人生に関するアドバイスを書く者として、私はまったく新しいアイデアを生み出すことを自分の使命だとは思っていません。すでに最良のアイデアは多くが示されており、「独創的」に見えるものが本当に新しいものであることはほとんどありません。
むしろ私は、これまでに聞いてきた良いアイデアや、自分自身に効果があったものを繰り返し伝えることに価値があると考えています。アイデアを自分の頭の中でかみ砕き、言葉として表現することで、そこに自分らしさが加わります。良いアイデアは繰り返されることで社会に定着し、役立つものになります。人がある考えを身につけるには、複数回、そしてさまざまな角度から触れることが必要なのです。
そのため、これからお伝えするアドバイスは、当たり前に聞こえるかもしれません。あなたがすでに知っていて、やろうと思えばできることばかりです。しかし実際には、それを実践している人は多くありません。
これが、そのアドバイスです。
あなたには、自分の1日を明るくする力があります。そしてそれは、周りの人の1日を明るくすることにもつながります。
新しいスタート
1日は、あなたが目を覚ます瞬間から始まります。目を開けたそのとき、あなたは新しい一人の人間であり、その日をどう過ごすかを選ぶ自由があります。昨日起きたことは、今日あなたが使う「盤面」に駒を並べただけであり、その駒をどう動かすか、どんなゲームにしていくかは今日のあなた次第です。
あなたにとって大きな選択肢のひとつは、周囲の出来事に「受動的に」気分を左右されるのを待つのか、それとも主体的な選択を通して1日を明るくしていくのか、ということです。
私たちは誰もが選択肢を持っていると知っていますが、複雑な感情が絡むと、自分を哀れんだり、無力さを選んでしまうことがあります。しかし実際には、明るい1日を選ぶことは難しくありません。重い感情的負担のように感じられても、脳はほんのわずかな方向づけさえあれば軌道を変えられます。
私がこの考えを支持する最大の理由は、自分の経験と周囲の観察です。ほんの少しの前進や小さな主体的行動が、その人の1日に前向きな連鎖反応を生む姿を見るのは驚くべきことです。
どんな日も明るくできる5つの具体的な行動
どれもほとんど労力がかからず、失うものはありません。
1.何かをひとつ終わらせる
人間のエネルギーは、車のガソリンのように使えば減るものではありません。小さなことでも何かを終えると、その方向に進み続けるための大きなやる気とエネルギーが湧いてきます。タスクを達成すると気分はすぐに良くなり、自信も高まります。朝に小さな「勝利(小さな達成)」をいくつか作ることは、1日を明るくする最も簡単な方法のひとつです。
2.友人に会う
人間が行う活動の中でも、誰かと時間を過ごすことは非常に重要です。2020年に「American Journal of Psychiatry」に掲載された研究では、親しい友人がいる人は人生に満足しやすく、うつ病になりにくい傾向があると示されています。友情が気分を高める理由のひとつは、ストレスへの反応の仕方を変えてくれるからだとも考えられています。信頼できる人の支えは、ストレスが心と身体に与える負担を軽くしてくれるのです。
3.体を動かす
運動に関する私自身の経験は、本当に驚くほどのものでした。高校・大学で競技として長距離走をしていた私ですが、走り始めた時よりも暗い気持ちのまま走り終えたことは一度もありませんでした。
4.外で過ごす
2020年に「American Psychological Association」が紹介した研究では、自然が人間の健康に重要であることを示す結果が増えているとされています。自然の中を短時間歩くだけでも、気分を向上させるには十分です。
5.親切な行動をする
誰かに親切にすることは、自分の1日を明るくする確実な方法です。人間の心は複雑で、「こうなりたい」と思っただけで気分を意図通りに変えられるわけではありません。時には内省が逆効果になることもあります。より良い方法は、ネガティブな感情を、より力強く前向きな感情に置き換えることです。誰かに親切にすると、自分の問題から意識が離れ、「人こそが最も重要である」ということを思い出させてくれます。
もちろん、いつでも気分を明るくできるわけではありません。人間の心の複雑さや、人生に起こりうる苦しみを軽く扱いたいわけではありません。しかし多くの場合、いくつかの小さなステップが1日を明るくする助けになるという考え方は、とても有益で現実的な「基本姿勢」だと言えるでしょう。
(翻訳編集 井田千景)
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