ぐっすり眠ったはずなのに、疲れが取れず、体が重くて頭がぼんやりする――まるでだるさがずっと体にまとわりついているように感じたことはありませんか? 中医学では、こうした目に見えない不調を「湿気」と呼びます。
長雨の季節に空気が重く、カビっぽく感じられるように、体内に湿気がたまると、体全体が重だるく、停滞した感覚に陥ります。中医学では、湿気とは体内に処理しきれなかった水分や粘液、代謝によって生じた老廃物が滞留し、排出されずにたまっている状態だとされています。このため、体がずっしりと重く感じられるのです。時間が経つと、たまった湿気は体の「気(エネルギー)」の流れを妨げ、代謝を鈍らせ、活力を奪い、老化を早める可能性もあると考えられています。
新唐人TVの番組「Health 1+1」では、台湾の漢明堂中医クリニックの主治医・周宗翰医師が、体内湿気のサインを見分ける方法と、体のバランスと軽さを取り戻すための自然な5つの実践法を紹介しました。
体に湿気がたまりすぎているサイン
湿気が体に影響しているかどうかは、以下のようなサインで見分けられます。
- 舌の状態
舌に白く厚い苔や、油っぽい苔がついている場合、体内に湿気が過剰にたまっている可能性があります。また、舌の縁に歯形が残っている場合、中医学では「気」の不足や湿気の停滞が疑われます。
- 体臭の変化
体や息からカビのようなにおいや酸っぱいにおいがする場合、「湿熱」と呼ばれる、湿気と体内の熱や炎症が合わさった状態である可能性があります。強いまたは普段と異なる体臭は、代謝の低下や炎症体質と関係しています。
- 排便の様子
便がねばついて便器に残りやすい、または出し切れない感覚がある場合、湿気が消化機能に影響している可能性があります。
- その他の体調変化
慢性的な疲労感、体の重だるさ、集中力の低下、関節のこわばりや痛み、頻繁な尿路感染症、女性ではおりものの増加、めまい・頭のもやもや感、赤い発疹などの皮膚トラブルがあげられます。
湿気を排出する5つの自然な方法
周医師は、体内の湿気を取り除くために、以下の5つの自然な方法を推奨しています。
1. 適度な水分補給を意識する
皮肉なことに、体内に湿気がたまりやすい人ほど、むくみや膨張感を恐れて水を控える傾向があります。しかし周医師は、湿気は水分を摂りすぎたからではなく、代謝の低下や水分の巡りが悪いために生じると説明します。
水分が不足すると、リンパや消化の働きが悪くなり、かえってむくみがひどくなることもあります。
一度に大量に飲むのではなく、温かい水をこまめに摂ることがポイントです。これは中医学で水分代謝の中心とされる「脾」の働きを助けるとされます。
利尿・解毒効果があるとされる「とうもろこしのひげ茶」や、熱を冷まし毒素を出す「緑豆水」、リンパ排出と代謝を促す「あずき水」などが湿気排出に役立つといわれています。ただし、とうもろこしのひげは農薬の心配がない有機栽培のものを選びましょう。農薬残留は肝臓に負担をかけるおそれがあります。
2. 湿気を取り除く食品を摂る
冬瓜や苦瓜、スイカなどの瓜類には利尿作用があり、体内の余分な水分を排出する助けになります。
中医学では「四神湯」という薬膳スープが湿気を取り除く代表的な食養生とされています。ヤマイモ、芡実、蓮の実、茯苓を豚の胃袋と煮込んだスープで、滋養強壮に優れています。
伝説によると、清朝の乾隆帝が南方視察の際、4人の重臣が体調を崩したことがありました。そのとき、ある賢者の助言によりこのスープが用意され、重臣たちが飲んだところ体力が回復したと伝えられています。これが「四臣湯」と呼ばれ、のちにその優れた回復効果から「四神湯」と名付けられるようになったとされています。これらの食材は、消化機能を整え、栄養の吸収を高めることで、体内の湿気の排出を助けるとされています。
現代の研究では、芡実には抗酸化作用があり代謝低下による湿気の生成を抑えるとされ、茯苓に含まれる多糖類やトリテルペノイドといった成分は免疫と代謝機能を助け、体内の余分な水分を排出する働きがあると報告されています。
これらの食材は、アジア系スーパーやオンラインの漢方・自然食品店で購入できます。

3. ツボ押しでリンパの流れを促す
湿気がたまると顔のむくみなどが目立ち、疲れて見えたり老けた印象になったりすることがあります。顔や頭のツボをマッサージしてリンパの流れを良くし、腫れを和らげることができます。
周医師がすすめるポイントは以下の通りです。
- 顔全体:マッサージオイルや乳液を塗り、指や関節を使って筋肉を外側・上向きに流すようにやさしくマッサージします。頬骨下を持ち上げたり、咬筋(噛む筋肉)をこぶしでほぐすのも効果的です。
- 耳の後ろ(翳風):リンパの流れを促し、小顔効果も期待できます。
- 目の周囲(太陽など):眉の下、こめかみのツボなどを軽く押して刺激します。目元のむくみや小じわが気になる方におすすめです。

4. 汗をかく
汗をかくことは、体内の湿気を出す最もシンプルかつ効果的な方法のひとつです。ここで言う汗は、ただ暑さでかく汗ではなく、運動などで意識的にかく汗を指します。
ジョギング、早歩き、ヨガなどの運動は心拍数を高め、毛穴の開閉を促して、余分な水分や毒素の排出を助けます。
定期的な運動は、湿気対策だけでなく代謝全体を高め、エネルギーの向上にもつながります。2016年の研究では、有酸素運動がリンパの働きを改善する可能性があることが示唆されています。
5. 生活環境を乾燥させる
外部環境の湿度も体に影響を与えます。湿度が高くなる季節や雨の多い時期には、室内を乾燥させて風通しを良く保つことが大切です。周医師は、除湿機の活用や、観葉植物の受け皿にたまった水を放置しないことを勧めています。水がたまったままだと、室内湿度を上げる原因になるからです。
また、雨に濡れた際は、すぐに濡れた衣服を脱ぎ、体や髪をしっかり乾かすようにしましょう。開いた毛穴から湿気が体内に入ることで、関節の痛み、倦怠感、風邪などの症状が起こるリスクがあります。
※この記事の内容は執筆者の見解であり、必ずしもエポックタイムズの意見を反映するものではありません。
(翻訳編集 井田千景)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。