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飛行場で救われたクマの赤ちゃん パイロットとの絆の物語

飛行場に取り残されたクマの赤ちゃんを救助したロシア人パイロットが、その後特別な関係を築き、彼らの唯一無二の絆は多くの人の心を打っています。

英紙『デイリー・メール』の報道によると、2016年、ロシアのトヴェリ州にあるオルロフカ空軍基地の近くで、ロシア人パイロットたちが1匹のクマの赤ちゃんがさまよっているのを発見しました。当時、そのクマは猫ほどの大きさで、アルタイ語で「ミカエル」を意味する「マンスール」と名付けられました。

イワノフ氏とマンスール。(アンドレイ・イワノフ氏提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)マンスールとイワノフ氏

飛行場のパイロットたちは、マンスールの母親はハンターに殺され、赤ちゃんだけが無防備に残されたのだろうと考えました。

救助後、パイロットたちはマンスールを世話し、その中でもパイロットのアンドレイ・イワノフ氏が主な保護者の役割を引き受けました。

アムール州のオルロフカ空軍基地で、マンスールは飛行場や飛行機の周りで遊ぶなど、のびのびと暮らしました。

(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)

ある日、マンスールがいたずらをしたため、パイロットたちは自分たちが乗っている飛行機から彼を締め出しました。するとマンスールは泣き出し、イワノフ氏が毛並みをなでてなだめました。感謝の気持ちを込めて、マンスールはイワノフ氏の脚を軽くたたきました。この心温まる瞬間が、両者の強い絆の始まりとなりました。

当初、パイロットたちはマンスールを野生に戻す計画を立てましたが、あまりにも人間に慣れすぎていたため、それは不可能でした。最終的に、マンスールの新しい家としてセリゲル自然保護区が理想的だと判断されました。

(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)

「地元の環境天然資源省の職員が手伝うと申し出てくれました。私たちは彼を信じましたが、マンスールの様子を見守りたかったのです。しかし、その職員はマンスールがどうしているのか教えてくれませんでした」とイワノフ氏は語ります。

沈黙を不審に思ったパイロットたちは、マンスールに何が起きたのか調べることにしました。

(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)

すると、マンスールはセリゲルには連れて行かれず、代わりにロシアのカルーガ州にある「ベア・ベイティング・ステーション(クマを犬と戦わせる施設)」に送られていたことが判明しました。そこでは鎖につながれ、自分の排泄物まみれになりながら犬に襲われる生活を強いられていました。

英雄的なパイロットたちは救出作戦を実行し、マンスールを再び空軍基地へ連れ戻しました。マンスールはすぐに世話をしてくれた人々を認識し、抱きつき、イワノフ氏を見ると膝の上に飛び乗りました。

(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)

「彼を救ったその瞬間から、もう二度と誰にも渡すつもりはありませんでした。彼は私たちのチームの一員です」とイワノフ氏は言います。

空軍基地に戻ってから、イワノフ氏と仲間たちはマンスールのために約4万6千ドル(約680万円)を集め、専用のシェルターを建設しました。そこには「巣穴」も作られ、イワノフ氏は一緒に横になって冬眠に入るよう促しました。また、安全のため、万一マンスールが人を襲うことを防ぐために電気柵も設置しました。

現在、マンスールは身長約180センチ。彼専用のウェブサイトによれば、マンスールの囲いには2つの巣穴と森のエリアがあり、春から秋にかけては大きなプールも開放されています。

(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)

マンスールのファンは、彼専用のYouTubeチャンネルで、飼育員たちがライブ配信を行い、その愛らしい姿を世界中に届ける様子を楽しめます。ライブ配信で得られた資金はすべてマンスールの生活費に充てられます。世界中のネットユーザーがマンスールを大切に思っています。

(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)

「野生に戻せないのは残念ですが、あの男性の思いやりのおかげで、クマはそれに次ぐ最高の生活を手に入れています。彼は幸せで、健康で、よく世話をされ、安全です。素晴らしい!」とあるYouTubeユーザーは書き込みました。

「困っている動物を助け、深い思いやりを持つ人々がいることに神に感謝します」と別のコメントもありました。

(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)
(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)

マンスールは決してイワノフ氏の権威を無視せず、感謝の気持ちを示すために彼の顔をなめます。また、イワノフ氏とレスリングごっこをするのも大好きです。2023年6月時点で体重265キロのマンスールは、ココナッツを簡単に割る力を持っていますが、イワノフ氏と遊ぶときには決して傷つけないよう気をつけています。

イワノフ氏とパイロットたちは、マンスールが落ち着いている時だけ交流し、どちらかの機嫌が悪いときは接触を避けます。この方法はうまくいっており、人間とクマの間での衝突を防いでいます。

(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)

マンスールはスイカからナッツまで幅広い食べ物を好み、1日に約15キロを食べます。また、水遊びや入浴も大好きです。冬には他のクマと同じように冬眠します。

(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)

イワノフ氏はロシアのモスクワに住み働いていますが、時間を見つけてはマンスールとの絆を深めています。マンスールをとても愛している一方で、彼がもう二度と自然の生息地に戻れないことを残念に思っています。イワノフ氏は、負傷したクマを治療して野生に戻すためのリハビリ施設を開くことを夢見ています。

(アンドレイ・イワノフ提供)
(写真提供:アンドレイ・イワノフ)

 

(翻訳編集 井田千景)

中西部出身の作家。エポックタイムズのほか、Human Defense Initiativeでも執筆。