中国 一本の矢印が映した「愛国企業」の敏感さ

公衆トイレの矢印がファーウェイを指してるように見える?撮影客殺到し看板交換へ=上海

2026/08/27 更新: 2026/08/27

上海で、公衆トイレの案内板が思わぬ騒動を巻き起こした。

「公共トイレ」と書かれた看板の矢印が、撮影する角度によって、ちょうどファーウェイの店舗を指しているように見えたのだ。

写真は中国SNSで瞬く間に拡散。「1000万元(約2億円)以内で最高のトイレ」など、ファーウェイの宣伝文句をもじった冗談が飛び交い、現地には記念撮影に訪れる人が殺到した。

ところが25日になると、現場には人が常駐するようになり、訪れた人の撮影を制止。翌26日には、話題になった案内板が撤去され、矢印の向きを変えた新しい案内板に交換された。公衆トイレは変わらず通常通り使われている。

もちろん、ファーウェイの店舗が公衆トイレだったわけではない。撮影する角度が生んだ、ただの偶然である。

 

上海のファーウェイ店舗前で、話題になった公衆トイレの案内板を撤去する様子。案内板は取り外され、その後、矢印の向きを変えた新しいものに交換された(ネット画像)

 

それなのに、なぜ案内板を撤去し、矢印の向きまで変えたのか。

背景には、中国でファーウェイが「普通の企業」とは少し違う存在として扱われてきた事情がある。同社は「愛国企業」の代表格とされ、表向きは民間企業ながら、中国共産党や政府との深いつながりでも知られる。そのため、ファーウェイをめぐる冗談まで、ときに単なる「笑い」では済まなくなる。

似た騒動は先月にもあった。

回すと「ワーワー」と鳴る昔ながらの玩具「竹ゼミ」が、ファーウェイをからかうネタとして大流行。関連動画が同社からの通報を受けて次々と削除されると、逆に「横暴すぎる」「国家権力を背景にした言論封じだ」と批判が噴出した。

さらに通販では、商品ページの削除や注文のキャンセル、発送後の商品まで送り返されたとの投稿が相次いだ。消そうとするほど話題は広がり、ただの玩具がファーウェイや権力をからかう象徴になっていった。

そして今度の相手は、公衆トイレの看板である。

誰かが仕掛けた風刺ではない。街にあった看板を撮ったら、たまたま矢印の先にファーウェイがあった。それだけのことだった。

「ワーワー」の次は、物言わぬ一本の矢印。笑われたくないという必死さが、皮肉にも、かえって笑いを広げている。

 



ファーウェイと「竹ゼミ革命」 「ワーワー」に託された権力への怒り

中国で広がる「竹ゼミ革命」始まりはファーウェイをからかう小さな玩具だった。いまや権力への不満を表す合言葉に。2026年の中国を象徴する流行語になるかもしれない

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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