また抜けた…脱毛はなぜ起こる? ロングヘアに欠かせない7つの栄養素

多くの人が抜け毛で悩んでいます。頭頂部の髪が少なくなっていく原因は何なのでしょうか?また、健康な髪を育てるために欠かせない栄養素とは何でしょうか?
 

抜け毛の原因は6つあり、最も一般的なのが「男性ハゲ症」

人の健康状態は、髪に反映されます。抜け毛の原因には、遺伝、ホルモン、栄養、ストレス、病気などが関係しています。

1.男性ハゲ

内湖奇楽整合医学クリニック院長の張適衡氏は、男性ハゲは最も一般的な抜け毛の原因で、遺伝が関係していると言いました。アンドロゲンホルモンは、体内の5αリダクターゼ酵素によってジヒドロテストステロンに代謝され、毛根を攻撃して抜け毛を引き起こします。ジヒドロテストステロンが体内で生成されると、毛根が縮小・退化し、抜け毛の原因となります。

男女ともに体内でジヒドロテストステロンを生成しますが、男性の方が男性型ハゲになりやすいと言われています。張適衡氏は、女性はX染色体が2本、男性はXとYの染色体が1本ずつあり、男性ハゲの遺伝子はX染色体にあり、女性は二つのXに隠性遺伝子が揃えば男性ハゲになります。男性はX染色体しかなく、隠性遺伝子がある限りハゲになる、と説明しました。 

男性ハゲの有病率は、やはり人種や年齢が関係しており、アジア人は白人より低いです。例えば台湾では、45歳を過ぎると約20%、65歳を過ぎると40%以上の人が男性ハゲになると言われています。白人の場合、40歳を過ぎると、約半数が男性ハゲになるそうです。

2.鉄欠乏性貧血

張適衡氏によると、鉄欠乏性貧血で髪が抜ける若い女性が臨床の現場でよく見られ、検査でヘモグロビンが10未満であることが判明します。クリニックに来る目的は貧血の治療ですが、治療や投薬の後、発毛が副次的な効果として現れ、「すごい、先生の処方を飲んだら髪がよく伸びた!」と患者さんに言われるそうです。

この鉄欠乏性貧血の患者さんは、鉄剤や鉄分を多く含む食品を摂取することで、髪が生えるだけでなく、爪も良く伸びます。

3.食生活の乱れ

また、揚げ物や辛いもの、焼いた食べ物の食べ過ぎなど、食生活の乱れによって髪が抜けることもよくあることです。

皮膚の皮脂腺は毛根にあるため、皮脂腺で作られた脂は毛根から出てきます。良くない油、フライドチキン、フライドポテトなど刺激の強いものをたくさん食べると、体に炎症が起きて皮脂が異常に分泌され、頭皮から過剰な脂が出て、抜け毛の原因になることがあります。

また、頭皮には皮脂を餌にするフケ菌というカビが共存しています。皮脂が過剰に分泌されると、皮膚常在菌が急速に増殖して毛根に炎症を起こし、抜け毛の原因にもなります。 

 

揚げ物、辛いもの、焼き物などを長期間にわたって食べ続けることも、抜け毛の原因になります。 (Shutterstock)

 

4.必須栄養素の不足

鉄分以外では、たんぱく質の摂取不足、ビタミンC、ビタミンB群、ミネラルである亜鉛などの栄養素が不足している場合にも抜け毛が発生することがあります。

コラーゲンは髪の主成分であるため、髪に健康的な太さと弾力を与え、さらに頭皮に「立つ」ための支えを与えています。コラーゲンが不足した髪は枯れ草のようで、細く支えがないため、頭皮に倒れてボリュームがないように見えてしまいます。

「髪を増やしたいなら、コラーゲンが重要です」と張適衡氏は言います。タンパク質とビタミンCの摂取量が少なすぎると、どちらもコラーゲンが不足した状態になります。タンパク質食品はコラーゲンの源であり、ビタミンCはコラーゲン合成の補酵素であるからです。

また、ビタミンB群に含まれるビタミンB6、ビタミンB12、葉酸は、血液を正常に生成することを可能にします。髪の健康は、髪に栄養と酸素を運ぶ血液と密接な関係があります。

亜鉛というミネラルは、毛根の細胞から赤血球まで、亜鉛を必要とする細胞の成長に関係しています。

5.ホルモンの変化

女性は、産後や更年期など、ホルモンの変化が激しい時期に抜け毛が多くなる傾向があります。体内のホルモンが正常に戻れば、抜け毛も改善されます。

6.ストレス、自己免疫疾患

人によっては、自己免疫系の誤作動やリンパ球が毛根を攻撃することで髪の毛が抜けることもあります。 このような免疫因子は、エリテマトーデスや、他の自己免疫疾患、円形ハゲ症などのストレス性抜け毛の原因となります。

