「健康的な生活をしているのに、なぜ乳がんを発症するのだろう?」と疑問に思う人も多いでしょう。台湾の乳がん専門医である張金堅(ジャン・ジンジエン)医師は、乳がんリスクには睡眠習慣も影響を与える可能性があると指摘しています。他にも乳がんのリスクを高める要因について説明しています。
乳がんリスクを高める主な要因
乳がんリスクを高める要因として、まず挙げられるのは「家族にがんの病歴があること」です。例えば、アンジェリーナ・ジョリーさんは家族にがん患者が多かったため、高い乳がんリスクがあることを医師から指摘されました。彼女の叔母は乳がん、母親は卵巣がんで亡くなっており、どちらも乳がんに関わるBRCA1遺伝子の変異を持っていました。ジョリーさん自身も同じ遺伝子変異を持っており、乳がん発症リスクが90%近くあると診断されたため、予防として乳房や卵巣の摘出を決断したのです。
張医師によると、現在では乳房切除手術も美容面で進化しており、乳輪や脇の下から小さく切開してインプラントを入れる方法が選べます。さらに、卵巣を摘出した後のホルモン不足に対しても、ホルモン補充療法やサプリメントで対応できると説明しています。
その他の乳がんリスク要因
乳がんリスクを高めるとされるその他の要因には、以下が挙げられます。
- 初潮が早い
- 閉経が遅い
- 閉経後の過剰なホルモン補充
- 高脂肪・高カロリーの食生活
- 出産経験がない
- 内分泌かく乱物質(化学物質など)への接触
張医師は、月経がプロゲステロンやエストロゲンの分泌を促し、乳腺を刺激するため、月経回数が多いほど乳がんリスクが高まると説明しています。また、ホルモン補充や高脂肪の食事は肥満や炎症を引き起こし、乳がんリスクをさらに高めることがあります。
さらに、プラスチック容器に入った飲み物や加工食品に含まれる化学物質、残留農薬が付着した野菜や果物も、生活環境における乳がんリスク要因とされています。
概日リズムの乱れとがんリスクの関係
張医師は、夜型の生活を送る人は特に乳がんリスクに注意が必要だと指摘しています。概日リズム(体内時計)の乱れは乳がんリスクを高める可能性があるからです。たとえば、夜勤の医療従事者やフライトアテンダント、24時間営業のコンビニスタッフなど、昼夜逆転の勤務をしている女性は、通常の日勤だけの女性と比べて乳がんリスクが高いとされています。
概日リズムは、人間が昼と夜のサイクルに合わせて活動や休息を取る自然なリズムです。このリズムが守られていると、休息時間に体と脳がしっかり回復できます。眠りが浅かったり睡眠が不足したりすると、翌日の集中力が低下したり、頭がぼんやりして仕事や生活に支障が出ることもあります。
人は眠りにつくと「メラトニン」というホルモンが分泌されます。メラトニンは眠りを促進するだけでなく、免疫力を高める役割もあります。睡眠の質が悪いと免疫力が低下し、病気にかかりやすくなります。また、睡眠不足やストレスが他のがんのリスクを高めると言われています。
鬱とがんリスクの関連性
睡眠の質が悪い原因の一つに、不安や鬱の問題が挙げられます。鬱そのものが乳がんの直接的な原因ではありませんが、張医師によると、鬱が引き起こすストレスや不安が内分泌や免疫に影響し、さまざまな婦人科系の病気のリスクを高めるといいます。
張医師は、鬱による睡眠の悪影響を防ぐために、ストレスを軽く受け流す姿勢が大切だとアドバイスしています。彼自身も、年齢とともに夜中に目が覚めやすくなり、特に手術など重要な予定がある日は緊張から眠れないことがあったそうですが、今では緊張を手放すことで、以前より良い睡眠が取れるようになったと話しています。
睡眠の質を改善する6つのポイント
張医師は、質の良い睡眠をとるために、以下のポイントが大切だとしています。
寝具の硬さを調整
マットレスや枕は、硬すぎず柔らかすぎない中程度の硬さが理想的です。
ブルーライトを避ける
スマホやパソコン、テレビのブルーライトは眠りを妨げます。就寝前には使用を控えましょう。
リラックスできる音楽を選ぶ
寝る前は穏やかなリズムの音楽が効果的。刺激の強いリズムは避け、心が落ち着くものを選びましょう。
深夜の軽食を控える
夜遅い時間の食事は、睡眠の妨げになるため避けるのが望ましいです。
激しい運動を避ける
就寝前の激しい運動は控え、軽いストレッチや温かいお風呂で体をリラックスさせると、眠気が自然に促されます。
口論を避ける
寝る前の口論やストレスのある会話は避け、心をリラックスさせることが大切です。
さらに、張医師は、体の自然なリズムに従い、「今」を大切にしてリラックスすることで、がんリスクの軽減にもつながると強調しています。
この記事で述べられている意見は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門的な議論や友好的な討論を歓迎します。
(翻訳編集 華山律)
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