はちみつは数千年にわたり、天然の甘味料およびエネルギー源として利用され、人々の仕事や身体活動を支えてきました。近年では、運動時のエネルギー補給源として注目され、SNSでも高く評価されています。研究によると、はちみつはエネルギードリンクやエナジージェルなどのスポーツ用補給食品に匹敵する効果があり、とりわけ体力回復を助ける点に大きな利点があるとされています。
はちみつの成分と働き
イギリスのアングリア・ラスキン大学の栄養生理学教授ジャスティン・ロバーツ氏、同大学心理学・スポーツ・知覚科学講師シャーロット・ゴワーズ氏、およびエセックス大学スポーツ・リハビリテーション・運動科学学部講師ヘンリー・チャン氏は、The Conversationに寄稿し、はちみつを摂取する利点について解説しています。
3人の専門家によると、はちみつの主成分は炭水化物であり、具体的にはブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)です。これらの単糖類は素早くエネルギーを供給するため、運動中に速やかなエネルギー補給が必要な場面で特に重要な役割を果たします。
人体は炭水化物をグリコーゲンの形で筋肉や肝臓に蓄えています。このグリコーゲンは、中〜高強度の運動時、特に60分以上続く運動では次第に消費されていきます。
グリコーゲンが減少すると疲労感が増し、運動能力も低下します。そのため、運動前や運動中に炭水化物を摂取することでエネルギーを補給し、より長時間にわたって運動を続けることが可能になります。
はちみつが運動中に効果を発揮する理由は、必要なときに素早くエネルギーを供給できることにあります。はちみつに含まれるブドウ糖と果糖は腸内で異なる経路から吸収されるため、同時に利用できます。これにより炭水化物の吸収量が増え、腸への負担が軽減されるほか、運動中の筋肉へのエネルギー供給を維持し、疲労の発生を遅らせる可能性があります。

この仕組みは、多くのスポーツドリンクやエナジージェルに複数種類の炭水化物が配合されている理由でもあります。その目的は、エネルギー補給効率を最大限に高めることです。
研究では、単一の糖質だけを摂取する場合と比べ、ブドウ糖と果糖を同時に摂取するほうが炭水化物の利用効率が高まり、より効率よくエネルギーを供給できることが示されています。そしてはちみつは、この両方を同時に摂取できる天然の食品です。
実際、大さじ1杯のはちみつには約20gの炭水化物が含まれており、市販のエナジージェルに含まれる炭水化物量とほぼ同等です。
アスリートは、トレーニング前にはちみつを大さじ1〜1.5杯ほど摂取することで、特に肝臓内のグリコーゲンを補充できます。朝のトレーニングでは、一晩の絶食によってグリコーゲンが減少しているため、とりわけ効果的です。
はちみつはエネルギー補給だけでなく、運動能力の向上にも役立つ可能性があります。研究では、はちみつは他の炭水化物源と同等の効果を示し、運動パフォーマンスを向上させる可能性があることが報告されています。
最近、トレーニングを積んだ自転車競技選手を対象に行われた研究では、3時間のサイクリング中に1時間あたり90gのはちみつを摂取した場合、その運動能力は従来のエナジージェルを摂取した場合と同等であることが分かりました。
イギリスのスカイニュースによると、ケニアの長距離ランナーでマラソン世界記録保持者のセバスチャン・サウェ選手は、4月に開催されたロンドンマラソンで1時間59分30秒という公式マラソン大会史上初の2時間切りを達成しました。
サウェ選手は、ロンドンマラソンの記録を更新する前に、はちみつを塗ったパン2枚を食べ、お茶も飲んだと明かしています。

はちみつのその他の利点
3人の専門家は、はちみつの本当の強みは体力回復を助ける点にあるかもしれないと述べています。研究では、運動後にはちみつ入りの飲み物を飲むことで血糖値を比較的高い状態に維持でき、その結果、その後の運動能力にも良い影響を与えることが示されています。特に、暑い環境などで身体に大きな負荷がかかる場合に、その効果が期待されます。
はちみつには炭水化物のほかにも、少量のビタミンやミネラル、アミノ酸、さらにフラボノイドやフェノール酸といった植物由来の機能性成分が含まれています。
これらの成分には、抗酸化・抗菌・抗ウイルス作用が期待され、高強度のトレーニングを行うアスリートにとって特に有益と考えられています。
また、一部の研究では、特定の種類のはちみつが炎症反応に関わる経路へ作用し、炎症を調節する可能性があることも示されています。これは、はちみつがエネルギーを補給するだけでなく、筋肉痛を軽減し、回復を促進する可能性があることを意味しています。
3人の専門家は、現在得られている証拠から判断すると、はちみつはエナジージェルなどのスポーツ用補給食品に匹敵する効果があるようだと結論づけています。そのため、はちみつは市販のスポーツ用補給食品に代わる、効果的で低コストかつ天然の選択肢になり得るとしています。
なお、はちみつは日常生活でもさまざまな用途があります。台湾で100年以上続く漢方医学の名門「懐生堂」を受け継ぐ5代目、張維鈞氏は以前、はちみつの16種類の活用法を紹介しました。例えば、傷の手当て、ひび割れた皮膚の保湿、空腹時の胃食道逆流の改善、血糖値の低下、風邪症状の緩和、前立腺肥大の改善、体内の老廃物の代謝促進などが挙げられています。
(翻訳編集 解問)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。