重金属に汚染された水や大気。日常生活をとりまく各種の石油化学製品。排気ガスを噴きながら道路を走る自動車。
それらは避けることができない現実として、私たちの身近に存在しています。
デトックス(解毒)とは本来、通常の代謝で発生した老廃物を体外に排出することが第一義です。ところが現代においては、外部から体内に入ってきた重金属などの汚染物質を除去することも避けられない課題になっています。
そこで、どのような天然食材が、この問題に有効か考えてみましょう。
よく言われるように、アブラナ科の野菜、ベリー類、ニンニク、大豆、ウコン(ターメリック)などの食品は、天然の「解毒剤」として人気があります。
そのほか、運動で汗をかくことや、腸内の環境を整えるプロバイオティクスを服用する方法も、体内の重金属や石油化学製品の毒素を速やかに排出するのに役立つでしょう。
加えて、以下の5種類の食品または成分も、優れた天然デトックスだと認知されています。
1、アスタキサンチン
各種のエビ類、サーモン、カニなどの海産物に多く存在するアスタキサンチンは、自然界で発見された最も強力な抗酸化物質の1つです。
アスタキサンチンは、ヘモグロビンを有するキサントフィルであり、その抗酸化および抗炎症作用、免疫系を増強する特性、さらには傷ついたDNAの修復促進作用などに注目が集まり、現在も広く研究されています。
科学専門誌に掲載された2021年の研究では、アスタキサンチンのサプリメントを4週間服用すると、若い男性の血液中の抗酸化物質であるグルタチオンの量が増加することが分かりました。
2、クロレラ
現在、重金属による汚染は、人間の健康に対する重大な脅威となっています。
淡水性緑藻類であるクロレラには多くの栄養素が含まれていますが、こうした重金属の除去にも効力を発揮します。
クロレラは、最も一般的な殺虫剤であるクロルデコン(注:米国の農薬。日本では未登録)の半減期を40日から19日に短縮します。また、歯科用のチタンインプラントおよびアマルガム合金の充填による重金属の除去にも役立つとされています。
3、ニンニク
ニンニクは、食物としても生薬としても、長い歴史があります。
ニンニクの主要成分であるアリシンは、抗ウイルス性および抗菌性に優れるとともに、強力な抗酸化作用と解毒作用も有する物質です。
臨床的には、ニンニクは特定の化学薬品よりも安全である上、例えば、軽度から中程度の鉛中毒の治療において、化学薬品のD-ペニシラミンに匹敵するほど有効であるとされます。
ニンニクは、タマネギと一緒に食べると抗がん効果を発揮すると言われています。この効能は、ニンニクに含まれる有機イオウ化合物の作用によるものと考えられます。
4、ブロッコリー
アブラナ科野菜の代表であるブロッコリーは、解毒効果も優れています。
ブロッコリーの植物性栄養素であるスルフォラファンは、発がん物質である多環芳香族炭化水素(PAHs)の毒性を除去する酵素を活性化します。
5、緑茶
緑茶は、毎日飲むことができる、体に優しい飲料です。
研究によると、緑茶や抹茶をよく飲用することで、体に対する鉛毒の悪影響を軽減できます。また、消化管において、有害物質であるポリ塩化ビフェニル(PCBs)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)、ダイオキシンなどの吸収を抑制できることも分かっています。
ポーランドの研究者が2020年に発表した文献によると、緑茶のカテキンは、加齢に伴う酸化ストレスを防ぐことが示されています。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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