中国人が来ないほうがむしろ好ましく、日本の「脱中国」を後押ししている(新唐人)

中国人客減少でも消費額は過去最高 日本観光に進むリスク分散

中国共産党(中共)が中国人に対して「日本への渡航を避ける」よう呼びかけたが、日本の観光業に打撃を与えるどころか、日本が中国人観光客への依存から脱却する動きを加速させている。日本のメディアは5月17日、この呼びかけが予想外の結果を招いたと報じた。

2025年11月、高市早苗首相は国会答弁で「台湾有事」が日本の「存立危機事態」になり得るとの見解を示した。中共は直後に、日本の治安情勢および「日本の指導者による台湾をめぐる露骨な挑発発言」を理由に、中国人に対し訪日を控えるよう注意喚起した。訪日予定だった中国人旅行者の約3割が一時、旅行をキャンセルした。

旅行データ調査会社「チャイナ・トレーディング・デスク」はかつて、中国人旅行者の不在が2026年まで続いた場合、累計損失は90億ドルに上る可能性があると警告していた。

しかし、日本政府観光局のデータによれば、2025年の訪日外国人旅行者数は延べ4270万人に上り、前年の3690万人を大きく上回って、過去最高を更新した。中国人旅行者は50%以上減少したが、他の国・地域からの旅行者の力強い伸びが、その穴を短期間で埋めた。

また、2025年の訪日外国人旅行消費額は年間9兆4549億円に上り、前年比16.4%増となり、過去最高を更新した。

専門家は、日本の観光市場が中国依存から多様化へ向かっていると指摘している。

インド太平洋戦略シンクタンクの特別顧問、陳文甲氏は「中国人旅行者が大きく減る一方で、台湾、韓国、アメリカ、東南アジアからの旅行者が伸び、全体を下支えした。訪日客数と消費額はいずれも減るどころか増えており、観光需要は特定の国に依存しなくても成り立つことが示された。今回の動きは、中共が自国の海外観光市場の影響力を過大評価していたことも浮き彫りにした。結果として、日本に圧力をかけるどころか、日本の脱中国依存を加速させ、観光を使って経済的な圧力をかける中共の影響力を弱める結果となった」と述べた。

この事例は近年進む国際サプライチェーンのリスク低減と同じ構図だとみている。

台湾南華大学国際事務・経営学科の孫国祥副教授は、「中国が市場、観光、留学、レアアース、消費をたびたび政治的な手段として利用すればするほど、各国は中国への過度な依存を避ける方向に動く。これは、世界のサプライチェーン、テクノロジー、エネルギー、観光サービス業で共通して見られるデリスキングの流れだ」と分析した。

ただ、すべての観光業者が影響を免れたわけではない。報道によると、中国系の民泊業者には深刻な影響が出ている。

大阪市中心部で80軒の民泊を運営する林さんは、中共による訪日旅行自粛の影響で、2025年末までに600件の予約がキャンセルされ、宿泊客は1千人減ったという。こうした例は一部にとどまらない。大阪市の特区民泊の44.7%は、中国籍の個人または企業が経営しているとされる。

孫氏は、中国人が日本で経営する民泊は、中国人客への依存度が高い傾向があると説明した。

「北京が旅行自粛を呼びかけ、航空便が減少し、団体と個人旅行のキャンセルが相次いだ場合、業者が直面するのは通常の変動ではなく、主要な客層を一気に失うリスクだ。さらに言えば、中国系の民泊業者は、日本市場と中国市場の双方で不安定な立場にある。日本市場では安定した国内客を十分に確保できていない場合があり、中国市場では政治情勢や当局の警告に左右されやすい」

陳文甲氏も、「これは中共の対外圧力が、かえって自国側に跳ね返った例だ。日本への圧力は思うような効果を上げず、むしろ先に打撃を受けたのは自国の投資家だった」と述べた。

旅行者層の変化は、東京や大阪などの都市部だけでなく、地方の観光地にも広がっている。ブルームバーグによると、岐阜県では宿泊客に占める中国人の割合が2019年の41%から現在は10%に低下した。静岡県でも71%から45%に下がっている。

孫氏は、こうした変化について「これは全面的な中国離れというより、リスク分散と見るべきだ。日本の観光業は中国人旅行者を歓迎しなくなったわけではない。ただ、中国市場を代替不可能な唯一の柱とは見なさなくなった。観光市場の重心が変わりつつあるということだ。長期的に見れば、確かに中国離れの意味合いもある」と述べた。

政府は、2030年までに訪日外国人客数6千万人、旅行消費額15兆円を達成する目標を掲げている。中共による訪日旅行の自粛呼びかけ後に進んだ訪日客の多様化、消費額の上昇、地方への広がりといった変化が、政府の長期目標とも重なっていると見られている。

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