に危険性が少ないと言われる23℃ほどに抑えられる結果となりました。一方のタイマー運転の場合の暑さ指数(WBGT)は、明け方には熱中症への警戒が必要とされる25℃近くにまで達しました。夜間の温度上昇は、夜中の目覚め、睡眠の質の低下にもつながる可能性もあることから注意が必要です。気温や湿度が高い日は、朝まで「つけっぱなし」運転の方が快適といえるでしょう。
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ダイキンからのアドバイス
普段、エアコンを使う際に節電のつもりでしていることでも、逆効果になってしまう場合があります。また、エアコンの使用時間を無理に抑えると、熱中症リスクが高まることもあります。今回の5つの検証結果やその理由を参考に、その日の気温や湿度、体調などに合わせて、節電にも配慮したエアコンの適切な使い方を意識してみましょう。今年も暑い夏が予想されますが、エアコンを上手に使って快適で健康的な夏をお過ごしください。
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【実験環境】
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