カフェインガムでパフォーマンス向上? 便利さの裏にあるリスク

トリッシュ・ウェザレルさんは、時折カフェインガムを噛んで震えを感じることなくエネルギーを得ており、高強度のウエイトトレーニングやカーディオを組み合わせたクロスフィットの前に使用することもあるといいます。

「少しだるさを感じるときに1枚噛むと、乗り切れるんです」とエポックタイムズに語りました。「必要なタイミングで素早くエネルギーを補ってくれます」

カフェインガムは近年注目を集め、ティーンエイジャーの間にも広まりつつあります。

ネーションワイド小児病院の毒物部長、ハンナ・ヘイズ博士は、高校生の息子がカフェインガムを買うために頻繁に自転車でガソリンスタンドに行っていたという母親の話を、最近聞いたとエポックタイムズに語りました。

市場調査会社Growth Market Reportsのデータによると、現在3億2千万ドル規模のカフェインガム市場は、2033年まで年平均7.2%で成長し、13億7千万ドルに達すると予測されています。この成長は、健康志向の高まり、スポーツやフィットネス活動の増加、携帯可能なエネルギー補給手段の需要によって支えられています。

また同社は、多くの健康志向の消費者が、糖分摂取の増加や消化への不安からエナジードリンクを避け、代わりにエナジーガムを選んでいると指摘しています。

カフェインガムはコンパクトで、学生、忙しいビジネスパーソン、アスリートなどにとって、精神的・身体的な優位性を得るために制御されたカフェイン摂取が可能です。その安全性や健康への影響は、エナジードリンクやコーヒーと似ていますが、使う人の使い方によって大きく左右されます。
 

確実なパフォーマンス向上

ヘイズ博士が話を聞いた高校生のようなアスリートにとって、カフェインガムの魅力は明白です。もともと軍用のエネルギー補給として開発されたこのガムは、他のカフェイン摂取方法よりも優れている可能性があるとして、多くの研究の対象となっています。

飲料などと違って徐々に摂取されがちなカフェインですが、ガムは口腔内と腸の両方から急速に吸収されるため、即効性があり短時間の活動に最適です。また、カプセルよりも胃腸への負担が少ないことも利点とされています。

『Frontiers in Nutrition』誌の研究によると、カフェインの素早い全身吸収は筋肉の発火速度を高め、運動の強度向上につながるとされています。

「カフェインガムによる苦味刺激の潜在的なメカニズムは見過ごせません」と著者らは述べています。「具体的には、カフェインが口内の苦味受容体に作用することで、運動制御や感情処理に関わる脳の領域を刺激し、中枢神経系の覚醒を強化することでレジスタンストレーニングのパフォーマンス向上に貢献します」

『Nutrients』誌に掲載された系統的レビューでは、運動の5〜10分前にカフェインガムを噛むと運動中の血中カフェイン濃度が有意に上昇し、噛んだ後40分でピークに達すると示されました。これに対し、コーヒーは摂取から15分〜2時間後にピークを迎えます。

32件の運動パフォーマンスに関する研究を分析したレビューでは、運動前のカフェインガム摂取が、持久力、スプリント能力、脚力、競技特有のパフォーマンスを改善したと報告されています。また、運動中の疲労感も軽減される傾向が見られました。

一方で、痛みの知覚、バランスパフォーマンス、バレーボールのジャンプ力など爆発的な動きや、速度や方向転換といった敏捷性に関するパフォーマンスについては一貫した結果が得られなかったとされています。

認知機能に関する研究では、結果にばらつきがありました。著者らはこれをカフェインの摂取量や個人差による反応の違いに起因するとしています。認知測定を含む3件の研究のうち2件では、スプリントや砲丸投げにおいて反応時間が改善された一方、1件では認知機能に有意な変化は見られませんでした。
 

反応は人それぞれ

「カフェインは摂取形態に関係なく、明確な臨床効果をもたらします」とヘイズ博士は述べました。「幼児では過剰な興奮、高齢者では過覚醒によって睡眠が妨げられることがあります」

