がん予防と血糖値低下に効果! 栄養豊富なグルテンフリー穀物

この穀物は非常に古い歴史を持ち、何千年もの間、アフリカやアジアの人々の食生活の中でした。全粒穀物委員会は、古代穀物とは、過去数百年間ほぼ変わらずに存在している穀物であり、現代の多くの精製穀物と比べて、より健康的な選択肢であると述べています。

ソルガムは穀類作物であり、イネ科の植物です。小麦、トウモロコシ、大麦と同類で、生産量が高く、高温や乾燥に耐えるため、暑くて乾燥した地域では貴重な農作物とされています。

ソルガムには様々な品種があり、白、黄、赤、黒など色とりどりの小さな丸い穀粒を実らせます。これらの穀粒はそのまま調理して食べることも、粉にしてパンや焼き菓子、その他多くの料理に使うこともできます。

ソルガムは収穫量が多く、高温や乾燥に強い特性を持っている(Shutterstock)

アメリカは世界で最もソルガム(⦅高粱、コーリャン⦆、モロコシ、たかきびなどの名称)を生産している国で、2021年には約4億5400万ブッシェル(1ブッシェルは約36.37リットル)を生産しました。ソルガムは栄養価が高いだけではありません。家畜の飼料やバイオ燃料としても利用できます。さらに、甘いソルガムからは糖蜜やウイスキー、ラム酒が作られます。

世界各地でソルガムは様々な名前で知られています。西アフリカでは「ギニアコーン」、南アフリカでは「カフィアコーン」、スーダンでは「ドゥラ」、東アフリカでは「ムタマ」、エチオピアでは「バチャンタ」と呼ばれ、インドでは「チョラン」「チャリ」「ミロ」「ジョワール」などの名前があります。ミャンマーでは「シャル」と呼ばれ、中国では「高粱」として知られています。
 

ソルガムはグルテンフリー 栄養価が高い

ソルガムはグルテンを含まないため栄養価が高く、グルテンフリーの食事を求める人々にとって注目の穀物です。特に、グルテンを避けて消化器系の健康を保つ必要があるセリアック病(グルテン腸症)の患者にとって重要です。

グルテンは通常、小麦、大麦、ライ麦に含まれるタンパク質です。グルテンはこれらの粉の柔らかい骨格であり、発酵時には膨らんだ空気や二酸化炭素を保持し、パンをふっくらと弾力のある「噛みごたえ」のあるものにします。

グルテンは小麦の柔軟な骨組みのようなものです。発酵する際には、この骨組みが膨らんだ空気や二酸化炭素を保持し、パンにふんわりとした弾力性と噛みごたえをもたらします。

スティーブン・ガンドリー博士は、心臓外科医としての豊富な経験を持ち、国際心肺研究所とリカバリー医学センターの創立者であり所長です。彼はまた、ベストセラー作家であり、人間の栄養学における専門家としても知られています。ガンドリー博士はソルガムを強く推奨しており、その健康への利点について、大紀元時報のメールインタビューで次のように語っています。

「私が診た全ての腸漏れ症候群と、自己免疫疾患の患者は、小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦のタンパク質に抗体を持っていました。ですから、味も良いソルガムに、腸壁の損傷を防ぐ理想的な代替食品として注目しました」

また、ソルガムはポリフェノールが豊富で、これらの植物成分は植物が外敵から身を守るのに役立ちます。ポリフェノールを含む植物を摂取すると、その保護効果が私たちの健康に役立ちます。

ポリフェノールを含む植物を摂取すると、その保護効果が健康に役立つ(Shutterstock)

研究によると、植物に含まれるポリフェノールは、心臓病、糖尿病、がんなどの慢性疾患の予防に有効であることが示されています。

ガンドリー博士は、ソルガムの特別な利点を指摘しています「外皮を持たない数少ない穀物の一つであるソルガムは、凝集素を含まず、この植物性タンパク質はリーキーガット症候群(腸の漏れ)を引き起こすことがありません。さらに、水不足の環境でも健康に育つソルガムは、世界的な気候変動に対応するのに適しています」

ソルガムはその食感から、他の穀物に代わる理想的な食材であり、これを使ったチャーハン、「オートミール風」朝食、またはローストターキーの詰め物など、多彩な料理に活用できます。これらのレシピはベストセラーになったガンドリー博士の「植物パラドックスのレシピ集」で紹介しています。

ソルガムはタンパク質と食物繊維が豊富で、一杯のソルガム米にはタンパク質が20.4グラム、食物繊維が12.9グラム含まれています。また、体を健康に保つのに必要なミネラルやビタミンも豊富で、特にリン、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、カリウムなどが含まれています。

ソルガムは、その豊富なポリフェノール化合物のおかげで、非常に強力な抗酸化作用を持っています。医薬品としての食品に関する専門誌に掲載された研究では、黒ソルガムとウルシ科のソルガムの二種類が、抗酸化性や抗炎症性において、ザクロやブルーベリーなどの人気のある食品を上回ることが明らかになりました。

