2021年3月25日、台湾台中市のセントラル台湾サイエンスパークにあるTSMC工場(Sam Yeh/AFP via Getty Images)

TSMCが2nm量産を開始 日本はラピダスで半導体復活へ

半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、最先端の2ナノメートル(2nm)半導体の量産を開始した。2025年第4四半期に量産段階へ移行したことで、TSMCは先端ロジック半導体における技術的主導権を一段と固め、ポストAI時代を見据えた半導体競争の主戦場を明確にした形だ。

今回量産が始まった2nmプロセス(N2)は、高雄市のFab22を中核拠点とし、TSMCとして初めて第1世代のナノシートトランジスタ構造を全面的に採用している。従来の微細化延長線上ではなく、トランジスタ構造そのものを刷新することで、性能向上と消費電力削減を同時に達成する設計となった。2nmは単なる寸法競争ではなく、電力制約がボトルネックとなりつつあるAI・HPC時代への解答として位置づけられている。

現在スマートフォン、AI、そしてハイパフォーマンス・コンピューティングなどの分野で2nm世代の半導体の技術はなくてはならないものとなっている。特にスマートフォンでは、クラウド依存を減らし端末内でAI処理を完結させる「オンデバイスAI」の高度化が進んでおり、データセンター向けでは、演算性能そのものよりも電力効率が競争力を左右する局面に入っている。2nmの省電力性は生成AIや大規模学習用途で不可欠な基盤となる。

▶ 続きを読む
関連記事
1978年、最貧地域だったマデイラ島は、大胆な低税率政策で特別経済区を創設した。47年後、失業率は低下しGDPは大きく成長。EUが忌避する税制競争が、周縁地域を繁栄へ導いた実証例である。
AI投資の過熱がドットコム・バブル期を彷彿とさせています。巨額の資金が動く一方、収益の裏付けや市場の集中リスクを懸念する声も。専門家が分析するバブルの兆候と、個人投資家が生き残るための「規律」を解説
2025年の米ドル指数は10%下落し、22年ぶりの大幅安となる見通しだ。FRBの緩和継続と日欧との「政策乖離」、深刻な財政赤字がドルの重石となっている。地政学リスクが続く中、2026年のドル安再燃を占う
与党合意の令和8年度税制改正大綱は、デフレ脱却と経済成長を目指し、物価連動の基礎控除導入、設備投資減税、NISA拡大、公平課税強化を柱に、投資と分配の好循環を促進。背景に物価高と構造変化があり、今後法人税制改革の方針転換やEV関連税の見直しが進む