考えられる要因
いかにして、ワクチン接種が人の精神状態や人格に変化を引き起こすのだろうか?
ワクチン接種後の症状と新型コロナ感染後の症状をどちらも治療している医師らによると、この2つの症候群にはよく似た症状が見られるという。
それは、ウイルス感染にしろワクチン接種にしろ、患者は新型コロナウイルスのスパイクタンパク質にさらされ、炎症を引き起こす可能性があるためだ。
炎症と関連する疾患としては、双極性障害や統合失調症、不安神経症が知られているが、中でも最もよく知られているのがうつ病だ。
ホリスティック医療を行う精神科医のアルナ・タムマラ氏は、「mRNA技術は長い間研究されてきたが、2020年以前の研究によって、mRNAワクチンに強い炎症性があることがはっきりと分かっている」とエポックタイムズに語った。
精神科医のアマンダ・マクドナルド氏は、イベルメクチンやヒドロキシクロロキンなどの抗炎症薬や、高気圧酸素治療が患者の気分を安定させることを発見した。
彼女がワクチン接種後に不安定になった精神病患者にイベルメクチンを処方したところ、著しい改善が見られたという。
マクドナルド氏は医師としてワクチン後遺症患者やコロナ後遺症(ロングコビッド)患者を何百人も治療してきたが、ある日、彼女自身もコロナ後遺症になったという。
説明できないようなネガティブな思考に襲われ目を覚ましたが、高気圧酸素治療装置に入って10分で気分障害が消えたと彼女はその時のことを振り返った。
他にスパイクタンパク質が引き起こす症状としては、血液凝固がよく知られている。血液凝固によって組織に運ばれる酸素が減少すると、組織は最適なレベルで機能できず、老化する。
脳内の血液凝固により神経細胞がストレスを受けて損傷することで、認知障害や不安、うつ、精神病が引き起こされる可能性がある。
神経科医・神経放射線科医のダイアン・カウンス氏は、不安と勃起不全、視覚障害を訴える患者に勃起不全の治療薬(血液量を増やす血管拡張薬)を服用させたところ、視覚障害が改善されたという。この患者が微小血栓症を発症していると気づいた彼女は、アスピリンとナットウキナーゼを服用させたという。
また、スパイクタンパク質には脳に直接害を与える可能性もあり、脳活動の障害や精神医学的問題を引き起こしかねない。
スパイクタンパク質は免疫細胞に浸潤することがある。すると、免疫細胞はヒスタミンを放出するが、ヒスタミンは脳に侵入し、神経を刺激し炎症を起こす。神経炎症は自殺との関係が示されており、特定の抗ヒスタミン薬は自殺の減少との関係が示されている。
リーディング・エッジ・クリニックの看護師スコット・マーズランド氏には、身体症状しかないワクチン接種後の患者がいたが、ある日突然その患者が自殺願望を抱くようになったという。
丹念に話を聞いた結果、マーズランド氏は、紅茶をプーアール茶に変えたことだけが患者に起こった唯一の変化だったことを突き止めた。
「プーアールには驚くほど多くのヒスタミンが含まれています。それを飲むのを止めたら、なんと2日後には基準値に戻りました」
ある種のウイルス感染もまた、精神障害と関連しているようだ。
研究によって、新型コロナウイルスとそのスパイクタンパク質が、私たちの体内で古代のウイルス遺伝子を再活性化することが示されている。
それはヒト内在性レトロウイルス(HERV)と呼ばれるもので、ヒトゲノムの中にはその感染・侵略の痕跡が残っている。HERVの活性化は統合失調症のような精神症状に関連している。
また、スパイクタンパク質がエプスタインバーウイルス(EBV)を再活性化することもある。EBV感染も同様に精神病と関連している。
さらに、新型コロナワクチンが腸内細菌叢(マイクロバイオーム)にダメージを与えることも示されている。神経伝達物質の多くが腸内で生成されることから、精神症状を引き起こす可能性が懸念される。
より大きな問題
ワクチンに関連した精神疾患は治療できることが多い。しかし、懸念されるのは、ワクチン後遺症を負った患者が、精神疾患でないにもかかわらず精神疾患と診断されることだ。
