23年間にわたる研究によると、超加工食品を大量に摂取する高齢者は、そうでない人に比べて死亡率が10%高いことが明らかになりました。さらに、英国医学雑誌(BMJ)に掲載された980万人を対象としたシステマティックレビュー(系統的な総合分析)では、超加工食品の摂取が32種類の病気のリスク増加と関連していることが報告されています。これらには、心臓病、がん、2型糖尿病、不安障害、認知機能の低下などが含まれています。
問題なのは、超加工食品が手軽に食べられ、どこでも簡単に手に入るうえに、その美味しさが依存を生みやすいことです。そこで、台湾の栄養士・張維浚氏が、超加工食品への依存を断ち切るための5つの方法を提案しています。
食品の分類
NOVA分類システムによると、食品は四つのカテゴリーに分けられます。
第一類は未加工または最小限の加工食品で、果物、野菜、豆類、魚、卵、肉類などが含まれます。
第二類は調理用の加工食品で、油、バター、砂糖、塩などが該当します。これらは圧搾、精製、粉砕、乾燥などの工程を経て、自然界から抽出されたものです。
第三類は加工食品で、第一類と第二類の食品を加工したものです。例えば、瓶詰めの野菜、魚の缶詰、シロップ漬けのフルーツ、チーズ、焼きたてのパンなどがあり、食品の劣化を防ぐ添加物が加えられることもあります。
第四類は超加工食品で、多くの添加物と天然食材を工業的に加工して作られたものです。例として、清涼飲料水、袋入りスナック、冷凍食品、電子レンジ調理の即席食品などが挙げられます。
私たちはどんな化学物質を口にしているのか?
食品産業では、炭酸化、硬化油(水素化)、成形加工、防腐剤や着色料、安定剤、甘味料の添加などを通じて、食品の保存期間を延ばし、食感や風味を向上させています。
炭酸化:炭酸飲料(例えばソーダ)に二酸化炭素を加え、泡と爽快感を生み出します。
成形加工:食材を加工し、元の形とは異なる外観にすること。例えば、ソーセージやホットドッグは、材料を細かく砕いて再構成し、一定の形に仕上げられています。
水素化(硬化油):不飽和脂肪(液体油、例:大豆油・ひまわり油)に水素を加え、半固体または固体の飽和脂肪(例:マーガリン・ショートニング)に変えること。栄養士の張維浚氏によると、水素添加された脂肪は酸化しにくく保存が効くため、食品のサクサク感やなめらかさを向上させる効果があります。そのため、クッキー、パン、クリーム、パイ生地、ポテトチップス、ケーキなど、多くの食品に使用されています。
コンビニの商品を見渡すと、サツマイモや茶葉卵(台湾の味付け卵)を除けば、ほとんどすべてが超加工食品であることがわかります。しかし、張維浚氏によると、近年のフィットネスブームに伴い、コンビニもより健康的な食品を提供するようになってきています。例えば、サツマイモや雑穀ご飯、赤身肉、野菜を多めに含んだ「健康弁当」や、プロテイン食品、サラダ、フルーツなどが選択肢として増え、忙しい外食派にとっても比較的良い選択肢となっています。
依存性が高い食品に共通する特徴
英国医学雑誌(BMJ)が2023年に発表した研究によると、成人の14%、子どもの12%が超加工食品に依存している可能性があることが明らかになりました。
栄養士の張維浚氏によると、超加工食品は長年にわたり健康分野で議論の的となっています。その理由は、製造過程で大量の脂肪、油、砂糖が使用される一方で、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素がほとんど含まれていないためです。その結果、肥満を引き起こしやすくなり、さらにはスナック菓子を食事の代わりにする人も増え、大量のカロリーを摂取しながらも必要な栄養を十分に得られないという問題が発生しています。
特に、「高糖×高脂」の組み合わせは最も依存性が高く、次のような理由で人を惹きつけます。
美味しさ:糖分と脂肪の組み合わせは、濃厚な香りと強い旨みを生み出し、幸福感をもたらします。
味覚の刺激:糖分が血糖値を素早く上昇させ、脳に即座に快感や興奮をもたらし、さらなる摂取への欲求を引き起こします。
空腹ホルモンへの影響:高糖×高脂の食品は、空腹や満腹を調整するホルモンの分泌を乱し、長期的に摂取することで満腹感を感じにくくなり、食べる量が増えてしまいます。
脳への即効性:炭水化物と脂肪が素早く腸に届き、吸収率(生物学的利用能)が高まることで、短時間で脳に影響を与えます。
超加工食品から抜け出す5つの方法
超加工食品の誘惑から解放されるために、栄養士の張維浚氏は次の5つのポイントを提案しています。
- 健康情報を積極的に取り入れる:『健康ライフ』のような健康番組やニュースをチェックし、栄養について学びましょう。食べ物に対する理解を深め、意識を高めることが大切です。
- 栄養表示を確認する:食品を購入する前に、パッケージの栄養表示を確認し、糖分や脂肪の含有量をチェックする習慣をつけましょう。2秒だけ立ち止まって、「これは本当に健康に良いのか?」と考えることが重要です。
- 早寝してしっかり眠る:睡眠不足はホルモンバランスを乱し、高糖質・高脂肪の食品を欲しやすくなります。早めに寝ることで食欲をコントロールし、健康的な体重維持にもつながります。
- 水をたくさん飲む:十分な水分補給は代謝を促し、満腹感を高めることで、余計な食欲を抑える効果があります。
- 運動習慣を身につける:運動はカロリーを消費するだけでなく、幸福感をもたらすドーパミンの分泌を促します。運動によるポジティブな感覚を、食べることへの依存の代わりにしましょう。
また、減量を目指している人には、ダイエットサポートグループに参加するのもおすすめです。こうしたグループでは、メンバー同士で励まし合えるだけでなく、医師や栄養士、トレーナーから専門的なアドバイスや運動指導を受けることができ、超加工食品への依存を克服するのに役立ちます。
(翻訳編集 華山律)
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