色の濃い蜂蜜は抗酸化作用が強い? この蜂蜜を1日スプーン2杯摂取することが最も効果的(3)

(続き)

蜂蜜は栄養素の宝庫であり、色が濃い程、抗酸化作用に優れています

明らかに糖分なのに、なぜ蜂蜜は血糖値を下げるのか? それは、蜂蜜自体が栄養素の貯蔵庫だからです。

トロント大学トメティ医学部栄養科学科の助手研究員のカーン氏によれば、蜂蜜には30~40種類以上の希少糖が含まれており、食欲関連ホルモンやインスリン分泌を調節して糖代謝を促進します。

また、蜂蜜に含まれる希少糖は果糖やブドウ糖の働きを和らげるため、空腹時血糖値を下げ、血糖値をコントロールします。また、希少糖の中には腸の健康を促進する特定のプロバイオティクスの栄養源になるものや、免疫力を高める効果を持つものもあります。

一方、果糖はしばしば「最悪の糖」とみなされますが、実はそれは偏った見方です。トロント大学の研究者たちは、果糖に関する169件の臨床試験を調査し、『アメリカ臨床栄養ジャーナル』誌に発表しました。その結論は、果物や蜂蜜に自然に含まれる果糖は、肥満を引き起こしにくく、体重減少にさえ役立つというものでした。

『分子誌』に掲載された別の包括的研究では、蜂蜜に含まれる果糖は腸管吸収を抑え、胃排出時間を延長し、食物摂取量を減らす可能性もあると指摘しています。蜂蜜に含まれる果糖はまた、肝臓のブドウ糖代謝能力を高めます。

蜂蜜に含まれる分類された化合物やフラボノイドには抗酸化作用があり、酸化ストレスによって引き起こされる糖尿病の発症や、糖尿病に伴う代謝障害を改善する可能性があります。 蜂蜜の抗酸化力は蜂蜜の色に関係し、色の濃い蜂蜜ほど抗酸化力が高いことが注目されています。

蜂蜜に含まれる亜鉛やセレンなどの微量ミネラルも、血糖値のバランスをとるのに役立つと考えられています。

蜂蜜に含まれるいくつかの特定のタンパク質は、身体の自然免疫システムを活性化することが知られています。

蜂蜜の抗酸化力は蜂蜜の色と関係しており、色の濃い蜂蜜ほど抗酸化力が高いのです。(AomOra / PIXTA)

1日スプーン2杯が最も効果的です

生蜂蜜は一般的に、高温で処理された通常の市販の蜂蜜よりも優れています。

カーン氏は、データは、生蜂蜜を取る人はより多くの恩恵を受けることを示唆している一方で、加工蜂蜜を取る人もいます。それでも恩恵を受けますが、「得られた利点は相対的に少ない」と強調しました。

生蜂蜜は、その有益な成分と生物活性をよりよく維持しますが、一般的な市販の蜂蜜は加工すると成分や生物活性が変化する可能性があります。

具体的には、蜂蜜製品は製造する際、蜂蜜中の水分や酵母を減らすために短時間加熱しますが、これは蜂蜜中のアミラーゼも減少させることにつながります。アミラーゼの役割は、でんぷんの消化を助けることであり、血糖と血中脂質にプラスの影響を与えます。 

また、蜂蜜の加熱処理によってヒドロキシメチルフルフラール(HMF)と呼ばれる物質が添加されますが、これは人体の遺伝子にダメージを与える毒素に変化し、はちみつの有益な効果が減少してしまいます。

蜂蜜に含まれるプロバイオティクスも加熱処理中に減少します

蜂蜜に含まれる抗酸化物質も加熱処理により失われ、代謝促進や空腹時血糖値を下げるといった蜂蜜の役割が弱まってしまいます。たとえば、ある研究では、加熱処理により蜂蜜の抗酸化能力が 33.4% 低下することがわかりました。

さらに、単一の供給源から採れた蜂蜜を選ぶことは、「組成は比較的一貫したまま」であり、特定の効能をもたらす可能性が高くなるとカーン氏はいいます。

彼は、混合ソースからの蜂蜜は、異なる地域、異なるサプライヤー、あるいは異なる国から来るかもしれないので、それらの希少糖は大きく異なり、混合された場合、蜂蜜の全体的な利点は、それに応じて減少すると説明しました。

 先に述べた2022年のレビューでは、単一のソースからの蜂蜜  (特にアカシア蜂蜜とクローバー蜂蜜)は、健康的な食事パターンで血糖コントロールと脂質レベルを改善することが示されました。

また、カーン氏によれば、食事中の加工糖を蜂蜜に置き換えることは、比較的有益であるといいます。 彼が関与した研究では、蜂蜜の一日の摂取量が大さじ2杯(約40グラム)の時、人は最大の効果を得られることがわかりました。 

(完)

李路明