腎を養う秘訣、黒い食材と烏骨鶏の力

腎臓を養う食材で骨粗しょう症、腰痛、脱毛を予防しよう

伝統的な中国医学では、腎臓は非常に重要な臓器とされ、「生命の根本」として体のエネルギー源である「気」の源と考えられています。腎臓の機能が低下すると、骨粗しょう症や腰痛脱毛、白髪、歯茎の後退、歯のぐらつき、耳鳴りといったさまざまな健康問題が現れる可能性があります。これらの症状は、腎臓を養うことで効果的に改善できるとされています。

中国医学の古典『黄帝内経』には、「腎は骨を主り、髄を生ず」と記されており、腎臓の健康が骨や歯、髪の健康に密接に関わっていることが示されています。また、腎臓の状態は身長にも影響を与えると言われています。

例えば、腰痛や脱毛、さらには骨粗しょう症の症状は、腎機能の低下が原因である場合があり、中医学ではこれらの症状に対して、腎臓を補う治療法がよく用いられます。

 

中国伝統医学における「腎」とは

中国伝統医学では、腎臓は「腎精(じんせい)」とも呼ばれ、単に臓器としての腎臓だけでなく、生命エネルギーを司る重要な役割を担っています。この「精(せい)」や「精気(せいき)」と呼ばれるエッセンスは、主に腎臓に蓄えられ、体を構成し、生理機能を維持する基本的な物質とされています。これは両親から受け継いだ生命の本質に加え、食事や呼吸によって得られる栄養素も含まれています。

中医学では、腎臓の機能が低下すると「腎精の不足」とみなされ、骨や歯の健康、ホルモンバランス、免疫機能、体液の循環、さらには精神的な健康にも影響を及ぼすとされています。

一方、西洋医学では、腎臓は主に尿を生成して老廃物を排出する役割を持ち、腎臓病の治療や診断は「腎臓学(ネフロロジー)」、尿路系や生殖器系に関する診断・治療は「泌尿器学」として分類されています。

中医学によると、腎精や血が十分に保たれていれば、髪はツヤがあり、骨や歯も強くなります。しかし、腎精が不足すると、歯の弱化、骨粗しょう症、腰痛、猫背などの症状が現れることがあります。また、腎臓の健康は思春期の成長にも大きな影響を与えると考えられています。

さらに、中医学では、過剰な糖分摂取が腎臓にダメージを与え、骨の痛みや脱毛の原因になるとされています。そのため、食事に気を配ることが腎臓の健康維持に重要です。西洋医学の研究でも、腎臓病は骨密度の低下につながり、腎臓病患者は骨折のリスクが4倍高いことが指摘されています。

また、子供の虫歯も先天的な腎機能の低下と関連していることが多いとされています。さらに、耳鳴りも腎機能の低下と関係している場合があり、高音の耳鳴りは腎機能の低下、低音の耳鳴りは肝臓の問題と関連していることが中医学で示されています。耳鳴りのタイプを理解することで、より適切な治療法を見つける手助けになるかもしれません。

中医学では、腎臓の不調には感情的な要因も関与していると考えられます。たとえば、悲しみや憂鬱は肺を、恐れや驚きは腎臓を、怒りは肝臓を、過度の喜びは心臓を傷つけるとされています。したがって、感情の安定を保つことが腎臓の健康維持において重要です。

腎臓を補うためには、伝統的な補腎薬である「金匱腎気丸(きんきじんきがん)」や「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」、「還少丹(かんしょうたん)」を食生活に取り入れることも効果的な方法の一つです。

 

黒い食材と烏骨鶏のスープ

中国伝統医学では、黒色の食材が特に腎臓を養う効果があるとされています。代表的な黒色食材には、黒豆、黒ごま、黒米(紫米とも呼ばれます)、黒きくらげなどがあります。これらは、腎臓の機能を強化し、全身の健康を促進する栄養素が豊富です。

また、特別な薬用植物である「何首烏(かしゅう)・ツルドクダミ」も黒色の食材の一つです。何首烏は、何世紀にもわたり、肝臓と腎臓を強化する伝統的なトニックとして用いられ、髪を黒くし、寿命を延ばす効果があると伝えられています。

黒色の食材に加えて、烏骨鶏のスープも古くから腎臓を補うために親しまれてきました。烏骨鶏は滋養強壮作用があり、体を温め、免疫力を高める効果があると言われています。

西洋医学の研究でも、何首烏には老化防止脱毛防止の効果があることが確認されています。また、抗がん作用、抗酸化作用、抗菌作用、動脈硬化予防効果などもあり、免疫機能の調整や肝臓の保護にも役立つことがわかっています。これらの効果は、何首烏に豊富に含まれるベンゼン化合物、キノン類、フラボノイドによるものです。

烏骨鶏スープのレシピ

材料

お好みのきのこ 3つ

烏骨鶏 半羽

生姜スライス 6枚

何首烏 38~76グラム

クコの実 30~38グラム

紅棗(なつめ) 8~10個

作り方

きのこを水で柔らかくなるまで戻し、小さく切ります。

烏骨鶏を洗って、適当な大きさに切ります。

烏骨鶏、きのこ、生姜スライスを沸騰したお湯でさっと下茹でし、一旦取り出します。

何首烏をきれいに洗い、水1リットルを鍋に入れて沸騰させます。

鶏肉と残りの材料を鍋に入れ、弱火で約30分煮込みます。鶏肉に火が通ったら完成です。塩で味を調えてください。

このスープは、腎臓に栄養を与え、記憶力向上や認知症予防にも役立つ可能性があります。

注: 上記の薬草は、健康食品店やアジアの食料品店で購入できます。具体的な治療法や健康に関するご相談は、医療専門家にお問い合わせください。

 

この記事に記載されている内容は、著者の個人的な意見であり、『エポックタイムズ』の見解を必ずしも反映するものではありません。

(翻訳編集 華山律)

胡乃文
台湾台北市にある上海同徳堂の伝統中国医学医師。カリフォルニア州サニーベールのNine Star University of Health sciencesの教授であり、また、スタンフォード研究所で生命科学の研究員としての経験を持つ。20年以上の臨床経験を通じて、14万人以上の患者を治療。中医学を用いて世界で5人目の悪性黒色腫患者を治癒させたことで名を馳せる。現在、登録者数70万人を超えるYouTubeの健康番組を主宰。また、オーストラリアや北米などで開催されている健康とウェルネスに関する人気のロードショーでも知られている。