(続き)
3.プレゼントを使って、人との距離を縮めようとする
ささやかな贈り物をよくする人も、そのような人の特徴です。 例えば、「これ、お土産だよ」「これもらったんだ、おいしいよ」と言って、お菓子を持参して人にあげたりします。
プレゼントは好意から贈られるものですが、その裏に「人との距離を縮めたい」という意図がある場合は注意が必要です。
なぜなら、受け取った人は「何かお返しをしなければならない」という思いに駆られるからです。
生物学ではこれを 「互恵的利他主義 」と呼び、科学者たちは人間以外の多くの種、例えば後で紹介する吸血コウモリなどでも、このような行動が見られています。互恵的利他主義 は、群れで生活する動物にとって最も必要不可欠な行動と言えるでしょう。
つまり、人との距離を縮めようとする「贈り物」という戦術は、非常に守備範囲の広いものなのです。もし、あなたが特定の人からささやかな贈り物を受け取り続けるなら、黄色いランプを点灯させ、特に用心することを忘れないでください。
4.お節介だが友好的なつもりでいる
これは、プレゼントを贈るのと同じタイプの行動です。
吸血コウモリの例を見てみましょう。 南米のコスタリカに、体長10センチにも満たない小さなコウモリがいて、馬や牛のお尻にかみつき吸血をして生活しています。その歯は動物が痛みを感じるほど鋭くないので、多いときには体の40%まで血を吸い込むことがあります。そのため血を吸い終わったコウモリはとても飛ぶことができず、歩いて逃げることになります。その際に馬や牛に踏まれることもあり、また吸血できない日が続くと、3日以内に死んでしまいます。
実は、このコウモリは群れをなして生活しており、一つのねぐらに少なくとも数百匹が同居しています。満腹になったコウモリは、吸った血を吐き出して、お腹を空かせた仲間に配ります。
彼らの行動を見て、「吸血コウモリは怖そうだけど、心優しいんだな」と感心してしまうかもしれません。 しかし、この行為の裏に「自分が困っているときはみんなが助けてくれるはずだ」という身勝手な動機があることを知れば、とてもがっかりすることでしょう。そして、実際にその通りなのです。
恩は必ずしも返す必要はない
これが互恵的利他主義というものです。 個人的には、動機はどうあれ、互恵的利他主義は問題ないと思っています。 しかし、中には互恵的利他主義を利用して「好意を返せ」と挑発する人がいます。 つまり、私たちが無条件に、本能的にお返しをしなければならないと感じるように、意図的に仕組んでいるのです。 他人からあまりに多くの好意を受けると、嫌な気持ちになるのは当然です。
もし、あなたが優しさに甘えて苦しんでいるとしたら、それはあなたに問題があるのではなく、あなたの本能が正しく働いている証拠なのです。
最後にもう一度言いますが、過剰に愛想をつかれても、お返しをしすぎる必要はないのです。
(つづく)
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