研究者ら、心臓病と死亡に関連する尿中の6つの金属を発見

カドミウム、タングステン、ウラン、コバルト、銅、亜鉛の 6 つの金属の濃度が高いと、心血管疾患や死亡率の増加に直接つながります。

コロンビア大学の研究者たちは、尿中にこれら6種類の金属が混在している被験者は死亡リスクが66%上昇すること、18年間の研究期間中、被験者の心血管疾患は29%増加することを発見しました。

「汚染金属を含む不随意的な環境曝露が、臨床的心血管系疾患(CVD)および不顕性CVD、ならびに全死因死亡の修飾可能な危険因子として極めて重要な役割を果たしていることを示す証拠が増加しています。これらの知見は、心血管系の健康を改善するための新たな予防戦略の開発に役立つ」と、研究者らは8月1日付の学術誌「Circulation」に発表しました。

 

銅とカドミウムが最もリスクを高めていた

この研究では、シカゴ、ニューヨーク、ボルチモア地域、ロサンゼルス地域、セントポール、ノースカロライナ州ウィンストン・セーラム地域から募集した平均年齢62歳の研究対象者は2000-01年に心血管疾患のない状態で研究グループに参加し、2019年まで研究は続きましたた。
 

以下の金属は心血管系疾患のリスクを高めることが判明しています。

– 銅:42%

– ウラン:32%

– カドミウム:25%

– コバルト:24%

– 亜鉛:21%

– タングステン:20%

-全死因死亡率については、尿中カドミウム値が高い人は以下のようにリスクが高まります。 

カドミウム:68%

– 銅:50%

– 亜鉛:38%

– コバルト:37%

– ウラン:32%

– タングステン:16%

 

「個々の金属と全死因死亡率の10年生存確率曲線は、カドミウム、コバルト、銅、亜鉛のベースライン尿中濃度が上昇するごとに、生存確率が一貫して低下することを示した」と述べました。

 

6種類の新金属を研究

研究者たちは、金属の毒性を評価した過去の研究は、主にヒ素、カドミウム、鉛の3種類の金属に限られていたと指摘しました。カドミウム、タングステン、ウランは非必須金属で毒性がありますが、コバルト、銅、亜鉛は必須金属であり、体内で重要な働きをしますが、過剰に摂取すると有害となります。これらの6種類の金属は、動脈硬化の徴候である冠動脈石灰化との関連から選ばれたものとなります。

尿中のこれらの金属濃度が高い場合、過剰な被曝を示す可能性があります。

本研究の筆頭著者である疫学者イレーネ・マルティネス=モラタ博士(Dr. Irene Martinez-Morata)は声明の中で、「このような(過剰な)暴露は、これらの栄養素の体内貯蔵量の損失を示している可能性があります」と述べた。

 

政策への影響力

ウランやタングステンのような金属は、ヒ素、鉛、カドミウムに比べて毒性に関する研究は少ないが、マルティネス=モラタ氏によれば、米国では一般的なものです。この研究で調査された6種類の金属は、水、食物、大気汚染、室内塵などを介して摂取される可能性があります。

「この調査は、大気汚染、飲料水、食品汚染、消費者製品に関する連邦政府の政策や規制に影響を与えるために実施されました。例えば、飲料水の最大汚染物質レベルの引き下げや有鉛ガソリンの禁止といった連邦規制は、水や空気中のヒ素、カドミウム、鉛といった有害金属への暴露を減らすことに成功しています」とマルティネス=モラタ氏は声明の中で述べました。

 

(翻訳編集 呉安誠)

記者、編集者、作家。最近では、米国の国境警備隊捜査官の殺害事件を扱った実録本『Who Shot Nick Ivie(仮題:誰がニック・アイビーを撃ったのか)』を執筆。妻のケイトとともにイリノイ州中部で暮らす。