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秋冬は「朝シソ」で免疫習慣

シソは、体の中では胃や腸の働きを整え、外では風邪や寒さを追い払ってウイルスを防ぐ力があります。体全体のバランスを整えて、秋から冬にかけての季節の変わり目を元気に過ごすのにぴったりです。シソを使った餅を朝食に食べると、その力をしっかり取り入れることができます。

カニの冷えをやわらげ、胃腸を守って風邪を防ぐ

秋が深まるとカニがおいしくなりますが、食べすぎると体が冷え、胃腸を弱らせて腹痛や下痢を起こしやすくなります。昔の中国の医書『太平聖恵方』には「カニを食べてお腹が痛くなったらシソ湯を飲めば治る」と書かれていますし、『本草綱目』にも「シソはカニの毒を取り、気の流れを良くして風寒を除く」とあります。

そのため、秋にカニを食べるときはシソを添えるのが昔からの習慣です。シソはカニの冷えを中和し、湿気を追い出して胃を温め、気の流れを整えてくれるからです。

蒸し茄子のおひたし(Shutterstock)

日本でもシソの葉はよく使われます。日本は風が強く湿気の多い国で、寒くなると風邪をひきやすい環境です。シソは胃腸を助けるだけでなく、肺を守ってくれる働きがあります。肺がしっかり働くと、体の表面にある毛穴が正常に開いたり閉じたりして、体の外側を守る「衛気」という温かいエネルギーを外に行き渡らせます。

この「衛気」は体温を保ち、寒さやウイルスから守る防御の力です。もし肺が弱ると、毛穴が閉じて衛気が外に出られず、体が冷える一方で中に熱がこもり、発熱や筋肉の痛みを起こします。シソはこのバランスを整え、体の外と内の両方から健康を支えます。そのため、日本の料理でも昔から欠かせない存在です。

中国の明の時代の名医・張介賓も、風邪で寒気や咳が出て胸が苦しい患者にシソ湯を飲ませ、「飲めば汗が出てすぐ楽になる」と記しています。シソは中を整えながら外の風寒も取り除く、まさに「食べられる薬」です。

昔から「家にシソの葉を常備すれば、寒さや流行り病を防げる」と言われています。風邪やインフルエンザが流行る秋冬にシソを食べるのは、昔の人の知恵そのものなのです。
 

シソの健康パワー:体の陽気を目覚めさせ、気の流れを整える

シソは辛みがあって温かい性質を持ち、肺・胃・肝に働きかけます。『本草備要』という古い書物には、「温かい気で寒さを散らし、辛い味で気を巡らせ、香っても強すぎず、体を補っても重たくならない」と書かれています。香りの良いシソは、風邪を追い払い、気を整え、胃を元気にしてくれます。

シソの本当の力は、単に冷えや毒を取るのではなく、体のリズムを自然の流れに戻すこと。(Shutterstock)

シソの一番の特徴は、「体の中のエネルギーの上下(昇降)」を整えることです。シソは肝の働きを助けて陽気(あたたかい気)を上に押し上げ、肺の働きを助けて気を下に下ろし、胃の陽気を温めます。こうして気の流れがスムーズになり、血の巡りも良くなって、体の中の寒さや湿気が自然に出ていきます。

つまりシソの本当の力は、単に冷えや毒を取るのではなく、体のリズムを自然の流れに戻すこと。上がるべきものは上がり、下がるべきものは下がる——陰と陽のバランスが整い、体の中の「正気」がしっかりしていれば、病気やウイルスが入り込む余地はなくなるのです。
 

シソは朝に食べるのが一番おすすめ

日本では特に緑色のシソ葉が好まれます。香りが良いだけでなく、緑色が五行で「木」に属し、「肝」を整える色だからです。日本は「日出ずる国」、東の木の気を持つ国であり、「シソ(紫蘇)」の「蘇」には「よみがえる」「すっきりする」という意味があります。朝にシソを食べることで、体の中で眠っている陽気が朝日とともに目覚め、自然のリズムに調和します。目が覚めて頭がすっきりし、気分が晴れやかになります。

