プリンストン大学、MITの科学者2人がEPAによる気候規制は「デマ」に基づいていると発言(1)

2人の著名な気候科学者が、発電時に排出される二酸化炭素(CO2)を削減しようとする環境保護庁(EPA)の新規則に対して、「科学的に正当な理由もなく米国にとって悲惨な結果となる」と証言した。

プリンストン大学物理学の名誉教授であるウィリアム・ハッパー氏とマサチューセッツ工科大学(MIT)大気科学の名誉教授であるリチャード・リンゼン氏は、広範なデータを引用しながら、「新しい規制を正当化するためのEPAの主張は科学的事実に基づくものではなく、間違いだと証明され続けてきた政治的意見や推測モデルに基づいている」と主張した。

「これらの研究やEPAの規則案には非科学的な分析方法が一般的に採用されており、コンセンサス、ピアレビュー、政府見解、機能しないモデル、データのいいとこ取り、膨大な矛盾データの省略に依存している」とハッパー氏とリンゼン氏は語った。

「どの研究も科学的知見を提供するものではなく、したがってどの研究も本規則案の科学的裏付けを提供するものではない」

両氏によれば、「科学的手法という要件から、壊滅的な地球温暖化を予測するモデルは、科学的手法の重要なテストに合格していない。実際のデータと比較して、そのモデルは温暖化を著しく過剰予測している」という。「科学的手法から、化石燃料とCO2が壊滅的な温暖化と異常気象を引き起こすリスク要因ではないことが証明されている」

「実際の結果を予測するという点で、EPAが使っている気候モデルは、数十年にわたり一貫して間違っていた」とハッパー氏は大紀元に語った。同氏は自分の主張を説明するために以下の表をEPAに提示したという。

モデルによる気候予測(赤線で示された平均値)と実際の観測データ (J.R. Christy, Univ. of Alabama; KNMI Climate Explorer)

ハッパ―氏は、「私が米国エネルギー省でエネルギー研究部長を務めていた90年代でも、それは恥ずかしいことだった」と語る。「この研究に多額の資金を提供していたが、モデルが温暖化を大幅に過剰予測していることは当時から分かっていた」

同氏と彼の同僚は、「EPAは、地球上の生命に対するCO2の恩恵を無視しながら、CO2排出による害を著しく誇張している」と主張した。

EPAの気候規制に対して、多くの人たちが、いわゆる「重大問題原則」を主張して戦ってきた。

この原則は、EPAには、議会からの明確な指示なしに、アメリカ人に大きな影響を与える規制を制定する権限はないとしている。一方、ハッパー氏とリンゼン氏は異なる態度をとり、「EPAの規制は恣意的で気まぐれであるためステート・ファーム・テスト [1]に合格しない」と主張した。

[1]ステート・ファーム・テスト:政府機関に対し、その決定について合理的な説明を行い、関連するすべての要素を考慮するよう求める法的基準

「繰り返し、裁判所はステート・ファームの原則を適用して、当局が問題の重要な側面を考慮しなかったり、あらかじめ決められた結論を支持するためにデータをつまみ食いしたりするような規則を無効としてきた」と彼らは述べている。

ハッパー氏とリンゼン氏の証言によると、「高レベルのCO2が壊滅的な地球温暖化を引き起こすという理論は、6億年分のCO2と気温のデータに矛盾している」という。

両氏は、「歴史的には、CO2 と気温データの両方が現在よりはるかに高いレベルにあった時代もあったが、両者の間にはほとんど相関関係が認められない。現在のCO2レベルは、低い水準にある」と主張している。

「産業時代の始まり以来、CO2濃度が140ppm増加したと頻繁に強調されているが、地質学的な地球上の生命の歴史の中でのCO2の変化に比べれば取るに足らないものだ」と両氏は述べた。

さらに、EPAに対して、「EPAの排出規則は、CO2と化石燃料が地球上の生命、特に人間の生命にとって不可欠であるという事実を考慮していない」と証言している。

「大気中のCO2濃度が上昇したため、世界中の人々や干ばつ地域の人々にとって必要とされるより多くの食料が生産されるようになった。産業革命以来、過去 2 世紀にわたるCO2の増加(約 280 ppm から約 420 ppm まで)があり、世界中の人々が利用できる食料が約 20 パーセント増加しただけでなく、地球の緑化も進み、気温も穏やかに上昇した」

両氏は「大気中のCO2が増加すると植物の成長が促進され、農作物の収量が増加する。さらに、天然ガスの誘導体である合成肥料は、今日の世界の食料生産のほぼ半分に貢献している。ネットゼロ目標はCO2排出量を年間40ギガトン以上削減し、それに比例して食料供給も削減するだろう」と語った。

「CO2による恩恵を無視していることに加えて、EPAの排出規制とそれを正当化するために使われている地球温暖化論は、欠陥のあるデータに基づいている」と彼らは語る。

(翻訳・大室誠)

(続く)

 

経済記者、映画プロデューサー。ウォール街出身の銀行家としての経歴を持つ。2008年に、米国の住宅ローン金融システムの崩壊を描いたドキュメンタリー『We All Fall Down: The American Mortgage Crisis』の脚本・製作を担当。ESG業界を調査した最新作『影の政府(The Shadow State)』では、メインパーソナリティーを務めた。