NASAの探査車「パーサヴィアランス」が火星で独特な「日食」を撮影

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、火星の衛星が太陽の前を通過する際に観測された、独特な日食の様子を撮影しました。

今年の4月20日、NASAは火星の衛星「フォボス」が、太陽の前を通過する様子の映像を公開しました。「このような観測は、衛星の軌道やその重力の影響が、火星の地殻やマントル層をどのように形成したかを、科学者がよりよく理解するのに役立つだろう」とNASAは述べています。

NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」に搭載されたカメラ「Mastcam-Z」が、その映像を捉えました。NASAによると、これは、今まで火星の日食の様子を撮影した中で最高の解像度と、フレームレート(1秒あたりの静止画像の数)だといいます。

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「パーサヴィアランス」プロジェクトチームの主任研究員であるジェームズ・ベル氏は、「Mastcam-Zカメラは、パーサヴィアランスの重要な目であり、動画や3D写真を撮影できる」と述べました。

米サンディエゴのマリン・スペース・サイエンス・システムズで、カメラを操作しているレイチェル・ハウソン氏は、「(映像の)品質が良いことは分かっていたが、まさかこんなに素晴らしいものが撮れるとは思わなかった!」と語りました。

火星には2つの衛星があり、そのうちの1つがフォボスで、平均半径は11Kmです。月よりはるかに小さく、表面にある縞模様と、直径9Kmのスティックニー(クレーター)は、フォボスの最大の特徴です。

NASAによると、フォボスは5千万年後、中心から割れてドーナツ状のリングの形をした天体になるか、火星に衝突するかのどちらかだと予測しています。

日本は火星衛星探査計画を発表し、数年以内にフォボスに探査機を送り、火星から岩石のサンプルを採取し、地球に持ち帰るプロジェクトを計画しています。

現在、パーサヴィアランスは火星のジェゼロ(クレーター)でさまざまな科学実験を行っています。科学者たちは、大昔、この地域には川が流れ、微生物が生息していた可能性があると考えており、化石や堆積物など、かつてここに微生物が存在した証拠になるものを見つけたいと考えています。

参考映像
 

(翻訳編集:季 千里)