ワクチン接種後に生理的な症状が出る患者は多いが、彼らが医師に助けを求めても真剣に取り合ってもらえず、不安やストレスのせいだと一蹴されてしまうことがある。マーズランド氏が述べている。
救急科の元主任看護師であるニコール・スクラファニ氏は、ワクチンの一次接種を済ませた3か月後に視覚障害と慢性的な筋肉痛を発症した。彼女の症状は新型コロナ感染後に悪化し、神経科医、リウマチ専門医、さらには胃腸科専門医から抗うつ剤を処方された。
神経科医から、「あなたの症状はすべてストレスからきている。そう言わなければあなたのためにならない」と言われたこともあるという。
初めて診察を受けたとき、彼女はワクチンの副反応が原因かもしれないと医師に話したが、それ以来そのことを伝えるのを諦めたという。
「ワクチンのせいだと私が言った時の彼らの顔を見れば、それがどういう表情か分かります。私は看護婦でしたから」
ワクチン後遺症は一般的でない症状群として現れるが、医師らはワクチンとの関連性を認めたがらない。そのため、根本的な病態に目を向けることなく、心身症として片付けられることが多い。機能性神経障害と診断され、精神科の薬が処方されることもある。
精神科医のクリスチャン・シオラ氏は、機能性神経障害は定義が曖昧だと指摘している。機能性神経障害とは、心理的な困難に対して、身体的な症状を作り出すことで解決策を見出す状態を指す。
「無駄な診断であってはなりません。心がそのようなものを作り出すという何らかの証拠が必要ですが、それは簡単なことではありません」とシオラ氏は言う。
さらにシオラ氏は、ワクチン後遺症患者たちが精神活性薬による副作用や奇異反応を経験しやすいことに、患者と話していて気づいたという。
mRNAワクチンに含まれる脂質ナノ粒子が向精神薬と相互作用することは、研究によって分かっている。患者の体内に長くとどまり、通常の用量でも毒性を持ちうる薬物もある。
リチウムやフルボキサミンなど一部の精神疾患の薬物には抗炎症作用があり、神経保護作用はあるかもしれないが、その多くは潜在的に有害だ。最も広く処方されている抗うつ薬であるエスシタロプラムもその一つで、それまで機能していた脳の構造を変化させることが研究で示されている。
正気が狂気とされる世界
ワクチン後遺症患者の中には、医者にかかる前から不安を抱き、医者をなかなか信頼しない人もいる。
スクラファニ氏に抗うつ薬を処方する医師が増えるにつれ、彼女は医師の判断に猜疑心を抱くようになったという。
彼女のナトリウム濃度が低かったにもかかわらず、医師は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)を処方した。彼女が自身の病状を話しても、医者は聞く耳を持たなかったようだ。彼女はこう述べている。
「心配なのは、医師が十分に治療せず、十分に話を聞かず、十分に注意を払わなかったことです。ナトリウムの例ですが、もし注意していたなら、決してそのような薬を処方しなかったでしょう。だから私は診察室を後にしたのです。処方箋を出されても、薬を飲むことはありません。精神医学の見地からすればパラノイアに当たるかもしれませんが、私は薬を飲まないのが妥当だと思ってます」
ワクチン後遺症を負った人たち、特に善意からワクチンを打ってそうなってしまった人たちは、自分の世界観と自分自身が両方とも壊れてしまうかもしれない、とシオラ氏は言う。
彼は、映画『マトリックス』の象徴的なシーンを引き合いに出した。主人公のネオは赤い錠剤を飲み、自分がずっと機械が作り出した現実の中で生きてきたことを知る。彼はその現実を受け入れられず、不信感のあまり嘔吐する。
かつては信頼されていた保健当局者や政府の指導者は今、ワクチン後遺症を負った人々の実生活を無視している。
「彼らがあなたに伝えていることをあなたは嘘だと分かってる。なのに彼らはかえってあなたが間違っていると言っている。そんな時、何を信じていいのか分からなくなる」とシオラ氏は言う。
「そして、何が現実で何が現実ではないかも分からなくなる」
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