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飛行機に乗ると「ジンジャーエール」を飲むべき理由

飛行機に乗ると、機内でドリンクやお茶などが提供されることがあります。コーラが好きな人もいれば、ジュースやワイン、ミネラルウォーターだけを飲む人もいます。しかし、高度36,000フィートの上空では、「爽やかで炭酸がしっかり効いたジンジャーエール」が最も選ばれる飲み物です。

地上では、ジンジャーエールはごく普通の飲み物にすぎません。19世紀40年代にアイルランドやイギリスで流行し、その人気は瞬く間に大西洋を越えて各国に広まりました。カナダ・オンタリオ州のジョン・J・マクラフリン(John J. McLaughlin)は1904年に「カナダドライ(Canada Dry)」ジンジャーエールを開発し、現在でも最も有名で人気のあるドライタイプのジンジャーエールブランドのひとつです。爽快な味わい、強い炭酸、そして独特の風味と色合いを兼ね備えています。

とはいえ、今ではジンジャーエールはアメリカの人気炭酸飲料トップ10には入っていません。ドクターペッパーやマウンテンデュー、もちろんコカ・コーラなどの甘い飲み物が市場を席巻しています。それでも、ジンジャーエールが主役になる特別な場所があります。それが「空の上」です。なぜでしょうか?
 

空の上では味覚にどんな変化が起こるのか?

飛行高度が高くなるにつれ、人間の味覚が変化する現象はすでに実証されています。乾燥した空気と機内の気圧が味覚と嗅覚を鈍らせ、地上で感じる味と上空で感じる味には違いが出るのです。世界保健機関(WHO)によると、飛行機の客室内の乾燥度と酸素濃度は、およそ標高1,800~2,400メートルの山頂と同じレベルに相当するといいます。

管理栄養士で理学修士のローレン・グロスコップ(Lauren Grosskopf)氏は、雑誌『Travel + Leisure(トラベル+レジャー)』の取材で、「甘味や塩味などの味覚が特に影響を受けやすい」と語っています。

客室乗務員が食事サービスを提供する様子(Shutterstock)

さらに味や香りが分かりにくくなるもうひとつの要因は、機内の湿度の低さです。ニューヨーク大学の栄養学講師リサ・R・ヤング(Lisa R. Young)氏は「コーヒーはさらに苦く感じられ、白ワインの酸味は強くなり、魚料理やソースは味気なく感じられる」と指摘しています。

甘みが感じにくくなるため、ジンジャーエール、特に甘さ控えめの「ドライタイプ」のジンジャーエールは人気が高いのです。変化した味覚が、かえってジンジャーエールの爽快さや刺激、すっきりした味わいを引き立ててくれるのです。
 

ジンジャーエールのメリット

高度3万フィートでジンジャーエールを飲むことには、さまざまなメリットがあります。

グロスコップ氏によれば、ショウガには薬効があり、旅行者にとって非常に役立ちます。ジンジャーエールが清涼飲料水として普及する以前から、ショウガは吐き気や消化不良、筋肉痛を和らげる民間薬として親しまれており、抗炎症作用もあります。

「飛行機での不安や緊張による胃の不快感を和らげるのに、ショウガは効果的です」とグロスコップ氏は述べています。

客室乗務員がカートを押して食事を配っている様子(Shutterstock)

ただし注意が必要なのは、多くのジンジャーエールは本物のショウガを使用しておらず、人工香料で風味をつけているだけという点です。それでも炭酸の働きによって、胃の不快感を和らげる効果は期待できます。もし、あなたの乗る飛行機で本物のショウガを使用したジンジャーエールが提供されているなら、それはラッキーですね。

また、ジンジャーエールは、コカ・コーラゼロなど他の炭酸飲料にありがちな「上空で泡がなかなか抜けない問題」を回避できる飲み物でもあります。氷を入れたダイエットコーラは手間がかかるため、客室乗務員にとって最も提供しづらい飲み物のひとつとも言われています。

さらに、科学的・医学的な理由に加えて、普段から炭酸飲料を飲み慣れている人にとっては、ジンジャーエールを飲むことで「安心感」を得られるというメリットもあります。

その理由をうまく言葉にするのは難しいかもしれませんが、慣れ親しんだ習慣を繰り返すことが、心を落ち着けてくれるのかもしれません。

(翻訳編集 正道勇)

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