ひまし油パックで体内デトックス! 医師が教える簡単ケア法

昔から、民間療法ではひましがさまざまな健康トラブルに使われてきました。自然療法士やホリスティックなケアを提供する専門家たちは、このオイルを活用して、クライアントの健康をサポートしています。ひまし油パックは、症状を和らげたり、治癒を促進したり、さらには体内のさまざまな健康マーカーに良い影響を与えます。

ひまし油は、トウゴマという植物から作られる植物油で、インドが原産です。世界のひまし油の生産量の90%がブラジルとインドで占められています。古代エジプトでは、ひまし油は下剤として、また妊婦さんの陣痛を促すために使われていた記録があります。

トウゴマ(Shutterstock)

 

一般的に、ひまし油は下剤として知られていますが、ホリスティック療法の専門家たちは、脂質代謝のサポートや、子宮収縮の促進、抗菌効果など、内服によるさまざまなメリットを強調しています。

ひまし油が体内でどのように作用するかはまだ完全には解明されていませんが、それでも効果を裏付ける多くの研究が存在します。数週間ひまし油を使い続けることで、ひまし油に含まれるリシノール酸が次のような効果をもたらします。

体内の解毒を穏やかに促進し、さまざまな臓器をサポート

リンパの流れを良くし、ガスや膨満感、便秘を和らげる

痛みや腫れ、炎症を軽減し肌の健康を促進

免疫力を高め、乳房や生殖器の健康をサポート

ストレスを軽減し、リラックスを促進

ひまし油パックは、長い歴史の中で多くの成功を収めてきました。この分野には、まださらなる研究が必要ですが、ひまし油パックがシンプルで手軽に試せる、低リスクの自然療法であることを裏付ける興味深い研究もあります。ひまし油パックは、体のさまざまな部分に応用でき、家でも簡単に行える多くの治療法があります。ここでは、特に役立ついくつかのひまし油パックの使い方をご紹介します。

 

免疫サポートと肝機能

1998年に『Journal of Naturopathic Medicine』に掲載された二重盲検試験では、ひまし油パックが36人の被験者に与える影響を調査しました。

研究では、ひまし油パックを肝臓や腹部に当て、2時間にわたって温めました。血液検査は、ひまし油パックを行う前、2時間後、7時間後、そして24時間後に実施しました。研究者たちは、血清中の総リンパ球、T11細胞、T4細胞、T8細胞、肝機能マーカー、コレステロール値を評価しました。

その結果、7時間後に総リンパ球とT11細胞が増加し、24時間後にはリンパ球が元の状態に戻ることを確認しました。これにより、ひまし油パックが短期間の免疫機能の向上に寄与すると示唆されました。

ひまし油パックが短期間の免疫機能の向上に優れていると示唆される(Shutterstock)

 

別の研究では、『International Journal of Naturopathic Medicine』に発表されたもので、疲労を訴える17人の参加者を対象に、ひまし油パックの長期的な使用効果を調査しました。

参加者は、肝臓の上にひまし油パックを毎日90分間、週5日、2週間にわたって行いました。血液検査は0日目、8日目、15日目、22日目に実施され、総リンパ球、T11細胞、T4細胞、T8細胞、肝機能マーカー、コレステロール値を評価しました。

この研究では、肝酵素やコレステロール値が高かった参加者の数値が、研究終了時には正常値に戻ったことが確認されました。また、リンパ球の数値が基準外だった参加者も、正常範囲に戻りました。

 

ひまし油パックと便秘の改善

ひまし油パックは、便秘に悩む人にとって効果的な緩和策となる可能性があります。『Complementary Therapies in Clinical Practice』に掲載された研究では、65歳以上の介護施設の入居者35人を対象に、14日間にわたって観察が行われました。

この研究対象者の80%は、10年以上にわたって便秘に悩んでいました。ひまし油パックを、研究の8日目、9日目、10日目に腹部に60分間当てました。その結果、ひまし油パックの使用によって、排便時の力みが減少し、排便後にすっきりした感覚が得られることを確認し、便秘の症状が改善されました。

