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女性の抜け毛の悩み 肝腎のケアから始めよう

髪の毛は見た目の一部であるだけでなく、体の状態を映し出すものでもあります。多くの女性が抜け毛に悩んでおり、出産後の脱毛、更年期による抜け毛、円形脱毛症、あるいは夏の蒸し暑さによって起こる頭皮のかゆみやフケなど、体質を整えることで改善が期待できます。中医師によると、食事による栄養補給、頭皮のケア、正しい洗髪方法を組み合わせることで、抜け毛を抑えることが可能です。

台湾の翰医堂の中医師・陳信宏氏は、ある脱毛症の症例を紹介しています。20代の女性患者がCOVID-19ワクチン接種後に円形脱毛症を発症し、気分が落ち込み、まもなく髪がほとんど抜けてしまいました。しかし中医の治療を受けた結果、6〜8か月後には黒くてツヤのある髪が再び生えてきたのです。

円形脱毛症患者の中医治療前後の比較。(陳宏信医師提供)

 

中医学から見た抜け毛の体質的原因

中医学では、肝と腎が髪と深く関わっていると考えられています。ここでいう肝と腎とは、内臓を中心としたエネルギーシステムのことであり、肝は体内エネルギーの流れを管理し、そのエネルギーが血液循環を促します。血流が十分であれば、髪に必要な栄養が行き届きます。また、腎に蓄えられる精微な物質は成長と老化を左右し、腎の精が不足すると白髪や脱毛の原因になります。そのため中医学では、肝腎を補う漢方薬を用いて抜け毛の治療を行います。

中医学では「髪は血の余り」と言われています。中医師の陳宏信氏によると、肝血が不足すると、頭皮が白っぽくなり、顔色が悪く、爪に深い縦ジワが現れ、目が乾燥しやすく、夜眠れない、手足が冷えるといった症状が見られます。腎の精が不足している場合は、腰や背中の痛み、記憶力の低下などの症状が現れます。

ある30歳前後の母親は、出産後1〜2か月で明らかな抜け毛が始まり、額の両端が大きく露出し、髪も細くて切れやすくなっていました。これは産後の血虚によるもので、育児によるストレスも加わり、消化吸収が悪化してさらに血虚が進行していました。

陳医師は、脱毛が目立つ部位に微細な針を使ってわずかに出血させる「刺絡放血療法」を行い、頭皮に一時的な損傷を与えて再生を促しました。さらに、低周波エネルギーを用いたレーザーヘルメットで頭皮の深部血流を改善し、毛根と頭皮の修復を促進しました。

薬の面では、補気・養血の効果がある八珍湯(人参熟地黄などを含む)を服用し、血液循環を改善するとともに消化吸収も良くなりました。赤ちゃんの世話と仕事の両立でストレスが大きかったため、気分を和らげる加味逍遥散も併用し、情緒が安定するとともに肝のエネルギーの流れもスムーズになりました。逍遥散にはうつ症状の改善や肝機能の保護作用もあります。

8か月後には、患者の額や頭頂部にふたたび豊かな髪が生えそろいました。

産後脱毛症患者の中医治療前後の比較。(陳宏信医師提供)

別の産後脱毛の患者は、円形脱毛症も併発し、頭頂部の広い範囲の髪が抜けていました。この患者には放血療法で脱毛部分を刺激し、さらに肝のエネルギー循環を整える「柴胡疏肝湯」を内服させたところ、2か月の治療で完治しました。

産後脱毛症に円形脱毛症を併発した患者の中医治療前後の比較。(陳宏信医師提供)

 

産後に食べるべき食品

陳宏信医師は、産後の体重を減らそうと無理に食事制限をする女性がいることを指摘し、それがかえって抜け毛を悪化させると警告しています。栄養バランスの取れた食事と、良質なタンパク質の十分な摂取が重要です。なぜなら、髪の主成分はケラチンというタンパク質だからです。また、ビタミンや鉄分が豊富な食材、特にカラフルな野菜や果物を取り入れることで、体内でのタンパク質合成が促進されます。

  • タンパク質:卵、豆腐、肉類、牛乳、豆乳
     
  • ビタミンC:グアバ、キウイ、ベリー類
     
  • ビタミンB群:全粒穀物、濃い緑の野菜、肉類、レバー
     
  • 鉄分:赤身肉、レバー、黒ごま、濃い緑の野菜

母親は育児によるプレッシャーが大きく、それが産後の抜け毛の原因になることもあります。陳医師は、新米パパが育児の負担を積極的に分担し、ママのストレスを軽減することの大切さを強調しています。なお、女性の産後に一時的な抜け毛があるのは正常な現象ですが、6か月以内に自然に回復するかを観察し、改善が見られない場合は、他の原因がないか医療機関での相談を勧めています。
 

更年期の女性型脱毛症の治療法

産後の抜け毛だけでなく、更年期もまた女性の抜け毛が増える時期の一つです。ある50歳前後の女性は、分け目やつむじの部分が徐々に広がり、地肌が黄色っぽく見えるほどになっていました。