カフェインの反応には個人差がありますが、多くの場合は軽度の毒性で自然に回復するといいます。

カフェインは交感神経を刺激し、いわゆる「闘争・逃走反応」を活性化します。これはアドレナリンの分泌、心拍数の増加、気道の拡張を促し、呼吸と酸素摂取を改善します。

『Nutrients』誌のレビューでは、こうした交感神経の活性化が全員に同じように起こるわけではなく、遺伝や健康状態、過去のトラウマなどによって個人ごとの独自の反応が見られるため、カフェインの効果は一概に予測できないと指摘しています。

中には、カフェインによって神経過敏や不安が増し、逆に認知パフォーマンスが低下する人もいます。

一般的に、コーヒー1杯には約100mgのカフェインが含まれ、これは12~18歳の推奨上限量です。12歳未満の子どもにはカフェインの摂取は推奨されていません。成人では、1日あたり400mgを超えないようにするのが望ましいとされています。

カフェインガムをガイドラインを超えて摂取すると、心拍数の増加やコーヒーと同様の副作用が起こることがあります。BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation誌に掲載されたボディビルダーに関する研究では、カフェインガムが尿量の増加と脱水の促進に関係していることが示唆されました。

1枚のガムにはブランドにより50〜125mgのカフェインが含まれています。Growth Market Reportsによれば、現在オンラインおよび多様な市場で20社以上がエナジーガムを製造・販売しています。
 

カフェイン摂取の注意点

あらゆる年齢層がカフェインの過剰摂取に注意すべきであり、特にガムと他のカフェイン製品を併用する際には注意が必要です。ガムは見た目が無害なため、つい過剰に摂取してしまうリスクがあります。小さな子どもがいる家庭では特に注意が求められます。

「ガムは一般的な食品のように見えるため、カフェインが含まれていることに気づかずに摂取してしまう危険があります」とヘイズ博士は述べています。「カフェイン入りの製品は、他の食品と分けて保管し、誤って摂取しないようにすることを勧めます」

彼女の共同研究が掲載された『Journal of Medical Toxicology』によると、2011〜2023年にかけて、アメリカ毒物センターへの小児によるカフェイン粉末や顆粒の誤摂取報告は633%増加しており、特に幼児が食品と誤認するリスクがあるといいます。粉末・顆粒は深刻な医療対応を要する要因の2番目に多く、全体の7%を占めました。

また『The Lancet』誌は、4時間でエナジーガム2パックを噛んだ13歳の少年が、興奮、攻撃性、胃痛、脚のしびれを訴え入院したケースを報告しています。

ヘイズ博士は、自身の研究において、現時点でカフェインガムは毒性事例が少ないものの、その人気が高まることで過剰摂取の原因として上位に挙がる可能性があると懸念しています。

毒性リスクを避けるために、ラベルの確認、適切な摂取、家庭内での安全な保管、特に子どもがいる家庭ではルールの設定などが推奨されます。

「他の薬と同じように扱ってください。なぜなら、これは『薬』でもあるからです」と彼女は述べ、カフェインが未熟児に対しても中枢神経や呼吸刺激の目的で医療現場で使用されていることを補足しました。

食品会社にはカフェイン含有製品に関する表示義務がありますが、製品によってはカフェインの有無や量がわかりづらいこともあるとFDAは指摘しています。たとえばチョコチップのようにカフェイン成分を含む製品には、記載が義務付けられていない場合もあります。なお、デカフェコーヒーにも微量のカフェインが含まれています。
 

カフェインガムのメリット

カフェインガムは、コーヒーに比べて口臭を抑える効果が期待できるほか、ビタミンやハーブエキスを配合した専門ブレンドも販売されています。

Growth Market Reportsによると、このような機能性製品は今後も店舗の棚に定着していく可能性が高いとされています。

「主な成長要因としては、健康意識の高まり、スポーツやフィットネス活動の増加、外出先でのエネルギーソリューションの需要、砂糖や消化不良への懸念による従来のカフェイン入り飲料からの移行などが挙げられる」とのことです。

(翻訳編集 日比野真吾)

イリノイ大学スプリングフィールド校で広報報道の修士号を取得。調査報道と健康報道でいくつかの賞を受賞。現在は大紀元の記者として主にマイクロバイオーム、新しい治療法、統合的な健康についてレポート。