小麦の栄養を逃さない! そのまま食べる健康法

新しい研究によると、小麦はできるだけ全粒のまま食べるほうが効果的だとわかりました。この研究は、小麦を精製する過程で栄養素がどのように減少するかを明らかにしました。「農場から食卓まで」の調査では、精製した小麦粉で作られたパンは、全粒小麦粉で作ったパンに比べ、ミネラル含有量がほぼ3分の2に低下することがわかりました。

また、ビタミンAとEのレベルも精製するにつれて大幅な減少が明らかになりました。
 

穀粒から小麦粉、そしてパンへ

研究者たちは、ニューヨーク州ハドソンバレーで生産された1つの小麦サンプルを、穀粒、小麦粉、パンの3段階で追跡して主要な栄養素を調べました。小麦サンプルは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のデビッド・キリア氏に送り、ミネラル、フィチン酸(ビタミンB類)、デンプン、繊維、を分析しました。灰分とタンパク質のテストはカリフォルニア小麦委員会で行い、カロテノイド(ビタミンA類色素)とビタミンEの分析はオレゴン州立大学のライナス・ポーリング研究所で行いました。

研究者たちは、サンプルから3種類の小麦粉を作成しました。
 

  • 石臼挽きで作られた全粒小麦粉
     
  • ローラー挽きで再構成された全粒小麦粉
     
  • 外皮や胚芽が除去された精製された白い小麦粉
     

そして、これら3種類の小麦粉を使って一律のベーキングプロトコルでテストパンを作りました。

David Killilea analyzes wheat samples at the University of California–San Francisco. (Courtesy of Holly Duden)
デイビッド・キリア氏は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校で小麦のサンプルを分析している(Shutterstock)

 

研究結果

結果は劇的でした。主要なミネラルのレベルは「精製した小麦粉のパンは最大72%減少した」と研究者たちは書いています。微量ミネラルはより変動が大きく、精製した小麦粉のパンは最大64%減少しました。

さらに、以下のことが報告されました。
 

  • フィチン酸のレベルは穀粒と全粒小麦粉は同じですが、精製した小麦粉で作ったパンは最大83%減少しました。
     
  • 目の水晶体や黄斑部で抗酸化作用を発揮するルテインとパプリカや卵黄、ほうれん草などに多く含まれているゼアキサンチンのカロテノイド含有量は全粒粉と精製小麦粉では18~30%上昇しましたが、パンにすると最大77%減少しました。
     
  • 全粒小麦粉ではビタミン E レベルが最大 20%減少し、精製小麦粉とあらゆる種類の小麦粉から作られたパンでは最大 82%減少しました。
     

この研究は、ニューヨーク州のハドソンバレーにあるストーンバーンズ・センター・フォー・フード&アグリカルチャーの支援を受け、寄贈された小麦サンプルで行いました。製粉はノースダコタ州立大学で、ベーキングはストーンバーンズ・センターのパートナーレストランであるブルーヒルで行いました。

7月1日に開催したアメリカ栄養学会年次総会「Nutrition 2024」で、発表者のキリア氏は彼のチームの成果について話しました。薬理学の博士号を持ち、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究副学長であるキリア氏は、この研究とその影響について大紀元に語りました。

 

大紀元 小麦粉の製粉と精製が栄養素を大幅に減少させる事に驚きましたか?

キリア氏 はい、製粉して白い小麦粉にする際にミネラルが失われるのは意外ではありません。なぜなら、ミネラルは外皮と胚芽に多く存在し、白い小麦粉の生産過程でこれらが除去するからです。焼成後のカロテノイドやビタミンE、ビタミンAがいくらか失われることも予想していましたが、75%以上の減少には驚きました。

 

大紀元 調査結果に基づいて、人々に全粒小麦製品のみを購入することを推奨しますか?

キリア氏 厳密に言えば、そうです。全粒小麦が繊維、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質の点で優れていることは明らかです。しかし、残念ながら、アメリカではほとんどの小麦製品が、精製された(白い)小麦粉から作られています。また、「全粒小麦」とラベル付けされた食品が誤解を招く場合があります。本物の全粒小麦食品を見つけるのはかなり難しいので、消費者の皆さんは全粒穀物を選択することを勧めます。

 

大紀元 「 Nutrition 2024」会議でご自身のプレゼンテーションに関して、どのように受け止めましたか?

キリア氏 受け止め方は良かったと思います。全粒穀物の利点は栄養研究コミュニティで広く認識されています。我々の会議では、全粒穀物の消費が腸内フローラ、腸の健康、気分の改善をすること、また、多くの慢性疾患のリスクを減少させることに関するいくつかの他のプレゼンテーションもありました。

 

大紀元 ご自身の研究は、栄養士が指導し日々の食事に影響を与えると思いますか?

キリア氏 栄養士は、全粒穀物の消費によってどれだけの栄養が得られるかを理解するにつれて、精製小麦を全粒小麦食品に置き換えることへの緊急性を高めるでしょう。消費者も食品会社やレストランにもっと多くの全粒穀物の選択肢を要求し、全粒穀物に対して透明性と認証の主張をするでしょう。その変化は避けられないと思います。

 

大紀元 ストーンバーンズ・センターについてもっと教えてください。

キリア氏 この研究は、実験農場および研究センターであるストーンバーンズ・センター・フォー・フード&アグリカルチャー、およびジェームズ・ビアード賞受賞シェフであり著者であるダン・バーバーが率いるパートナーレストランのブルーヒルの支援を受けました。

バーバー氏は、「農場から食卓へ」というコンセプトを最初に打ち出したシェフの 1 人で、現在は最初のファーム・トゥ・テーブルの栄養研究を支援しています。世界クラスのレストランチームと農業協同組合が栄養研究に投資し、積極的に参加しているのは、とても喜ばしいことです。

 

(翻訳編集 青谷荘子)

健康と医療、食品、社会問題、文化について執筆。記事はThe Epoch Times、Children's Health Defense の The Defender、Salvo Magazine など、多数の出版物に掲載。