 

ひまし油パックで
妊娠しやすい体作りをサポート

ひまし油パックは、昔から妊娠をサポートするために使われてきました。ひまし油パックは、何百年もの間、妊娠を促進するために用いられてきたのです。いくつかの研究では、ひまし油が子宮の筋肉に直接働きかけることや、その抗炎症作用、解毒を促進する能力があることを示しています。

 

ひまし油パックでリラックス、
自律神経のバランスを整える

迷走神経は、頭蓋骨から始まり、体幹を通って腸まで伸び、腹部の臓器全体に分岐しています。この神経の活動は「トーン」と呼ばれ、ひまし油パックを使用することで、腸と神経系、特に副交感神経系との間の適切なシグナル伝達を改善し、迷走神経のトーンを向上させることができるかもしれません。

ひまし油パックは自律神経のバランスを整える(Shutterstock)

 

ひまし油パックのデメリット

ひまし油パックは、自宅で安全にできる穏やかな療法として認識されています。実際、私のクライアントたちも、ひまし油パックから多くの恩恵を受けています。

ただし、非常に稀ですが、ひまし油パックを使用中に皮膚に発疹やアレルギー反応が出ることがあります。この文章の焦点ではありませんが、ひまし油は他の療法で内服することもでき、その場合は腹部のけいれん、吐き気、下痢、電解質の不均衡を引き起こす可能性があります。また、ひまし油パックは、傷が露出している状態、発熱時、生理中や妊娠中には使用しないことが推奨されます。

生理中や妊娠中には使用しない(Shutterstock)

 

ひまし油パックの準備方法

必要な道具

コールドプレスのヘキサンフリーひまし油

湯たんぽまたは加熱パッド(オプション)

オーガニックウールのフランネル2枚(約30センチ×30センチ)

重曹またはアロールートパウダー(フェイスパウダー)

古いシーツまたはタオル

ひまし油パックの使い方

快適な場所に横になり、リラックスします。

ひまし油がパックから垂れることがあるため、古いシーツやタオルの上に横になることをお勧めします。

この時間を利用して、深呼吸をしたり、瞑想をしたり、祈りを捧げたり、音楽を聴いたり、本を読んだりしましょう。

ひまし油を大さじ約3杯、ウールフランネルの片方に均等に広げます。ひまし油をフランネルに浸透させますが、垂れるほどではないようにします。

ひまし油パックを気になる部位に置きます。

もう一枚の乾いたフランネルを上に重ね、湯たんぽや加熱パッドを油から保護します。

湯たんぽまたは加熱パッドを心地よい温度に設定し、パックの上に置きます。

この状態で最大90分間リラックスします。

ひまし油パックを取り除き、捨てるか洗って再利用します。

重曹やアロールートと少量の水を使って、肌からひまし油を優しく取り除きます。
 

ひまし油パックの使用に関する注意点

ひまし油パックは週に3~4回30~40分行うことを目指しましょう。

電磁波(EMF)に敏感な方は、加熱パッドの使用を避けてください。

全身の解毒を目的とする場合は、肝臓、腎臓、大腸の間でセッションを交互に行いましょう。

腹部の図(Shutterstock)

肝臓のうっ血を解消するには、右下肋骨と上腹部にひまし油パックを置きます。

肩や首の後ろにひまし油パックを使用して、緊張性頭痛を和らげましょう。

下腹部にひまし油パックを置くことで、生理痛や子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状を和らげる効果が期待できます。

便秘を和らげるために、腹部にひまし油パックを使用しましょう。

産後のストレッチマークや帝王切開の傷跡の治癒には、切開部分が完全に閉じた後ならひまし油パックを使用できます。

乳房にひまし油パックを使用すると、線維嚢胞性乳房組織の痛みを和らげることができます。

 

(翻訳編集 華山律)

伝統的な訓練を受けた自然療法医であり、ホリスティックの認定医でもある。慢性疾患、リーキーガット、または自己免疫疾患を持つ人々を助けるための料理本とライフスタイルガイド『Restorative Kitchen』と『Restorative Traditions』を出版。