めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に雲隠れにし夜半(よは)の月影(新古今)
歌意「七月(ふづき)十日のころ。久しぶりに、幼馴染みに会うことができた。それにしても、さっき目にしたのは、懐かしいあの人だったのかしら。はっきり見分けもつかぬうちに、帰ってしまったわ。夜半の月が雲に隠れるようにして」。
紫式部(970~1016頃か)の作。「さては紫式部。昔懐かしい殿方と再会か」と思ったら、会ったのは「女友だち」でした。もう少し長く話したかったけど、彼女は「夫が待っているので」と言って、早々と帰ってしまったようです。
あ、「夫が待っているので」の部分は私の想像です。ただ、歌中ににじむ紫式部の名残惜しさは、そこからくるのではないかな、と思うわけです。
(聡)
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