陳宏信医師が彼女の体調や脈、舌の状態を詳しく観察したところ、「肝血虚」と「腎経不足」の症状が見られ、さらに更年期特有の女性型脱毛症(いわゆる女性の男性型脱毛)であることがわかりました。治療では、肝腎を補う「二至丸(にしがん)」を用いると同時に、ホルモンバランスを整える「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)」を併用しました。6~8か月の治療を経て、抜け毛は大幅に改善しました。研究によっても、「知柏地黄丸」は女性の更年期症状の改善に効果があることが確認されています。

更年期女性の男性型脱毛症患者に対する中医治療前後の比較。(陳宏信医師提供)

 

日常の頭皮ケアで気をつけたいこと

髪に栄養を与えるには、肝腎を補うことが大切ですが、それと同じくらい大切なのが、頭皮のケアです。頭皮は髪の根を支える土壌のような存在で、健康な髪を育てるには、その基盤を整えることが必要です。

1. 適切な洗浄を心がける

まずは頭皮の清潔を保つことが基本です。特に夏は頭皮がベタつきやすく、細菌が繁殖しやすくなります。「細菌は皮脂や汚れを好むため、清潔に保つことが重要です」と陳信宏医師は述べています。

2. 自分に合ったシャンプーを選ぶ

シャンプーは体質や頭皮の状態に合わせて選ぶことが推奨されます。汗をかきやすい人は洗浄力の高いタイプに、さらに保湿成分を加えたものを使うと頭皮が敏感になりにくくなります。

陳医師によれば、頭皮には嗅覚受容体があり、ある研究では、サンダルウッドの香りを加えたシャンプーが毛包の成長を促すことが示されています。香りのよいシャンプーを使うことで、頭皮の状態が良くなり、自然と髪も育つとのことです。

3. 洗い方にも工夫を

シャンプーを使う順序は、側頭部→後頭部→頭頂部の順が望ましいとされています。側面や後ろの方が刺激に強いため、シャンプー成分が濃くても影響が少ないためです。

シャンプーは2回行うのが理想です。1回目で軽く汚れを落とし、2回目は泡を頭皮に1〜2分ほど置いてから洗い流すことで、より効果的にケアできます。洗髪中に頭皮を軽くマッサージすることで血行も良くなります。

4. 育毛液で頭皮を整える

洗髪後は髪を5割ほど乾かしてから育毛液を塗布します。顔のパックと同じように頭皮にも栄養を与えるイメージです。陳医師はノコギリヤシを含む育毛製品を選ぶよう提案しています。研究によれば、ノコギリヤシは毛髪の再生を促す可能性があると示されています。そのほか、菊花、牡丹根、蜀葵根(しょくきこん)、アルニカ、ツボクサ、ティーツリーなども、優れた育毛成分であると言われています。

育毛に役立つ漢方成分(健康1+1提供)

5. ドライヤーは熱すぎないように

髪を乾かすときは、ぬるめの風で毛先から根元に向かって乾かすのがベストです。これにより髪へのダメージを抑えられます。

6. 紫外線対策も忘れずに

外出時は頭皮の日焼けを防ぐことも大切です。帽子をかぶる際は、通気性の良い綿や麻、絹素材を選ぶと頭皮が蒸れにくくなります。

7. 夏の頭皮感染を防ぐ

頭皮のかゆみから無意識に掻いてしまい、抜け毛が増えることもあります。このような場合はシャンプーの見直しに加え、ヘルメットの内装や枕カバーなどを定期的に交換し、頭皮の感染リスクを減らしましょう。

ある20代のエンジニアは、毎日ヘルメットをかぶって通勤しており、夏場には頭頂部が油っぽく、地肌が台風の目のように露出していました。陳医師は、熱を取る漢方薬で頭皮の炎症を抑えると同時に、ヘルメットの内装を定期的に交換するようアドバイスしました。

頭皮感染の患者における中医治療前後の比較。(陳宏信医師提供)

夏の養生では、水分補給をしっかり行い、緑豆、はと麦、山芋、白いんげん、梨などを食べるとよく、早寝早起きも推奨されています。

8. 頭皮マッサージで血行促進

陳医師は、髪を乾かす際に、百会、風池、神庭、率谷などのツボをマッサージすることで、頭皮がリラックスし、血行も促進されると述べています。

発毛を促す百会、風池のツボの位置(健康1+1提供)
発毛を促す神庭、率谷のツボの位置(健康1+1提供)

(翻訳編集 華山律)

英文大紀元が提供する医療・健康情報番組「健康1+1」の司会者を務める。海外で高い評価を受ける中国の医療・健康情報プラットフォームであるこの番組では、コロナウイルスの最新情報、予防と治療、科学研究と政策、がんや慢性疾患、心身の健康、免疫力、健康保険など、幅広いテーマを取り上げている。