衰えを感じることの不安もあり、「更年期は新陳代謝が悪くなり、お腹まわりに脂肪が付き、顔がほてるホットフラッシュで夫と離婚に至った」ということもあるそうです。
54歳の淑芬さん(仮名)は、ビューティーブランドの経営者です。もともと外見にこだわりがあり、スタッフや顧客から見ても美貌の持ち主です。ところが、ここ数年、更年期に入ってから、無意識のうちに体重が増え、お腹まわりに脂肪が付いてしまったそうです。 また、ホットフラッシュがひどく、夜中に「顔のほてり」で目が覚めたり、眠れなくなったりすることもありました。 夫とはたびたび喧嘩をし、離婚寸前まで追い込まれました。
若さを保ちたい美魔女
初めて淑芬さんを見たとき、彼女は控えめでおしゃれなスーツを着て、上品な雰囲気のメイクしており、実年齢よりも若く見えたのを覚えています。
笑顔で着席した後、彼女は小さな声で私に言いました。「栄養士さん、女性の体は閉経すると老化が始まるとみんなが言っています。若さを保つために再び生理が来るようにエストロゲンサプリを飲んだほうがいいでしょうか?」
聞いてみると、有能で自信が満ち溢れているように見える淑芬さんも、すでに54歳であることがわかりました。 彼女は、ある美容ブランドの地域セールスマネージャーで、その会社の設立当初から営業チームに加わり、20年以上勤務しています。
淑芬さん自身、職業柄、自分のイメージに強いこだわりがあります。若い頃に入社したときから、彼女は自分のボディイメージをしっかり保っていました。 いつも同じサイズのユニフォームを着て、プロフェッショナルで有能で、生きたブランドイメージのように生き、エレガントでファッショナブルな姿を周囲に見せたいと考えていました。
彼女が自分を律していることは、誰の目にも明らかです。上司はしばしば顧客の前で、会社の最高の宣伝をしてくれる存在であると彼女を賞賛しました。
淑芬さんはいつも口元を隠して、「いや、そんなことはないです」とやんわりと返していました。 しかし、心の中では、自分の体型の良さを誇りに思っていたのも事実です。20年前から制服のサイズが変わっていないだけでなく、若い新入社員と並んでいても見劣りせず、体調も悪そうに見えないからです。
しかし、この1、2年、淑芬さんにとって、どうしても他人に言えない悩みがありました。 彼女は、毎食の食事量がすでに半分になっていました。 しかし思い切って体重計に乗ると、163cm、55kgの標準体型から知らず知らずのうちに63kgになっていました。しかもお腹と下半身に脂肪が集中しているのです。
“喪失 “の不安と “愛される “ことへの欲求
体型の変化もさることながら、淑芬さんを困らせたのは、ここ1、2年で閉経して以来、月経が来たり来なかったり、3、4ヶ月に1、2日しか来なかったりすることでした。 また、夜間のホットフラッシュがひどく、心身ともに疲れているにもかかわらず、いつも夜中に顔がほてり眠れないという悩みを抱えていました。
夏場はホットフラッシュがよりひどくなり、寝具が濡れるほど汗をかいて眠ることもしばしばでした。 エアコンを最低温度まで下げ、扇風機を最高速にしないと寝付けないのです。
ご主人はアレルギー体質で、毎晩、寒さで眠るとくしゃみが出るとのことでした。 彼女は「別々の部屋で寝ましょう」と提案しましたが、夫には理解されず、とても不満に思っていました。
更年期障害による身体の変化で、淑芬さんはイライラするようになり、夫の姿に嫌悪感を抱くようになりました。 怒りたくないのに、自分をコントロールできず、一言、二言で夫婦喧嘩になることもしばしばでした。
例えば、ある休日の朝、淑芬さんの夫は「妻と一緒に朝食を食べに行きたい」と思い彼女を起こし、揺さぶりました。 目を覚ました彼女は気分が悪く、「腹が立つわ、朝ごはんなんか食べてどうするの!」と言ってしまいました。
(つづく)
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