朝にシソを食べるのは、理にかなった最高の健康習慣なのです。(Shuttestock)

『黄帝内経』には「陽気は天や太陽のようなもので、それを失うと衰える」と書かれています。朝は陽気がちょうど昇り始める時間。そんなときにシソの温かく、さわやかで刺激的な香りを取り入れることで、体の中の陽気を高め、体の外側を守る力を強くします。これが風邪やインフルエンザを自然に防ぐ助けになります。

つまり、朝にシソを食べるのは、理にかなった最高の健康習慣なのです。

現代の研究でも、シソに含まれる「シソアルデヒド」や「シソケトン」といった香り成分には、毛細血管を広げ、軽く発汗させて血行を良くする働きがあることが分かっています。さらに、シソのエキスには炎症を抑えたり、ウイルスやアレルギーに対抗したり、免疫のバランスを整える効果があることも確認されています。

これはまさに、昔の人が言った「汗を出して表の邪気を払う」「気が巡れば病は消える」という考えと同じ。中医学で言う「気の流れ」と、現代医学で言う「免疫の調整力」は、実は同じ自然の仕組みを意味しているのです。
 

栄養バランスのとれた「シソと卵のお好み焼き風」

食材の組み合わせとその働き

① ネギと卵

ネギは辛みがあって体を温める性質があり、肺の働きを助けて汗を出し、冷えを追い出す力があります。卵は甘くて穏やかな性質で、胃腸や肺をうるおし、乾燥を防いで血を補ってくれます。

この二つを合わせると、ネギが体を温めて外の寒さを追い出し、卵が体の中をうるおして元気を補う、バランスのとれた組み合わせになります。

さらに、ネギに含まれるアリシンという成分には強い抗菌・抗ウイルス作用があり、卵の良質なたんぱく質は喉や呼吸器の粘膜を守るはたらきがあります。そのため、秋や冬の風邪予防にとてもよい組み合わせです。

② 豆乳と小麦粉

豆乳は味がやさしく、体をうるおして肺と胃腸の働きを整える食材です。植物性たんぱく質やイソフラボンが豊富で、免疫力を高め、炎症や酸化を防ぐ作用があります。

小麦粉は小麦の中心部分から作られ、甘くて性質は穏やか。血を補い、胃腸を落ち着かせます。中に含まれる炭水化物はゆっくりエネルギーを供給し、血糖を安定させるため、体の気(エネルギー)や血がしっかり巡るようにサポートしてくれます。
 

朝におすすめのレシピ:シソ入り卵のもちもち焼き

シソ入り卵のもちもち焼き(料理イメージ画像)

材料(2人分):

  • シソの葉:4~5枚(細かく刻む/風邪のひき始めの人は倍量でもOK)
  • 卵:2個
  • 小麦粉:100g
  • 豆乳:約100ml
  • ネギ(刻み):少々
  • 塩:少々

作り方:

  1. シソとネギを細かく刻み、卵・小麦粉・豆乳を加えてよく混ぜ、少しとろっとした生地にします。
     
  2. フライパンを弱火で温め、油を薄くひき、生地を流して薄く広げます。
     
  3. 両面がほんのりきつね色になるまで焼けば完成です。熱いうちにそのまま食べても、青菜などを巻いて食べてもおいしいです。

効果:

体を温めて寒さを追い出し、胃腸と肺を元気にし、血の流れをよくしてくれます。朝に食べると体の「陽気(エネルギー)」を引き上げ、体の外側を守る「衛気(体を守る力)」を強めて、風邪や秋の湿気から身を守ることができます。体が冷えやすい人や、胃腸が弱くて風邪をひきやすい人にぴったりです。

 

まとめ

シソの良さは、香りがよいだけではありません。体の中の気の流れを整え、元気(陽気)を目覚めさせ、胃腸を活発にしてくれるところにあります。

朝、太陽が昇る時間にシソを食べることで、体のエネルギーが自然に上向きに動き、気の巡りがスムーズになって五臓が整い、風邪や冷えに負けない体づくりができます。秋冬を元気に過ごすために、朝食にシソの香りを取り入れてみてください。
 
 (翻訳編集 華山律)

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。