ストレスは、自己免疫システムが自分の毛根を攻撃し、毛根を死滅させるため、抜け毛の原因となることがあります。ストレス、遺伝、不規則な労働習慣など、いずれも円形脱毛症を誘発しがちです。 (おすすめ文章:円形脱毛症は救えるのか? 発毛を促し抜け毛を防ぐ2つのポイント)

 

一部の抜け毛は、自己免疫系の誤作動とリンパ球が毛根を攻撃することに関連しています。 (Shutterstock)

 

抜け毛を改善する3つのコツ! ロングヘアに欠かせない7つの栄養素

薄毛の原因の中には、薬で改善できるものもあります。例えば、男性ハゲ症の患者さんには、体内のジヒドロテストステロンの産生を抑える薬物治療を行うことができます。ホルモンの変化による抜け毛に悩む患者さんは、今のところホルモンの問題を治療することはできませんが、男性ハゲ症と同じように、例えば薬や栄養補助食品、生活習慣を改善するなどの治療をすることができます。

市販の抜け毛対策用シャンプーや発毛用ローションを使用することもできます。これらの製品は、主に毛根を清潔にし、皮脂やフケ菌によるダメージを軽減し、育毛環境を整えるという補助的な観点で使用されます。

そのほか、睡眠の質を高める、タバコやお酒をやめる、食生活を整えるという3つの薄毛改善方法があります。

張適衡氏の話によると、睡眠は非常に重要で、「髪の質やボリュームは、その人の睡眠時間によって本当に大きく変わる」そうです。その理由のひとつは、質の高い睡眠が体内のストレスを調整し、免疫細胞が毛根を攻撃する引き金になるのを避けるためです。

喫煙や飲酒は、血管が硬くなるなどの血管障害を引き起こす可能性があります。毛根は栄養の運搬を血液に依存しているため、毛根への微細な血流に問題があると、毛根の健康に直結します。
飲食面では、毛根の脂の分泌が増えて血管の健康が損なわれないように、揚げ物などの刺激の強い食べ物を控えることが大切です。

また、7つの栄養素を補ってもいいです。
1. 鉄分:動物性では、アヒルの血、豚の血、肉、魚貝類などがあります。
植物性では、レッドアマランサス、セロリ、ブラックビート、紫キャベツ、レッドフェヌグリーク、豆類(大豆、エンドウ、小豆、緑豆)、ブラックデーツ、レッドデーツ、レーズン、ナッツや種(ごま、カシューナッツなど)が挙げられます。
動物性由来の鉄は、植物性由来の鉄よりも体内への吸収・利用率が高くなります。

 

肉などの動物性食品から摂取した鉄は、体内での吸収・利用率が高くなります。 (Shutterstock)

 

2. タンパク質:肉類、乳製品、卵、魚介類、豆類、全粒穀物。
コラーゲンを構成する主なアミノ酸はグリコサミン酸、プロラミン酸、カドカワプロラミン酸で、これらの一般的な食品から摂取することができます。

3. ビタミンC:グアバ、キウイ、柑橘類、パパイヤ、いちご、トマトなど。

4. 亜鉛:牡蠣、カニ、ムール貝、ロブスター、アサリ、牛肉、豚肉、ラム肉、卵黄、牛乳、ヨーグルト、ナッツ類(かぼちゃの種、カシューナッツ、アーモンドなど)

5. ビタミンB6:ひよこ豆、まぐろ、鮭、じゃがいも、バナナ、鶏胸肉、豚レバー。 (おすすめ記事:ビタミンB群を摂取できる食品トップ3、日頃食べているものもあります)

6. 葉酸(ビタミンB9):豚レバー、ほうれん草、白米、アスパラ、アボカド、ブロッコリー(グリーンカリフラワー)。

7. ビタミンB12:牛レバー、あさり、まぐろ、鮭、牛肉、牛乳

張志衡氏は、良質のタンパク質、鉄、亜鉛、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸などの栄養素を同時に摂取したいのであれば、肉類を摂取することだと付け加えました。さらに、赤身肉よりも白身肉の方が鉄分が少ないのですが、白身肉は体内で炎症を起こしにくいのです。

これらの栄養素は、サプリメントから直接補うこともできますが、張適衡氏によれば、食生活を改善することを優先したほうがよいとのことです。

 

(翻訳・李明月)

蘇冠米