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新研究:ダークチョコレートとお茶が血圧を下げる可能性

ダークチョコレートや朝のお茶が、確実に心臓に良い影響を与えてます。

約80年間に及ぶ研究により、紅茶、ダークチョコレート、リンゴなど日常的な食品に含まれる抗酸化物質が、血圧を「顕著に」下げ、心血管疾患のリスクを低くすることが明らかになりました。

「これは楽しい食生活を通じて血圧を管理し、心臓の健康を保ちたい人にとって、非常に喜ばしい発見です」と語るのは、サリー大学心血管医学教授であり、今回の研究の主著者であるクリスティアン・ハイス氏です。

植物由来の成分が持つ力

効果の秘密には「フラバン-3-オール(フラバノール)」という天然の植物化合物にあります。これは多くの食品に広く含まれており、体内では炎症を抑えたり、細胞をダメージから守る役割があります。

この研究は『ヨーロッパ予防心臓病学雑誌(European Journal of Preventive Cardiology)』に発表されたもので、5200人以上の成人を対象とした臨床試験を含む145件を総合的に分析しました。その結果、フラバノールを多く摂取しているグループでは、収縮期血圧(上の値)が平均3mmHg、拡張期血圧(下の値)が2mmHg下がっていました。

心血管疾患は世界的に最も多い死因であり、たとえわずかな血圧の改善でも、心臓発作や脳卒中のリスクを低下させることがあります。

「この程度の血圧低下でも、十分に意義があります」と話すのは、NYUランゴーン・ヘルスの心臓専門医マイケル・ガーシック氏。彼は、収縮期血圧を5mmHg下げるだけで、心臓病や脳卒中、心不全のリスクが約10%も減少すると指摘しています。

また、アラバマ大学の栄養学教授で食品科学の博士であるクリスティ・クロウ=ホワイト氏は、「わずかな血圧の変化でも、長期的な健康に影響を与える」と述べています。

例えば、収縮期血圧が2mmHg下がるだけで、心臓病による死亡リスクが7%、脳卒中による死亡リスクが10%低下するという研究結果もあります。

研究では、フラバノールを多く含む食品が、前高血圧や初期の高血圧の人に対して特に効果を発揮することがわかりました。場合によっては、その降圧効果が減塩や一部の薬と同程度であることもあります。

この効果は、病院での血圧測定だけでなく、24時間の血圧モニタリングでも確認されており、より包括的に心臓リスクを評価できる方法として信頼されています。

研究者たちは、フラバノールを多く含む食品を臨床的な血圧管理ガイドラインに組み込むべきだと提案しており、食事や運動との相乗効果が期待されています。

血圧を下げるだけではない フラバン-3-オールのさらなる健康効果

フラバン-3-オール(フラバノール)は、血圧を下げるだけでなく、心臓の健康にも幅広い効果をもたらします。フラバノールを豊富に含む食品は、血管の拡張・収縮能力を改善することがわかっており、これは長期的な心臓の健康を測る上での早期指標とされています。興味深いのは、これらの食品を一度摂取するだけでも効果が現れる点です。ただし、継続的に摂取することで、より明確な健康効果が得られます。

中でも一貫して強い効果を示すのが「エピカテキン(epicatechin)」という成分で、これはココアに含まれるフラバン-3-オールの一種です。

研究者たちは、フラバン-3-オールが体内の一酸化窒素レベルを高めることで、血管をリラックスさせ、拡張を促し、血流を改善すると考えています。これが結果的に、長期的な血圧の安定につながるとされています。

ココア食品の効果が特に顕著ではあるものの、研究チームはお茶やリンゴ、ブドウなどにも同様の効果があると指摘しています。これらの効果を最大限得るには、糖分が添加されていない形での摂取が推奨されます。たとえば、無糖のココアパウダーや高カカオ含有のダークチョコレートなどが適しています。
 

どれくらい摂ればいいのか?

クリスティ・クロウ=ホワイト教授は、アメリカ初の「フラバン-3-オールと心代謝の健康」に関する食事ガイドラインを主導・共著しました。このガイドラインは、アメリカ栄養・食事学会の支援を受け、『アドバンシズ・イン・ニュートリション(Advances in Nutrition)』という国際的な栄養学のレビュー誌に発表されています。

彼女のチームは150件以上の臨床試験を検討し、1日に400〜600mgのフラバン-3-オールを摂取することで、血圧の低下、コレステロール値の改善、血糖バランスの維持といった心血管および代謝の健康指標に良い影響があることを確認しました。このガイドラインは、サプリメントではなく「食品からの摂取」を基本としています。

「この食事ガイドラインは、さまざまな疾患のバイオマーカーに対するポジティブな影響に基づいて策定されました」と彼女は述べています。
 

フラバン-3-オールの摂取源:日常で手に入りやすい食品

最新の食事ガイドラインによれば、フラバン-3-オール(フラバノール)を手軽に日常の食事に取り入れる方法はいくつもあります。以下はその代表的な食品です。

• お茶: フラバン-3-オールを摂る最も簡単な方法のひとつです。240ml(約1杯)の紅茶には最大269mg、緑茶には約120mgが含まれており、カフェインを抑えたお茶でも効果があります。

• ダークチョコレート: カカオ分の多いチョコレートを20〜30g(小さな2片ほど)食べると、約30mgのフラバン-3-オールが摂れます。砂糖を控えたタイプや無糖のものを選ぶと、より効果的です。

• 果物: リンゴ、梨、ベリー類などにも含まれていますが、含有量はやや少なめです。たとえば、小さなリンゴ1個で約12mgほどです。
 

1日のフラバン-3-オール摂取モデルメニュー

下記は、クリスティ・クロウ=ホワイト氏の研究チームが提案する、1日あたり400〜600mgのフラバン-3-オールを目指す食事プランです。

朝食:オートミールにバナナ1本+紅茶 → 269mg

間食:ブラックベリー約120g  → 31mg

昼食:全粒粉のターキーサンド+リンゴ → 12mg

間食:ダークチョコレート → 30mg

夕食:黒こしょうグルーパー(魚)+野菜+ご飯+赤ワイン → 23mg

夜食:ミックスナッツ+カフェインレス緑茶 → 152mg
 

リスクが低く、効果が高い選択肢

研究に参加したほとんどの人は、フラバン-3-オールを多く含む食品を摂取しても副作用は見られませんでした。軽度の頭痛や消化不良などが報告されたのはわずか0.4%にすぎません。

研究者は、フラバン-3-オールはサプリメントではなく「食品から」摂ることを勧めています。特に降圧剤を服用中の方は、サプリメントと薬の相互作用のリスクがあるため注意が必要です。

「心臓に良い食事とは、果物や野菜を多く含むものです。これらがフラバン-3-オールの豊富な供給源です」とマイケル・ガーシック氏は述べています。「精製された加工食品ではなく、新鮮な野菜や果物を中心にした食生活を続けることをおすすめします」

これらの食品は薬の代わりになるものではありませんが、日常の中でお茶、ダークチョコレート、新鮮な果物を積極的に取り入れることで、心臓の健康を保ち、高血圧の人にとっても手軽なサポート手段になると期待されています。

(翻訳編集 華山律)

フリーランスのライターであり、ホリスティック健康教育者。ニューヨークのパシフィック・カレッジ・オブ・ヘルス・アンド・サイエンスで12年間教鞭をとり、クーパー・ユニオンでは工学部の学生を対象にコミュニケーション・セミナーを担当。現在は、統合医療やホリスティックなアプローチに焦点を当てた記事を執筆している。