「見知らぬ人と同じベッドで眠る」。そんな暮らしが今、中国の若者の間で広がっている。
中国のSNSや賃貸サイトには、「シェアベッド」の入居者募集や入居希望の投稿が数多く並ぶ。家賃を少しでも抑えるため、2人が1台のベッドを共有し、それぞれ自分のシーツや布団を敷いて眠るという。
関連する話題は最近、中国SNSでトレンド入りし、実際に経験した若者たちから、過酷な実態を語る投稿が数多く寄せられた。
2人で同じベッドを使うため、背中合わせで横向きになって眠り、寝返りを打てば相手にぶつかる。生活リズムが違えば、相手が寝る時間に合わせて部屋を暗くし、朝は相手の物音で目を覚ますなど、十分な睡眠を取ることも難しい。それでも、高額な家賃を考えれば我慢するしかないという。
シェア相手の多くは見知らぬ他人だ。同じベッドで毎日眠りながらも、互いにイヤホンをつけ、それぞれスマートフォンを見つめたまま、ほとんど言葉を交わさない。中には、「仕事で疲れ切っているので、横になればすぐ眠れるから細かいことは気にならない」と話す若者もいる。一方、多くの体験談からは、不便さやストレスに耐えながら暮らしている実態がうかがえる。
背景にあるのは、長引く景気低迷と深刻な若者の就職難だ。都市部では家賃が高騰する一方、初任給は伸び悩み、一人暮らしをすれば給料の半分から、場合によってはほぼ全額が家賃で消えてしまう。そのため、寝る場所まで他人と分け合い、生活費を切り詰める若者が増えている。
中には、2LDKを無理やり5部屋に仕切って貸し出す物件もあり、若者たちはプライバシーや住み心地を犠牲にしてでも、家賃を抑えようとしている。
中国では近年、タクシーや配車サービスを他人と相乗りして運賃を折半したり、デリバリーアプリで他人と注文をまとめて送料や配達料を節約したりするなど、あらゆる場面で支出を抑える生活が広がっている。そして今、その節約はついに「寝る場所」にまで及んだ。
SNSでは、「働いても生活が楽にならない」「これでは結婚や子育てを諦める若者が増えるのも当然だ」といった声が相次いでいる。
かつて「都会へ行けば未来が開ける」と言われた中国。しかし今、その夢を追って大都市へ出た若者たちは、自分だけの部屋どころか、自分だけのベッドさえ持つことが難しい時代を生きている。
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