日本における決済手段といえば、かつては現金が主流であったが、ここ数年でデジタルウォレットの普及が拡大。これにより、消費者の支払い習慣は大きく変化しつつある。また、スマートフォンの普及と政府のキャッシュレス化推進策を追い風に、さまざまなデジタルウォレットサービスが登場し、利用者を増やしている。
そして、デジタルウォレットの中でも、特に急成長を遂げているのがPayPayだ。2018年にサービスを開始して以来、PayPayは爆発的な勢いで利用者を増やし、今や日本最大のモバイル決済アプリとなった。
PayPayの強みは、その幅広い利用可能性にあると言える。たとえば、小売店やレストランでの支払いはもちろん、公共料金の支払いやオンラインショッピングなど、あらゆる場面で活用されている。
さらに、特に最近では、ゲーム業界においてもPayPayを通じたアイテム課金やゲーム内通貨の購入が一般的になっている。加えて、オンラインカジノなどのiGaming分野では、安全で迅速な入出金が実行できることから、PayPayを決済手段として導入したPayPayカジノが人気を集めている状況だ。
また、PayPayは日常的な送金手段としても広く利用されている。友人や家族間での割り勘や小口送金が、スマートフォン1つで瞬時に完了するようになり、この利便性が若い世代を中心に支持を集め、PayPayの急速な普及につながっていると言えるだろう。
このようなPayPayの成功に続き、他のデジタルウォレットサービスも独自の特徴を打ち出しながら市場シェアの拡大を図っている。
たとえば楽天ペイは、楽天エコシステム内での利用に強みを持る存在だ。楽天市場でのオンラインショッピングはもちろん、楽天ポイントとの連携や、契約数が700万回線を突破している楽天モバイルに対する料金支払いなど、楽天サービスを利用する消費者にとって便利なツールとなっている。また、実店舗での利用も可能で、特に飲食店やドラッグストアなどでの利用が増加中だ。
同様に、日本で圧倒的な利用者数を誇るコミュニケーションアプリLINEと連携していることから、LINEペイも広く人気を集めている。友人や家族とのやり取りの延長線上で、簡単に送金や支払いができる点が特徴。また、LINE内での商品購入時にも利用でき、若い世代の間では日常で使用されている。
他にも、フリマアプリ「メルカリ」と連携したデジタルウォレットであるメルペイが、昨今利用者数を急速に伸ばしている。その理由として、メルペイによってメルカリでの売上金をそのまま日常の買い物に使えるため、フリマユーザーにとって便利なサービスとなっているのだ。
さらに、メルペイスマートマネーという投資サービスも提供しており、単なる決済ツールを超えた金融サービスへの展開を図っている。
このように、これらデジタルウォレットはそれぞれの特徴を活かしながら、様々な場面での利用拡大が進んでいる。一方で、デジタルウォレットの普及に伴う課題も指摘されている。たとえば、セキュリティやプライバシーの問題、高齢者などデジタル機器に不慣れな層への対応、システム障害時の対策など、解決すべき課題は少なくない。また、現金決済を好む層も依然として存在するため、完全なキャッシュレス決済の社会への移行にはまだ時間がかかると見られている。
しかし、デジタルウォレットの普及が、消費者の行動に着実に変化をもたらしていることも事実だ。デジタルウォレットを活用することで、財布を持ち歩かずにスマートフォン1つで外出する人が増え、小銭の取り扱いに煩わされることなく、スムーズな支払いが実現。そして、支出の管理も容易になり、家計簿アプリとの連携などで、より詳細な家計管理が可能となっている。
従ってデジタルウォレットはいくつかの課題はあるものの、テクノロジーの進化により解決が進むことで、単なる決済ツールにとどまらない存在として、さらに人々の日常に溶け込んでいくことが予想される。
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