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活力と血糖対策に

マテ茶:血糖値と心臓の健康に役立つ、天然の活力飲料

マテ茶の原料として知られる「イェルバ・マテ」は、長年減量に役立つ飲み物として知られてきましたが、研究データによると、その利点はそれ以上のものがあります。その葉には、カフェイン、テオブロミン、テオフィリンが含まれており、これらが相互に作用することで、コーヒーや他の一般的な刺激飲料よりも穏やかで心地よい覚醒感をもたらします。

研究によると、イェルバ・マテの葉は血糖値のコントロール、心臓および腎臓の健康維持、がんとの闘いに役立つ可能性があります。
 

イェルバ・マテの栄養成分

マテ茶1杯には、コーヒー1杯とほぼ同じ約80mgのカフェインが含まれています。ただし、カフェインの含有量は使用する葉や抽出方法によって異なります。

イェルバ・マテに含まれる主な栄養素は以下の通りです:

  • 炭水化物:80.71%
  • タンパク質:4.09%
  • 脂肪:0.90%
  • ミネラル
  • ビタミン(ビタミンC、B1、B2、B6)
  • プリンアルカロイド(カフェイン、テオブロミン)
  • テオフィリン(微量)
  • ポリフェノール(フェノール酸、フラボノイド)
  • テルペン(サポニン、カロテノイド)

「コーヒーと比較すると、イェルバ・マテは抗酸化物質、ミネラル、テオブロミン、テオフィリンの効果が高いため、より多くの健康上の利点を提供します」と、食品科学者で食品業界コンサルタント、『150 Food Science Questions Answered』の著者であるブライアン・クオック・レ(Bryan Quoc Le)氏はエポックタイムズに語りました。

研究によれば、8gのイェルバ・マテの葉から作ったお茶を飲むことで、健康な被験者の血漿中の抗酸化活性が1~2時間以内に増加したとのことです。抗酸化物質は細胞の損傷を防ぎ、炎症を軽減し、全体的な健康をサポートします。

イェルバ・マテの主要な刺激成分はカフェインですが、テオブロミンとテオフィリンも軽度の刺激効果を持ち、活力の増加に寄与しています。

「テオブロミンはカフェインの化学的な前駆体です。中枢神経系に直接作用しませんが、心拍数を高め、利尿作用があり、気道の拡張を助けます」とレ氏は述べました。

テオフィリンは少量ですが、気道を広げ、中枢神経系を刺激し、心拍数や心筋収縮の強さを高める作用があります。
 

抗糖尿病効果

2020年に『Proceedings of the Nutrition Society』に掲載されたランダム化比較試験によると、マテ茶を定期的に飲むことは、2型糖尿病の予防に役立つ可能性があります。8週間にわたって1日3回マテ茶を飲んだ参加者は、アイソトニック飲料を飲んだ参加者と比較して、空腹時血糖値、インスリン、グルカゴンの値が低下し、代謝機能の改善が示唆されました。

さらに、高コレステロールのある人では、グルカゴンの減少がより顕著でした。

「イェルバ・マテは2型糖尿病患者の血糖値やHbA1c(糖化ヘモグロビン)レベルを下げるのに役立つ可能性がありますが、健康的な食習慣と組み合わせることで最も効果を発揮します」と、登録栄養士でヴィクトレム・パフォーマンス・ニュートリションのオーナーであるジェナ・ブラウン(Jena Brown)氏は、エポックタイムズへのメールで述べています。なお、HbA1cは血糖値の長期的な指標です。

「その抗酸化特性は、前糖尿病の人々にも有益である可能性がありますが、確かな結論を得るにはさらなる研究が必要です」とブラウン氏は続けました。

『Nutrients』に掲載された別の動物実験では、イェルバ・マテが血糖値を制御する2つの重要なホルモンであるGLP-1とGIPに影響を与える可能性が示唆されています。研究者たちは、マウスに4週間イェルバ・マテを与え、血液と腸内のこれらのホルモンレベルを測定しました。その結果、イェルバ・マテは血糖値のコントロールに良い影響を与えるGLP-1レベルを増加させましたが、GIPには影響を与えませんでした。

実験室でのテストでは、イェルバ・マテが腸内で分解される際に生成される化合物がGLP-1レベルを増加させることが示されており、この利点の一部は消化過程に依存する可能性があると考えられています。研究結果は、イェルバ・マテが腸に作用して血糖値を管理する可能性を示していますが、その仕組みを正確に理解するためには、さらなる研究が必要です。
 

心臓の健康を保護する可能性

イェルバ・マテには、特定の遺伝子の働きに影響を与えることで、心臓の健康を保護する可能性があります。2022年に『British Journal of Nutrition』に掲載された研究では、心疾患のリスクがある男性が4週間にわたって毎日マテ茶を飲んだ結果、心臓の健康に関連する2,600以上の遺伝子に変化が見られました。これらの変化は、イェルバ・マテが心疾患の予防に役立つ可能性を示唆しています。

