長時間の座りっぱなしや運動不足などは、血液循環の悪化を引き起こし、さらには高血圧や糖尿病といった健康に害を及ぼす慢性疾患につながる可能性があります。日本の運動生理学および糖尿病分野の専門家による共同研究で、毎日簡単な「循環系ストレッチ」を行うことが血液循環を効果的に改善し、血圧・血糖および代謝の健康に良い影響を与えることが明らかになりました。
アメリカスポーツ医学会認定の運動生理学士・筋力およびコンディショニングトレーナーである中野修一氏と、糖尿病専門医の田畑尚吾氏は、共著『血管を強くする 循環系ストレッチ』の中で、患者が3ヶ月間の循環系ストレッチトレーニングを行った結果、血液循環が明らかに改善され、このストレッチは血糖の変動を調整し、血圧を下げ、動脈硬化を緩和するのに役立つと述べています。
ストレッチの設計ポイント
中野氏によると、この運動は新陳代謝を促進し、体脂肪を減らすだけでなく、骨密度の向上にも役立つとのことです。設計の理念は以下の3つのポイントに集約されます。
1、あまり動かさない部位を活性化:動作は、日常生活で動かす機会が少なく、こりやすい肩甲骨・脊椎・股関節などの部位に焦点を当てています。
2、血管が密集する部位を刺激:体の中心部を動かすことで、血管が多く分布している部分を刺激し、全身の血液循環を促進します。
3、反復動作:シンプルで繰り返しやすい動きによって、血流と代謝効率をすばやく高めることができます。
循環系ストレッチ
以下に、簡単に実践できる循環系ストレッチの3つの動作をご紹介します。
1、脱衣ストレッチ
主に肩甲骨・脊椎・太もも裏の筋群をターゲットにし、異なる深さでのストレッチにより、上半身および下半身の血液循環を改善します。
Step1:立った姿勢で、両手を小腹の前で重ねて構え、頭の上まで持ち上げて伸ばした後、腕を左右に広げてW字型にし、肩甲骨と脊椎を開きます。これを10回繰り返します。
Step2:膝を軽く曲げ、両手を膝の間に置いた後、Step1の動作を繰り返します。手を頭の上に伸ばす際に、脊椎を少し後ろへ反らせます。これを10回繰り返します。
Step3:ややしゃがみ、両手で足首に触れた後、Step1の動作を繰り返します。手を頭の上に伸ばす際に脊椎を少し後ろへ反らせます。これを10回繰り返します。
2、ストレッチ筋トレ
側腹部・広背筋・臀部・太ももの筋群を強化し、同時に体幹と下半身の安定性を鍛えます。
Step1:両足を肩幅に開いて立ち、片腕を90度に曲げて上に持ち上げた後、腕を伸ばして反対側に体を倒してストレッチします。元に戻し、これを10回繰り返します。
Step2:サイドランジの姿勢に合わせて、片腕を上げた側の脚を曲げながら、反対側に体を倒してストレッチします。臀部と脚の力で反対側へランジを切り替え、元に戻します。これを10回繰り返します。
Step3:より高度なバージョンとして、しゃがむ深さを増したり、スタート時に腰を斜め後ろへひねる動作を加えることで、体幹の安定性と柔軟性を向上させることができます。
3、スイング式ストレッチ
肩甲骨・脊椎・臀部を活性化し、協調性と血液循環を高めます。
Step1:両足を肩幅に開き、両手を真っすぐ上に持ち上げます。これを10回繰り返します。
Step2:片足を後ろに引いて軽くしゃがみ、お尻を後ろに突き出すようにしながら、立ち上がると同時に両手を上に伸ばします。これを10回繰り返します。
Step3:上級編として、両手にダンベルを持ってStep2の動作を繰り返すことで、負荷とストレッチ強度を高めることができます。
毎日わずか10分間、このストレッチを実践することで、長時間座りがちな方や慢性疾患を抱える方にとって、安全かつ実用的な運動方法となります。血液循環を促進し、心血管の健康を守るためにも、段階的に、そして継続的にストレッチを行うことが、健康な身体づくりの土台となります。
ストレッチ参考動画(中国語)はこちら:
(翻訳編集 解問)
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