統合幕僚監部は20日、中国海軍艦艇の動向について発表した(防衛省)

北海道から沖縄まで中露艦艇が日本周回、岸防衛相「示威活動にも考えられる」

岸信夫防衛相は22日、訪問先のカンボジア首都プノンペンで開いた記者会見で、中国とロシアの海軍艦艇が日本列島を周回するように航行していることについて、「わが国に対する示威行動にも考えられる」と述べた。過去10日間で中国艦艇は10隻、ロシア艦艇は7隻が日本周辺を航行している。

中国艦艇4隻は12日以降、対馬海峡から北海道を経由して太平洋を南下した。21日には別のフリゲート艦やミサイル駆逐艦など計6隻が沖縄周辺海域を航行した。ロシア艦艇7隻は15日以降、同様に北海道から太平洋を南下し伊豆諸島、沖縄周辺を通過した。

日本とASEAN加盟国の防衛担当大臣会合のため、カンボジア訪問中の岸氏は中露軍の動きについて「状況を注意深く注視する必要がある」と述べた。演説では、海洋進出を強める中国を念頭に日本とASEANの防衛協力を強化していく考えを示した。

岸氏はまた、台湾南西部の防空識別圏(ADIZ)に29機の中国戦闘機が侵入したことについても言及した。この行動は21日、台湾国防省が発表した。

テンプル大学のジェームズ・ブラウン政治学准教授は米CNNの取材に「明白に中露による力の誇示だ。日本にとって強く憂慮すべき事態であり、少なくとも中露軍の両方の動きを追跡することは、自衛隊のリソースにも負担がかかる」と指摘した。

中露の連携に見える日本周辺の軍事活動は、5月下旬、東京で開かれた日米豪印戦略枠組み「クアッド」の首脳会談の際にもみられた。ロシア国防省は中国とロシアの空軍機が「共同航空パトロール」を実施したと発表し、日本海、東シナ海、太平洋を飛行したという。

日本は隣国の権威主義国である中露の圧力に直面している。中国は台湾との接近や領土争議で日本を威圧し、ロシアはウクライナ支援を明確にする日本に対して態度を硬化させている。

バイデン米大統領は東京滞在時に岸田文雄首相との共同記者会見で、中国が台湾を武力で奪おうとした場合、米国が軍事関与することを示唆した。

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