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亡き家族が遺した15億円 恵まれない若者たちに寄付

米ウォール街の法律事務所で働いていた一人のある一般女性が、97歳で亡くなりました。長年にわたり誠実に職務を全うしてきた彼女ですが、亡くなった後、遺産整理をしていた親族を驚かせる出来事が起こります。なんと、彼女は生前ほとんど公にせず、約1千万ドル(約15億円)もの財産を築いていたのです。

遺産のほとんどは、恵まれない若者たちを支援する奨学金に充てられることになりました。実は彼女は、数十年にわたり上司の投資術を学びながら地道に株を購入し、倹約を重ねて財を築いていたのです。

巨富を築いた女性の名前はシルヴィア・ブルームさんで、1919年にニューヨーク市ブルックリン地区で東欧系移民の子供として誕生しました。世界恐慌に直面しながら厳しい時代の中で育ち、働きながら夜間学校に通う努力家でした。

1947年、ウォール街の法律事務所「クリアリー・ゴットリーブ・スティーン&ハミルトン」に入社し、秘書として勤務し始めました。彼女は事務所創設期から勤務していた社員の一人でもありました。

ブルームさんの仕事の一つは、上司が株式を購入する際の資金を証券取引所に送金することでした。そのため、上司がどの銘柄を購入しているのかを常に知る立場にあったのです。

聡明なブルームさんは、この状況を生かして少しずつ自分でも株を買うようになりました。例えば、上司が米通信大手「AT&T」の株を1万株購入した際には、自分名義でわずか100株だけを購入するといった、慎重ながらも着実な積み重ねを続けていました。

上司の投資センスは非常に優れており、購入した株のほとんどが常に上昇しました。その結果、ブルームさんの少額な投資も年月を経るごとに増え続け、最終的には巨額の資産へと膨れ上がったのです。

しかし、彼女は決して贅沢をせず、裕福であることを見せびらかすこともありませんでした。夫妻には子どもがおらず、ブルックリンの普通のアパートで質素に暮らし続けており、夫や親しい友人たちさえ、彼女が莫大な資産を築いていたことを知りませんでした。

ブルームさんは96歳まで働き続け、晩年は老人ホームで静かに余生を過ごしたのです。

2016年、ブルームさんが亡くなった後、姪が遺言執行者に任命されました。姪は当時を振り返り、「口座を確認したとき、目を疑いました」と語っています。ブルームさんの遺産総額は900万ドル(約13億5千万円)を超えていたのです。

このうち624万ドル(約9億3千万円)は地域センターに寄付されました。これは同センター125年の歴史の中で最大の個人寄付額となりました。

さらに200万ドル(約3億円)が他の慈善団体に寄付され、これらの資金は奨学金基金として運用されます。基金は、高校から大学へ進学する恵まれない若者たちを支援し、学位取得まで援助することを目的としています。

基金の代表は、「寄付の知らせを受けた際、私たちは言葉を失うほど驚きました」と話しています。

ブルームさんの物語は、物欲や享楽が蔓延する現代社会の中でひときわ感動的です。彼女は生涯を通して、知恵と優しさで豊かな人生を築いた人物といえるでしょう。