マヤ・ファラさんは、自分の肌がどれほど早く変わり始めたかに驚きました。頬の赤みが引き、あごの周りの吹き出物は落ち着き、乾燥や過敏さが減ったと感じたそうです。
「いつものグラノーラのトッピングを麻の実(ヘンプシード)に変えたとき、肌のことなんて考えていませんでした」と彼女は話します。「ホルモンや健康的な脂肪に良いと聞いていたので、まあ試してみようかな」という軽い感じではじめました。
偶然のように聞こえるかもしれませんが、この小さな種には、抗炎症成分や肌にやさしい脂肪分、抗酸化物質が豊富に含まれており、内側から肌をきれいに健康に保つのに本当に役立つ可能性があります。
肌の健康をサポート
植物由来でやさしいスキンケアへの関心が高まる中、麻の実はその抗炎症作用で注目を集めています。これまでさまざまな炎症性疾患のサポートに使われてきましたが、現在はニキビなどの肌トラブルにも効果があるのではと期待されています。研究では、ニキビの原因菌によって引き起こされる炎症を軽減する効果が示されています。
ファラさんにとって、その変化はハッキリと分かりました。
「正直、あまり期待していなかったんです。ただ健康にはいいかなって。でも数週間経つと、肌のバランスが整ってきた感じがしました。吹き出物が一晩でなくなるわけじゃないけれど、以前のように悪化しなくなりました」
もちろん人それぞれ肌の状態は異なりますが、ファラさんの体験は、栄養が肌の健康にとって有用な手段となりうることを示しています。
「麻の実には、炎症を抑え、ホルモンバランスを整え、肌の修復を助ける健康的な脂肪と栄養素が豊富に含まれています。これらはすべて、ニキビにとって重要な要素です」と、機能性自然療法士(機能性ナチュロパス)でリバイタル・ヘルスのオーナーであるジョディ・デュバルさんは話します。
「特に、炎症を起こしていたり、皮脂が多かったり、治りの遅い肌にはとても効果的です。」
麻の実は、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率がとても良好です。これは重要なポイントで、オメガ6が多すぎてオメガ3が少なすぎると、逆に炎症を促進してしまうからです。このバランスの良さが、肌の炎症を鎮める助けになります。
麻の実には、治癒力を高め、皮脂の分泌を調整する重要なミネラルである亜鉛も含まれています。これらはニキビができやすい肌に重要です。麻の実は、ホルモンバランスの乱れによるニキビの発生を抑え、赤みや腫れを抑える効果があるとされる、独特な脂肪酸であるガンマリノレン酸が多く含まれています。さらに、腸内環境の健康もサポートします。腸内環境は肌の状態と密接に関連しているとデュバル氏は言います。
「腸の調子が良いと、肌にもそれが表れるんですよ」と彼女は言います。
麻の実には、脂肪酸組成に加え、ビタミンA、D、Eなど、肌をサポートするビタミンが豊富に含まれています。特にビタミンAは、健康な肌を促進することで知られています。また、麻の実には、抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用を持つ天然植物化合物であるポリフェノールも含まれています。
わずか50mgの麻の実、または15gの麻の実オイルで、成人が1日に必要とされるこれらのビタミンの摂取基準量を100%以上満たすことができます。
さらに、麻の実はまた、組織の修復と皮膚細胞の再生に不可欠なタンパク質の優れた供給源でもあります。消化しやすい植物性タンパク質を提供し、その消化率は全粒で84~86%、麻の実粉で83~92%になります。
「ハイ」にはなりません
これだけの効果を聞くと、麻の実が大麻植物から採れると知って、少し戸惑う人もいるかもしれません。ファラさんも、最初はためらいがあったといいます。
「これを食べて、なんだか“変な感じ”にならないかな?って思ってたんです。でも、ただ肌が健康になっただけで、気持ちがハイになるようなことは全くありませんでした。」
ヘンプとマリファナはどちらもカンナビス・サティバ科の植物であるため、多くの人が同じ精神活性作用があると考えています。しかし、麻の実には精神活性作用はなく、精神状態に影響を与えることはありません。
麻の実にはTHCとCBDが微量しか含まれておらず、収穫や加工の過程で種子に付着する可能性はありますが、「この微量では、ハイになるような作用は全くありません」と登録栄養士のクリステン・スミス氏はエポックタイムズに語りました。
食事への取り入れ方
スミスさんによると、麻の実は、シリアルやヨーグルトにふりかけたり、スムージーに混ぜたり、サラダに加えたり、焼き菓子に混ぜたりと、さまざまな方法で簡単に食事に取り入れることができます。
そのやさしいナッツのような風味は、塩味のある料理ともよく合います。
「私は自家製のシードバーやエナジーボールに混ぜて、手軽なおやつにするのが好きです」とデュバルさんは言います。
肌の健康を維持したい一般的な場合には、1日大さじ1~2杯から始めるのがよいそうです。もし炎症が強かったり、慢性的な肌トラブルがある場合には、一時的に3杯まで増やすことも効果的だとデュバルさんはアドバイスしています。
「でも、まずは少量から始めて、様子を見ながら増やすのが一番です」と彼女は補足します。
なお、推奨される1〜2杯は約15〜30gで、研究で使われた50gよりは少なめの量になります。
製品を選ぶ際には、殻を取り除いた麻の実(別名ヘンプハーツ)を選ぶとよいでしょう。消化しやすく、栄養が豊富だからです。ヘンプシードオイルも、特に抗炎症性の脂肪を摂るのに適していますが、栄養素を保つためにドレッシングとして冷たいまま使うのが望ましいです。多くの人にとっては、ヘンプハーツを食事に取り入れつつ、少量のコールドプレス(低温圧搾)されたヘンプオイルを組み合わせるのが理想的な方法ですと、デュバルさんは話します。
彼女は、麻の実を亜鉛やビタミンAが豊富な食品、肝臓(かんぞう)のサポート、腸内環境の改善といった広範な肌ケア対策の一部として取り入れることが多いそうです。
「麻の実は、静かに、でも確実に体のバランスを整えてくれる、そんなシンプルだけど頼れる食品なんです」と彼女は語っています。
(翻訳編集 井田千景)
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