多くの人が生活リズムの乱れにより、夜になってもなかなか眠れず、メラトニンが快眠を求める手助けとなっています。実は、メラトニンは体内で自然に分泌されるホルモンであり、この記事では、生活習慣と食事習慣を通じて体内のメラトニン濃度を高め、睡眠の質を改善する方法について解説します。
研究によると、メラトニンは体内時計を調整し、入眠を助けるだけでなく、高血圧予防、血中脂質の低下、がんや糖尿病の予防、肥満防止といった効果も持っています。台湾の可苡栄養相談センターの栄養士、張維浚氏は、メラトニンの効果は主に睡眠をサポートする点にあると説明しています。睡眠は体の修復を促し、ストレスホルモンの調整を助け、神経系の健康維持にも役立ちます。良質な睡眠が得られれば、血圧の安定や血糖値の調整にもつながり、脂肪燃焼を促進して体重管理も容易になります。
夜間に眠気を感じるのは、体が自然にメラトニンを分泌するためですが、ブルーライト(スマートフォン、パソコン、照明など)にさらされるとその分泌が抑えられてしまいます。就寝前に電子機器の使用を控え、照明を暗くすることで、メラトニン分泌不足の改善に役立ちます。
メラトニンを増やす2つの方法
張維浚氏は、日光浴と食事によるメラトニン補給をすすめています。
●日光浴
朝の太陽光は、メラトニンの正常な分泌を助けます。特に、朝8時から10時の間に日光を浴びることで、夜間のメラトニン分泌を正常に促す効果が期待できます。一方、正午に日光を浴びても、メラトニン分泌への効果はあまり期待できません。
●メラトニンを含む食品の摂取
ピスタチオ:ピスタチオにはメラトニンが豊富に含まれており、就寝2〜3時間前に10〜20粒食べることがすすめられます。
大きなトマト:大きなトマトにはメラトニンが多く含まれており、臨床研究では、就寝2時間前に250gの大きなトマトを8週間食べ続けることで、閉経後の女性のメラトニンレベルが上昇し、睡眠の質が改善されることが確認されています。
ホワイトマッシュルーム:ホワイトマッシュルームにもメラトニンは含まれていますが、ピスタチオほどではありません。1回あたり約200gの摂取が目安です。
その他にも、紫米、黒米、チェリー、ふじりんごなどにも少量ながらメラトニンが含まれており、取り入れることができます。
メラトニンの選び方と使用方法
台湾では、メラトニンは処方薬に分類され、自由に購入することはできません。しかし、アメリカでは一般的な健康食品として扱われ、自由に購入することが可能です。
張維浚氏は、購入時に以下の2つのポイントに注意するよう呼びかけています。
●認証マークの有無:認証マークのある製品を選び、重金属や汚染物質が残留しているリスクを避けることが大切です。
●有名メーカーの製品:品質と成分の安定性が保証されている、信頼できる大手メーカーの製品を選びましょう。
初めてメラトニンを使用する人に対しては、張維浚氏は、1日0.3~0.5mgの少量から始めることをすすめています。1~2週間続けて体の変化を観察し、効果が感じられなければ1mgに増量します。さらに2週間観察しても改善が見られなければ、2mg、3mgと段階的に増やします。それでも5mgまで増量して効果がない場合は、他の睡眠障害の可能性も考えられるため、医師に相談することがすすめられます。
張維浚氏は、メラトニンの役割は「眠るべき時間に自然と眠くなるように促すこと」であり、効果を確認する際は、寝つきの改善を基準にすべきだと説明しています。なお、「3~4時間で目が覚めてしまう」といった場合は、別の睡眠問題に分類されます。
メラトニンの使用を避けるべき3つのグループ
張維浚氏は、メラトニンが睡眠を助ける一方で、以下の3つのグループに属する人は、メラトニンの使用を控えるべきだと述べています。
●妊娠中、妊娠を希望している、授乳中の女性:現在のところ、メラトニンが妊婦や胎児に与える影響については明らかになっていません。リスクを避けるため、これらの期間中は使用を控えることがすすめられます。
●自己免疫疾患の患者:全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチなど、自己免疫疾患を持つ人は、肝臓や腎臓の代謝機能に異常があることが多いため、サプリメントの追加摂取が代謝負担をさらに悪化させる可能性があります。
●抗凝血薬を使用している患者:メラトニンは抗凝血薬と相互作用し、出血リスクを高める可能性があるため、このような薬を使用している人は、メラトニンの使用を避けることがすすめられます。
(翻訳編集 華山律)
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