もしもあなたが将来、糖尿病患者になったら、どうしますか。
第一に、担当の医師や栄養士の指導によく従い、ご自身の食生活や日常生活に十分配慮して、適切な療養に努めてください。自己流の民間療法や、自分勝手な判断による薬の使用は禁物です。
ただし、病院治療の妨げにならない日常的な保健方法であれば、自分で行っても問題にはならないはずです。
そこで、伝統的な漢方医学の観点から、血糖コントロールなど糖尿病の療養に役立つ「5種類の食物」と「簡単なツボ押し」を、ご紹介します。
5種類の食物で「薬食同源」
血糖値をコントロールする第一の手段として、食事療法があります。
漢方医師は、糖尿病患者の約90%を占める2型糖尿病患者を初診したとき、病状の進行度合いによって「4つの段階」に分け、その後の処方や治療法を検討します。食事療法も、そのなかに含まれます。
「鬱(うつ)」の段階は、適切な療養によって血糖値を下げることができます。
「瘀(お)」は病状が進んだ段階ですが、治療の機会はまだあります。
「虚(きょ)」の段階は、合併症が始まっていることを指します。
「損(そん)」に至ると病状は相当進行しており、重大な臓器障害が起きています。
以下に、糖尿病の食事療法によく用いられる「5種類の食物」を挙げます。
1、ゴーヤ(苦瓜)
体の解熱、除湿ができ、糖尿病患者の湿熱体質を改善します。「痰湿鬱結」の段階にある糖尿病患者の食用に適します。まだ糖尿病ではありませんが、肥満の人にもゴーヤは薦められます。
ゴーヤの調理法はいろいろありますが、薄切りにして炒め物にするほか、和え物、蒸し物にして食べます。
2、葛根(かっこん)
生薬として知られる葛根は、食材としても血液循環を改善することができ、血糖値を下げ、心臓血管の疾病予防に役立ちます。
葛根は、痰がからむ段階での食事療法に適しており、そのまま食べるほか、蒸して食べたり、スープに入れて飲むこともできます。
3、オクラ
フラボノイド化合物と可溶性食物繊維を含み、血糖吸収を抑制します。特に食後の血糖上昇の緩和に有効です。
オクラは蒸してから食べることもできますが、有効成分を壊さないように、あまり長く加熱しないでください。
4、山芋
山芋には、ナガイモ、自然薯、イチョウイモなどの種類があります。
いずれも脾臓を健やかにして気を補い、血糖値を下げる効果があります。「虚」および「損」の段階の食材として適しています。
最も良い食べ方は、山芋を蒸した後、調味料を使わずに、本来の味と食感をそのまま味わうことです。
5、黄耆(オウギ)
脾臓を健康にし、肺を補うとともに、膵臓内で内分泌機能をもつ細胞群である「ランゲルハンス島」の機能を強化します。
また、血糖値を下げ、糖尿病による神経障害を改善し、末梢循環を調整することができます
一部の糖尿病患者、特に高齢の患者で末梢神経障害がみられるなど、合併症のある「虚」の段階での服用に適します。
「血糖値を下げるツボ」を押す
血糖値をコントロールする第二の手段は、ツボ押しです。
ご紹介する2つのツボは「降糖(こうとう)穴」と「膵兪(すいゆ)穴」。穴は、指圧すべきツボを指します。
これらのツボは、普段から自分で指圧することができるので、いつでも行ってください。
1サイクルあたり100回の指圧を目安に、1日に2から3サイクルまで押すことができます。
降糖穴を押すことによって膵臓の機能が改善され、消化システムが調整されます。
これによって糖の吸収が減少し、血糖値が下がります。
膵兪穴は、膵臓の内分泌機能を直接調節することができ、より多くのインスリンを分泌することを促すため、血糖値を抑える効果が非常に良いツボです。
そのほかの方法として、軽く汗ばむ程度の、持続できる運動習慣を身につけましょう。
ジムに通えばダンベルなどを用いた負荷トレーニングができますが、糖尿病治療においては、特に激しい筋力型の運動は適しません。
30分から45分程度のウォーキングや軽いジョギングをすることをお薦めします。
(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)
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