中国 「革命」と呼ぶ声も広がるネット最大級の騒動へ

ファーウェイと「竹ゼミ事件」 もう止められないネット反乱へ

2026/08/08 更新: 2026/08/08

いま中国で最も熱い言葉は、「竹ゼミ」かもしれない。

動画投稿から始まった騒動は、ネット上で「竹ゼミ革命」と呼ぶ声まで現れるほど拡大。

ファーウェイを皮肉る「竹ゼミ」関連動画は削除されるほど投稿が増え、ついにはファーウェイの新車発表会まで飲み込む社会現象となった。

始まりは、ごくありふれた一本の紹介動画だった。

振ると「ワーワー」とセミのような音が鳴る中国の伝統的な竹製玩具「竹ゼミ(竹知了)」。ある動画投稿者が、この玩具を振りながら「1千万元(約2億円)以内で最高のおもちゃ」と紹介する動画を公開した。

この一言が、多くの中国人にファーウェイを連想させた。

ファーウェイ常務取締役・余承東氏は2023年、新エネルギー車「問界(AITO)M9」の発表会で、「1千万元以内で最高のSUV」とアピール。その直後、会場から一斉に「ワーッ!」という大歓声が沸き起こった。この映像は「大げさすぎる」とたびたびネットで話題となり、「1千万元以内で最高」は余氏の決まり文句として知られるようになっていた。

さらに、竹ゼミを回したときの「ワーワー」という音が、その歓声にそっくりだったことから、「まるでファーウェイの発表会だ」と動画は一気に拡散。「1千万元以内で最高のおもちゃ」という言葉も相まって、ネットミームとして爆発的な人気を集めた。

これに対しファーウェイは、「企業や企業家の社会的評価を傷つけた」として、SNSや動画サイトに関連動画の削除を相次いで申し立てた。動画は次々と削除され、投稿者の中にはアカウントの利用制限や閉鎖措置を受けるケースも相次いだ。

しかし、この対応は完全に裏目に出る。

動画が削除されるたびに新たな投稿が現れ、「竹ゼミ」は瞬く間にネット中へ広がっていった。

竹ゼミだけではない。鍋ぶたやペットボトルのふた、工具、薬瓶など、手近な物を「竹ゼミ」のようにくるくる回す動画がSNSにあふれ、一時は関連動画の新規投稿が1日で3千本を超える状況となった。

ECサイトでは竹ゼミの売り上げが急増。「1千万元以内で最高のおもちゃ」「余承東モデル(余総同款)」などの宣伝文句まで登場し、一時は品薄状態となった。

騒動はネットの中だけでは終わらなかった。

8月5日に開かれたファーウェイの新型EV発表会では、ライブ配信のコメント欄が「竹ゼミ」の投稿であふれ、運営側はコメント機能を一時閉鎖するしかなかった。

ファーウェイはその後、「竹ゼミそのものを問題視したのではなく、悪意ある編集や名誉毀損に対する通常の権利保護だった」と説明した。しかし、この説明はネットユーザーの反発を鎮めることはできなかった。

中国問題に詳しい時事評論家の唐靖遠氏は、「竹ゼミは導火線にすぎない。本当に爆発したのは長年積み重なった社会の不満だ」と分析する。

多くのネットユーザーは、ファーウェイを単なる民間企業ではなく、中国共産党を後ろ盾に持つ特別な企業と受け止めている。そのため、大規模な動画削除やアカウントへの措置は「企業の権利保護」ではなく、「権力を背景にした言論封じ」と映り、製品不良や事故、企業への批判がこれまで強引に封じられてきた不満が、竹ゼミをきっかけに一気に噴き出した。

もともとは子供の遊び道具だった竹ゼミは、いまや巨大企業への皮肉だけでなく、言論統制への反発を象徴する存在となった。

ブランドを守るために始まった動画削除は、結果として誰も注目していなかった昔ながらの玩具を全国区の人気商品へ押し上げた。そして今、中国ネットでは、この現象を「竹ゼミ革命」と呼ぶ声まで現れ始めている。

一つの竹製玩具が揺らしたのは、ファーウェイだけではない。竹ゼミが本当に鳴らしたのは、長年押さえ込まれてきた人々の不満だ。その「ワーワー」は、いまも中国ネットに鳴り響いている。

 

振ると「ワーワー」とセミのような音が鳴る中国の伝統的な竹製玩具「竹ゼミ(竹知了)」。ファーウェイが紹介動画の削除を申し立てたことをきっかけに、ネットで大きな話題となった(動画より)
李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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