疲労、背中の痛み、物忘れに悩んでいませんか?これらの症状は、腎臓からの警告信号かもしれません。簡単なツボマッサージと食事療法で腎臓を養生し、体の自己修復能力を高めることができます。
中医学における「腎」は、二つの腎臓の臓腑を中心に構成されるエネルギーシステムです。腎は生命の源に関連する「精」—遺伝による先天的な精と、食事や呼吸を通じて得られる後天的な精—を貯蔵しています。中医学の視点では、病気が発生する前に腎のエネルギーが消耗し、髪の早期白髪、背中の痛み、物忘れ、疲労などの症状が現れます。
腎臓の保護は足裏から始まる
人体のエネルギーは、経絡に沿って内臓と体の表面を流れます。その中でも、腎経は足から脚の内側を通り、腎臓とつながります。腎臓を健康に保つために、適切なツボをマッサージすることから始めましょう。
湧泉(KI1)は、足裏を(つま先から)三等分した線の最初にあって、足指を曲げて一番へこむ場所に位置する、腎経(腎臓の経絡)の重要なツボです。

マッサージ方法:手で足裏を温まるまでこすります。また、手のひらをこすって温め、湧泉ツボに押し当てます。このプロセスを毎朝と夕方に3~5分繰り返します。

労宮(PC8)は手のひらに位置する厥陰心包経のツボです。労宮を湧泉に置くことで、心と腎のつながりを実現できます。中医学理論では、心は火、腎は水を表します。この2つのエネルギーが融合するとバランスが達成され、よく眠れて、体の自己修復が可能になります。
手のひらの労宮ツボを足裏の湧泉ツボに置くことで、心と腎のつながりを実現します。
睡眠は腎臓を保護するのに重要です。中医学理論によると、午後11時から午前1時の間に休息することは、どんなサプリメントを摂るよりも効果的です。
温かい手のひらで腰を温める
腎臓を養うもう一つのマッサージは、温かい手のひらで腰をマッサージすることです。手のひらを温まるまでこすり合わせ、腰の腎臓の領域に置き、3~5分間優しくマッサージします。これにより、腎臓に温かさと栄養効果が生まれ、内側から健康が放射されます。
腎臓を強化する古代の薬膳療法レシピ
「唐鄭相国方」は、何世紀にもわたり処方されてきた腎臓強化のTCMレシピです。これは唐代の宰相、鄭余(てい・よ)に由来します。鄭が南方に赴任し、勤務中病に倒れ、どの薬も効かなかったのですが、地元の王子が勧めたレシピを試したところ、腎虚、腰痛、咳の症状が消えたと言われています。このレシピは後に彼によって唐の都に持ち帰られ、広く採用されました。
このレシピは、補骨脂(ほこつし)とクルミの2つの主要成分だけで構成され、粉末に挽いて蜂蜜と混ぜます。補骨脂はマメ科植物の種子で、腎臓を養い、腰を強化します。クルミも腎臓を養うことができます。
材料:
- 補骨脂 250g
- クルミの実 500g
- 蜂蜜
作り方:
- 補骨脂とクルミを挽いて細かい粉末にします。
- 十分な蜂蜜と混ぜ、均一にかき混ぜてペーストにします。
- ガラス瓶に保管します。
このペーストは直接食べたり、パンに塗って栄養補助食品として摂取できます。定期的に食べると、腎虚、腰痛、体力不足などの問題を改善するのに役立ちます。
中医学によると、腎臓を保護する他の食品には、黒豆、黒ゴマ、ヤムイモなどの黒い食品が含まれます。
五加茶:オフィスワーカー向けの強壮剤
毎日のティーブレイクに、腎臓を強化する五加茶(ごかちゃ)を一杯飲むと驚くべき効果があります。五加、別名「シベリア人参」は、人参と同じウコギ科に属します。肝臓、腎臓、心を養い、心を落ち着かせます。特に長時間の頭脳労働に従事するオフィスワーカーに適しています。
五加茶は甘い味で、ハーブの風味がありません。人参と同様に、五加にも気を補充する効果があり、体の細胞に多くの酸素を供給できます。疲れたときに、一杯飲むだけでリフレッシュできます。
材料:
- 五加の皮 3~4g
作り方:
- 五加皮をフィルターバッグに入れます。
- バッグを熱いお湯のカップに入れ、5分間浸して飲む前に淹らします。
腎臓を傷つける2つの避けるべきこと
さらに、腎臓を健康に保つために、腎臓を害する可能性のある2つのことに注意する必要があります。
1. 尿を我慢しない:長時間尿を我慢すると、膀胱を傷つけ、尿の逆流—膀胱から尿管、さらには腎臓に尿が逆流する—を引き起こし、腎臓疾患のリスクを高める可能性があります。
2. 食べ過ぎや、高ナトリウムおよび高プリン体食品を避ける:高プリン体食品には内臓肉、海鮮、酵母エキス、アルコール飲料、アスパラガス、カリフラワー、キノコなどの特定の野菜が含まれます。これらの食品は腎臓に負担をかける可能性があります。
注意:本記事で言及のあった一部の生薬には、馴染みがないかもしれません。けれども、通常、健康食品店やアジア市場で入手可能です。治療法は個人によって異なる場合があります。個別の計画については、医療専門家にご相談ください。
(翻訳編集 日比野真吾)
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