「イェルバ・マテは減量をサポートし、健康的なコレステロール値や血糖値の維持にも役立ちます。これらすべてが、心臓の健康を促進する要因となります」と、ブラウン氏は述べました。

研究によると、イェルバ・マテは低密度リポタンパク質(LDL)および高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールの損傷を防ぐのに役立ち、心疾患のリスクを低下させる可能性があります。ただし、人に対する効果を明確にするには、さらなる研究が必要です。

2018年の研究では、閉経後の女性95人を対象に、イェルバ・マテの摂取が心臓および代謝の健康に与える影響を調査しました。1日に1L以上のマテ茶を飲んでいた女性は、高血圧、高コレステロール、心疾患の発症例が少なく、血糖値も低い傾向にありました。ただし、LDLやHDLなどのコレステロール値には、1L以上飲んだ人とそうでない人の間で大きな違いは見られませんでした。

なお、心疾患を抱える人は、イェルバ・マテが心血管系に影響を及ぼしたり、服用している薬と相互作用する可能性があるため、摂取前に医師に相談することをレ氏は勧めています。
 

抗がん作用

2020年の研究では、イェルバ・マテに含まれる有益な化合物が、天然の抗腫瘍剤となる可能性が示唆されました。研究者たちは、イェルバ・マテ抽出物が大腸がんとの闘いにどのように役立つかを調査し、腫瘍細胞や動物モデルを用いて、がん細胞の増殖や拡散を抑制できるかどうかを検証しました。

その結果、イェルバ・マテ抽出物が細胞死(アポトーシス)を誘導することで、がん細胞の増殖を減少させることが確認されました。また、動物実験では、腫瘍の成長や血管新生(angiogenesis)を抑制しながら、体重には影響を与えないことも明らかになりました。

これらの培養細胞および動物研究は有望な初期データを提供していますが、効果を確認するには人を対象とした臨床研究が必要です。
 

腎臓の健康をサポートする可能性

2023年に『Journal of Herbal Medicine』に掲載された研究では、イェルバ・マテ抽出物が酸化ストレスによる腎臓細胞の損傷からどのように保護するかが調査されました。

酸化ストレスとは、体内でフリーラジカルや有害な分子が過剰に発生し、それらを打ち消す抗酸化物質が不足している状態で生じます。この不均衡は細胞を損傷し、さまざまな健康リスクを高める要因となります。

この保護効果を検証するために、研究者たちは過酸化水素を用いてヒト腎臓細胞に酸化ストレスを与える実験を行いました。これは体内で酸化ダメージが高まっている状況を再現したものです。その結果、特定の用量のイェルバ・マテ抽出物が、約70%の酸化損傷を防ぐことがわかりました。また、抗酸化酵素の活性を高め、有害な分子の蓄積を減らす作用も確認されました。これらの結果は、イェルバ・マテが強力な抗酸化物質として腎臓細胞を保護する可能性を示しています。
 

マテ茶の楽しみ方

いくつかの研究では、イェルバ・マテの飲用が食道がんを含む特定のがんのリスク増加と関連しているとされていますが、このリスクは一般的に「高温の飲料」を摂取することに起因しています。

冷たいマテ茶を飲むことで、非常に熱い飲み物によって生じる食道がんのリスクを軽減できる可能性があると、レ氏は述べています。

5,000件以上の食道がん症例を対象とした23件の報告を調査した研究では、熱いお茶を飲むことが、食道扁平上皮がん(食道がんの一種)のリスクを有意に高めることが分かりました。このレビューでは、特にヨーロッパやオーストラリアの人々において、非常に熱いお茶の摂取ががんのリスクを高めることも明らかにされました。

また、イランで食道がんの発生率が最も高い地域の73人を対象とした別の研究では、非常に熱い飲み物を飲む習慣が、口腔内の細胞損傷および細胞分裂の増加と関連していることが示されました。遺伝的損傷こそ確認されなかったものの、華氏140度(摂氏60度)以上の飲み物を飲むことが細胞分裂を促進し、がんのリスクを高める要因になることが裏付けられました。

「喫煙やアルコールを摂取している人は、マテ茶を飲むことでがんのリスクがさらに高まる可能性があります」と、ブラウン氏は述べています。

イェルバ・マテの摂取量に関する明確な推奨はまだありませんが、ブラウン氏はイェルバ・マテの形態に応じて、1日1.5~5gを3回に分けて摂取する方法を提案しています。

「カフェインに敏感で、なおかつイェルバ・マテの効果を得たい場合は、1日を通して他のカフェイン飲料を控えるのが望ましいです。結局のところ、長期的な健康効果は、選ぶ飲料の量と摂取頻度に大きく左右されるのです」

(翻訳編集 日比野真吾)

健康分野のジャーナリストであり、シアルコット医科大学の理学療法博士課程に在籍中。脳卒中、麻痺、小児ケア、ICUでのリハビリテーションなど、幅広い症例への対応経験を執筆に活かしている。患者と医療従事者の間にあるコミュニケーションギャップを埋めるために、思いやりと共感、そして明快な表現を大切にしている。