ソルガムが、血糖値を下げる助けになることや、特定のがんのリスクを減らすなど、さまざまな健康上の利点があることは研究によって示されています。
 

1. 血糖値を下げるソルガム

ソルガムのGI(グリセミック指数)は低く、他の穀物に比べて消化が遅いため、血糖がゆっくりと体内に放出されます。これは特に糖尿病患者にとって有益です。

小規模なランダム化比較試験で、ソルガム米の摂取が血糖値とインスリンレベルに与える影響が評価されました。健康な男性が参加し、全粒小麦(比較対象)またはソルガム米のホットケーキを食べ、食前15分と食後の0、15、30、45、60、75、90、120、180分の各時点で血糖値とインスリンレベルを測定しました。

研究者は、ソルガム米のホットケーキを食べた男性の血糖値が平均で35%低下したことを発見しました。また、インスリンの反応も、比較対象の全粒小麦を食べたグループに比べて明らかに低かったのです。これらの結果は、ソルガム米が健康な人々の血糖値とインスリンレベルの管理に役立つ可能性があることを示唆しています。

ソルガムのホットケーキを食べた男性の血糖値が平均で35%低下した(Shutterstock)

2. 心臓の健康を支える

血液が循環系内でスムーズに流れることは、心臓の健康にとって極めて重要です。心臓病はアメリカで、死因の中の最も多い一つです。心臓病の患者やリスクがある人は、しばしばアスピリンなどの処方薬を用いて血液をサラサラにし、血栓ができるのを防ぐための治療を受けています。

国立衛生研究所のデータによれば、心血管疾患を抱えていない約2900万人のアメリカ人が、予防目的で毎日アスピリンを服用していると報告されています。

2020年の「栄養」誌に掲載された研究では、18人の健康なボランティアの血液サンプルを用いて、黒ソルガムから抽出した成分が血液の凝固に与える影響を検証しました。その結果、黒ソルガムの抽出物は、コラーゲンによる血小板の凝集や血中の血小板由来微粒子(PMP)の放出を大幅に抑制することが明らかになり、血液凝固のリスクを減らすと示しました。

また、この研究は、黒ソルガムの抽出物が血小板の活性化やPMPの放出に関わる特定のシグナル伝達経路を調整することで、心臓を守る効果を示唆しています。
 

3. ソルガムががんリスクを低減

いくつかの研究によると、ソルガムにはがんを抑制する効果があると示されています。

マウスを用いた研究では、人間の乳がん細胞をマウスに移植する異種移植モデルを使用し、ソルガムは腫瘍の成長を抑え、乳がん細胞の移動と拡散を阻害することを発見しました。研究者は、乳がんに対して腫瘍の成長を抑制し、移動を阻害し、転移を抑える効果があるため、ゴールデンソルガムを食用の治療剤として強く推奨しています。

別の研究では、「高フェノールソルガムブランエキス」が人間の大腸がん細胞に対し抗がん作用があるかを検討しました。このエキスは細胞の増殖を顕著に抑制し、剤量依存性を示すとともに、細胞のアポトーシスを引き起こし、細胞の成長、移動、侵攻を抑制することがわかりました。研究者は、この研究が高フェノールソルガムブランエキスを用い、大腸がん予防の理解を深めたと指摘しています。

3つ目のマウスモデルを使用した研究では、「高フェノールソルガムブランエキス」が結直腸がん細胞の拡散を抑制し、アポトーシス(細胞の自然死)を引き起こすことが確認されました。また、AMPK(腫瘍抑制因子)とオートファジー(健康な細胞が自然に不要な部分や欠陥がある部分を除去するプロセス)を活性化し、6週間にわたる治療で腫瘍形成を顕著に抑制することを示しました。

人間に対するさらなる研究が必要ですが、動物モデルと人間での初期研究結果は希望に満ちています。
 

ソルガムの食べ方

ソルガムは様々な食べ方があり、健康食品店やネットショップで広く販売されているほか、穀物や粉末の形で、ポップコーン、パスタ、朝食シリアル、パンなど、多くの食品にも頻繁に使われています。ガンドリー博士は自身のウェブサイトに専用のコーナーを設け、ソルガムを含む様々な商品を推薦しており、たとえばソルガムパスタがその一例です。

全粒穀物を食生活に取り入れたい方や、グルテンを避けたいと考えている方にとって、ソルガムは栄養価が高く、理想的な選択です。たんぱく質や食物繊維が豊富で、健康に多くのメリットをもたらします。

「穀物を手放せない方には、ソルガムは最適な代替品となります。また、ポップコーンが好きな方にとっても、ソルガムのポップコーンは通常のポップコーンと味や香り、しかも、見た目が同じで、私の妻も大変気に入っています」とガンドリー博士は言っています。

(翻訳編集 井田千景)

鍼灸医師であり、過去10年にわたって複数の出版物で健康について幅広く執筆。現在は大紀元の記者として、東洋医学、栄養学、外傷、生活習慣医学を担当。