思い出せないのは物忘れ? それとも認知症? 脳の退化を逆転させる6つの方法(1)

人の名前など、思い出そうとしてもなかなか思い出せない経験はありませんか?高齢者では珍しくないですが、中年、いや若い人の中にも、こういう体験をした人はいるのではないでしょうか?それは物忘れでしょうか、それとも認知症でしょうか?ここでは、脳の退化を逆転させる6つの方法を紹介します。

物忘れがひどくなると、「老けたね」と言われます。物忘れ=老いではありませんが、年をとると物忘れがひどくなり、認知症になることもあります。しかし、脳を助け老化を防止し、若返らせるいくつかの方法があります。
 

なぜ記憶力低下するのか?

物忘れは高齢者だけでなく、若い人にもよくあります。物忘れの原因として最も多いのは、心理的な要因と睡眠の質の低さです。

ストレス、不安や憂鬱

人が記憶を保存するにはいくつかの過程があります。林新病院脳卒中センターの院長で神経科医の林志豪氏は、「最初に情報を『聞く』ということはパソコンでいう『読取り専用メモリ』にあたり、その情報が長期記憶になるには、『ハードディスク(脳)』に記憶され、思い出す時には、『ハードディスク』から情報を読み込む」と説明しています。

多くの若者が、ストレスや不安を抱えることで集中力に影響が出て、情報の記憶が難しくなっています。その結果、思い出すのが難しくなります。

また、うつ病は「仮性認知症」とも呼ばれます。これが重度になると、周囲にどんな情報があるのか気にしなくなり、人の話に興味がなくなってきます。このような状況では、記憶力の低下が起こる可能性があります。例えば、高齢者の場合、うつ病は認知症と間違われやすいのです。

睡眠の質の低下

睡眠は脳に重要な役割を果たすため、睡眠不足は脳に影響を与えます。そのため、質の良い睡眠は、脳の記憶力強化に役立ちます。

夜更かし、睡眠不足、寝すぎ、不眠症、眠りが浅い、夜中に何度も目が覚める、寝たのに疲れが取れないなどは、睡眠の質が悪い例です。

2020年に『米国老年医学会誌』(Journal of American Geriatrics Society)に発表された研究によると、睡眠時間が5時間以下と9時間以上の女性は、7~8時間睡眠の女性に比べて脳テストの結果が悪く、記憶力も低いという結果になりました。

ビタミンB12不足

ビタミンB12は神経の安定に重要で、体内のビタミンB12が不足すると、記憶力も低下します。

ビタミンB12は動物性食品に多く含まれ、菜食主義者や胃腸の吸収が悪い人はもちろん、栄養素の吸収に影響を与える胃薬を服用している人もビタミンB12が不足しやすいと言われています。

「ビタミンB12の不足を調べるために血液検査をすることもあり、不足している患者は、サプリメントで補い物忘れを改善できます」と林志豪氏は言います。

疾患

甲状腺機能低下症の患者さんは、気分が落ち込んだり、全体的に元気がなくなったり、記憶力も低下していると感じたりします。

また片頭痛がひどくなると、脳内霧が発生し、集中力が低下したり、記憶力の低下を訴えることがあります。

その他、脳が衰える自然老化や、短期記憶に影響を与える過度の飲酒などが挙げられます。
 

物忘れと認知症を見分ける2つのポイント

物忘れと認知症はどのように区別するのでしょうか?見るべきポイントは、「頻度」と「深刻度」の2つです。

物忘れ:

たまにしか起きず、忘れてしまった事も時間が経つと思い出せる。

認知症:

頻繁に物忘れをし、時間が経っても思い出せないことがほぼ毎日起こる。
例えば、帰り方を忘れたり、タクシーに乗る方法を忘れたりして、生活に影響を及ぼす。

(つづく)

(翻訳・香原咲)

蘇冠米