世界が「ポストパンデミック(季節性インフルエンザと同等程度)」時代に入った現在も、COVID-19の変異株が依然として広がりを見せています。特にアメリカでは、2024年7月23日時点で36の州と地域で感染者数が増加しています。
カナダの公立大学で伝統の中医学(TCM)の教授を務めるジョナサン・リウ氏は、新しいCOVID-19の変異株KP.2とKP.3が強力な免疫回避能力を持っていると指摘しています。リウ氏によれば、夏季における国内および国際的な旅行の増加が感染拡大を助長しますす。
リウ氏は、健康情報番組「健康1+1」に出演し、簡単な指圧や食事療法を通じて、COVID-19の症状を緩和し、免疫力を高める方法について解説しました。
変異株KP.3とKP.2の急増
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の最新データでは、KP.3が現在アメリカで最も普及しているCOVID-19変異株で、全感染例の36.9%を占めています。これに次ぐのがKP.2で、24.4%を占めています。これらの変異株は強い免疫回避能力を持ち、従来の防御策では対応が難しく、特に高齢者や持病を抱える人々にとってリスクが高まっています。
COVID-19の症状と伝統中国医学による対策
COVID-19の一般的な症状として、喉の痛み、5〜7日間続く軽度の発熱、鼻水が報告されています。リウ氏は、これらの症状を伝統中国医学(TCM)の視点から三つのタイプに分類し、それぞれに応じた対策を提案しています。
1. 喉の痛み、軽度の発熱、寒気、淡い色の舌 このタイプでは、照海、列缺(れっけつ)、合谷の経穴に指圧を行うことで、症状を緩和できます。これに加えて、温かいスープやハーブティーを摂取し、体を温めることが勧められます。
2. 重度の喉の痛み、赤い舌の先端、透明から黄色または緑色に変化する鼻水 このタイプでは、より強力な指圧が推奨されます。例えば、迎香、印堂の経穴への指圧が喉と鼻の症状を軽減するのに役立ちます。
3. 赤い舌と厚い舌苔 このタイプはより深刻な症状を示しており、TCM専門家による診断と治療が推奨されます。専門家の指導のもと、特定の漢方薬の使用も検討されるべきです。
リウ氏は、自宅で簡単に行える指圧の方法についても解説しています。照海、列缺、合谷のツボへの指圧は、喉の痛みや発熱を軽減し、迎香、印堂の経穴への指圧は、鼻づまりや頭痛の緩和に役立ちます。また、温かいハーブティーや適度な運動も免疫力を高める手助けとなります。
高齢者の感染予防策
リウ氏は、高齢者や子供は免疫力が比較的弱いため、COVID-19の感染リスクが高いと述べています。特に多くの高齢者が慢性的な病気を抱えているため、感染が深刻な合併症を引き起こす可能性があります。したがって、高齢者にとっては感染予防が極めて重要です。
リウ氏は、高齢者向けの感染予防策として、公共の場では常にマスクを着用し、頻繁に手を洗うこと、混雑した場所や換気の悪い場所を避けることを推奨しています。また、軽度の症状であっても、発熱や体の痛みがある場合はすぐに医師の診察を受けることが重要です。抗ウイルス薬の処方により、重症化のリスクを減らすことができ、TCMによる治療も補完的なアプローチとして検討されるべきです。
結論と今後の展望
COVID-19のパンデミックは終息に向かっているかもしれませんが、新たな変異株の出現に、私たちは引き続き警戒を怠らないように警告しています。今後もウイルスの監視と適切な予防策の実施が不可欠です。また、伝統の中医学のような補完医療が、特に感染拡大が続く状況下で、健康を維持するための有用な手段となることが期待されます。
(翻訳編集 呉安誠)
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